日本財団 図書館


(2) 無人探査機「かいこう」「ドルフィン−3K」「ハイパードルフィン」
 これらは、それぞれの母船(「かいこう」の母船は「かいれい」、「ドルフィン3K」の母船は「なつしま」、「ハイパードルフィン」の母船は「かいよう」)とケーブルで結ばれており、船上からのリモコン操作により、観察のみならずマニピュレーターを用いてサンプル採取などをすることができます。中でも「かいこう」は、ランチャー/ビークル方式という他の無人機とは異なった方式がとられています。すなわち、「ドルフィン−3K」等、一般的な無人機は、母船から繰り出されるケーブルに本体が直結された形で潜りますが、「かいこう」では、「一次ケーブル」と呼ばれる同様なケーブルが母船とランチャー(launcher:水中発射台)の間に取り付けられ、さらにランチャーと本体(ビークル)とは二次ケーブルによって接続されています。そして本体は、ランチャーに抱えられるような恰好で目的の深度近くまで潜り、そこでランチャーから発進されて、二次ケーブルの範囲内(約50m)で行動します。このシステムにより、1995年3月に、海の最深度(マリアナ海溝の10,911m)に到達することができました。なお、このランチャーには後述する「サイドスキャンソーナー」が装備されており、曳航型探査機として単独で使用することもできます。それぞれの無人探査機の概要は、以下に示すとおりです。

左:ビークル、カッコ内:ランチャー
かいこうの仕様
全長 3.1
(5.2)m
水中速力 前進 3.0ノット
2.0
(2.6)m
上昇下降 1.0ノット
高さ 3.2
(3.2)m
光ケーブル 一次ケーブル 45.0mm×12,000m
空中重量 5.4
(5.4)t
二次ケーブル 29.5mm×250m
最大潜航深度 11,000
(11,000)m
     
 
「かいこう」は、母船とケーブルでつなぎ、船からリモートコントロールで動かします。「かいこう」では、ビーグル(探査機本体)が動きやすいようにランチャー(水中発着台)という方式を使っています。
z1028_01.jpg
かいこう操縦盤
盤に表示されるビークルの放送局級TVカメラの映像やパノラマ映像等の情報を基本に操縦者(4人)が操縦します。
z1028_02.jpg
z1028_03.jpg
ドルフィン−3Kは、単独の調査のみならず「しんかい2000」の潜航海域の事前調査等に運用されていますが、最近では、沈船(ロシアのタンカー「ナホトカ号」や学童疎開船「對馬丸」など)や打ち上げに失敗して海中に没したH2ロケットの捜索にも活躍しました。また、ハイパードルフィンは、ドルフィン−3Kの高性能版といったもので、今後の活躍が期待されています。
カッコ内はハイパードルフィン
ドルフィン−3K及びハイパードルフィンの仕様
全長 3.0
(3.0)m
水中速力 前進3.0
   (3.0)ノット
2.0
(2.0)m
上昇下降1.0
      (2.0)ノット
高さ 2.0
(2.0)m
光ケーブル 45.0mm×12,000m
空中重量 3.7
(3.8)t
29.5mm×250m
最大潜航深度 3,300
(3,000)m
   

z1029_02.jpg
z1029_03.jpg








日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION