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私はこう考える【北朝鮮について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


読売新聞朝刊 1990年9月27日
「日朝改善」へ大きな一歩 26日の金丸・田辺両氏の会見要旨
 
 【平壌二十六日=神田俊甫】朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金日成主席との会談後、金丸信・元副総理は妙香山で、田辺誠社会党副委員長は、二十六日午後、平壌に向かう車中でそれぞれ記者会見した。
 ◇田辺氏会見の要旨
 【トップ会談のやりとり】
 金丸氏 謝罪については海部首相の総裁親書にある通り。過去の歴史に対し、しょく罪と償いをしなければと考えている。韓国には曲折の末、一応の解決をみているが、北朝鮮には一世紀にわたり未解決のままだ。従って謝罪と償いの問題は政治生命をかけて実行しなければと思っている。ところで、北朝鮮に核のウワサがある。本当に製造しているのか教えてほしい。最後に富士山丸問題だが、これは謝罪と償いとは別次元。乗組員二人は人道的にぜひ解決し、釈放してもらいたい。
 田辺氏 関係改善の前提は過去の歴史を正しく見つめ、明確な謝罪をして償いをすることだ。第18富士山丸問題は人道的な立場で解決し、釈放してほしい。この機会にぜひ決着させてほしい。
 金主席 朝日関係は改善しなければならない。今回、自民党との交流ができたことを大変喜んでいる。海部総裁親書をいただいたので、労働党と自民党との関係樹立を確認したい。
 金丸氏 同意する。
 金主席 三党が協力して日朝関係改善とアジアの平和のために努力を尽くそう。海部総裁親書を高く評価する。十月十日の労働党創建四十五周年の記念式典には自民党代表を招待する。
 金主席 日本の現状にも注意を払っている。日本は経済大国だが政治大国にもなっている。ここまで来たのは日本の政策が正しかったんだと思う。日本は債権国だ。米国は債務国だ。スターウオーズ計画でさらに借金が増えている。日本は憲法で軍事大国にならないことを決め、実行してきた。それが今日の日本の良い状態を作ったと思う。日本は平和を求め、政府も国民も努力してほしい。核兵器の製造は行っていない。衛星から見て核製造との指摘はソ連が作った原子力研究所だ。共和国にはその考えも能力もない。調査するなら南(韓国)の核の存在も調査してほしい。
 富士山丸問題は社会党から度々、意見を聞いている。八七年の土井委員長の訪朝の際も話した。しかし、社会党と朝鮮労働党の間で解決するのではなく、両国間の折衝で解決したらいいと申し上げた。こういうことは人間がすることであって法律がすることではない。法律があっても人間がすればできる。この問題は協議すれば解決されると思う。金丸、田辺両氏には満足を与えることができると思う。
 金丸氏 韓国へ行った時独立記念館にロウ人形があり、日本の軍隊が虐殺したり、拷問したりした姿があり、非常に痛ましいと思った。共和国は余りそういうのを見せつけないで欲しい。
 金主席 アジアのことはアジア人で解決しなければならない。これに介入は許されない。早い統一はできる。機運は高まっている。分裂を固定化しているのは米軍の韓国駐留だ。統一を願っていれば、国連に二議席持つのは矛盾がある。統一に二人にも協力してもらいたい。
 【記者団との質疑応答】
 −−金丸氏と金主席の第二回会談のテーマは?
 田辺氏 知らない。後で金容淳書記から連絡があったのだから。私は「いいとも悪いとも言わない」と(金丸氏に)言って、わかってもらった。
 −−日朝関係改善の流れは?
 田辺氏 共和国は熱心である。この際、関係改善もしたいという意気込みを感じた。「(改善のため)あなた方がやってきたことを評価し、感謝する。今後、手を携えてやろう」ということからみて、金主席自身、日本との関係を改善したい意思が明確にあると思う。
 −−償いについて金主席の発言は?
 田辺氏 ない。
 −−「政府間折衝」という言葉は出たか?
 田辺氏 富士山丸問題の時以外、出なかった。
 −−富士山丸問題は今後の政府間交渉で決着か?
 田辺氏 ちょっとわからない。両様にとれるから。突っ込んで聞く雰囲気でもなかった。これから共同声明を作ることで三党合意しているから、共同声明の中でどういう表現になるかで意図がはっきりするのではないか。
 ◇金丸氏会見の要旨
 【謝罪と償い】私はこの問題でいろいろ話したが、謝罪については(金主席が)十分理解したということだ。(親書も)十分理解している。
 償いについては、日本には慣例もあり、韓国との関係もある。同じ朝鮮半島の中で、いわゆる植民地時代の苦痛などあらゆる点で迷惑をかけ、韓国とは、紆余(うよ)曲折の中で一応の状況ができあがったが、北朝鮮とは植民地時代と合わせ今日まで一世紀近くごぶさたしている。(日朝双方に)窓口を作ると合意しているので、そこで十分話し合いをし、われわれ政治家が十分監視して、一日も早い決着を図る(という発言をした)。十分理解してもらったと思う。
 (償いの)金額を決めるなどは、日本の官僚、法律などがあり、窓口を決めてやるしかないという話をした。金額は向こうも言わなかった。
 【第18富士山丸問題】かねて先遣隊もお願いしている(乗組員)二人については、法律により処分された経緯も承知しながら、人道上の問題でぜひ一考も二考もしていただきたい、と述べた。田辺君からも強い要請があった。(金主席は)「細かいことは労働党の書記と十分話し合ってほしい。法律は人間が作るものだから」ということだった。だから、金(容淳)書記の考え方の中に(解決手続きは)すべて盛り込んであることだが、私はすべて合意されたと思う。
 本人を連れ帰れるかどうかはこれからのことだが、非常に滑り出しが良く、真剣な話をする中で、主席の温かい考え方に触れ、感銘するところが多かった。
 富士山丸の問題は、帰していただけるというのは確かだ。「法律は人間が作るものだから」という意味深長な言葉があった。金(容淳)書記も「金丸さん、よくわかりました」ということで握手した状況だから、私はこの問題は決着はついたという判断をしている。
 今度(二回目の会談に)行けば、向こうさんから何か確答があるだろうと大きく期待している。
 【今回訪朝の意義】世界の平和やアジアの安定、日本のあらゆる面の安定のために良い仕事にかかわれたのを、政治家のはしくれとして非常に光栄に思う。この(日朝関係改善という)大きな問題で歴史の一ページを作ることに対しては、晩年の私だけでなく、訪朝団一行は同じような気持ちだろう。合意を一日も早く解決していくことが、これからのわが方の責任と感じている。自社(両党)で共同作業をしたことは将来の国会のあり方について、よき慣例を作ったと思う。
 
 
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