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2.1.1 掘削船模型
 1980年代の海洋石油掘削に関連する技術開発の進展の後、大きな進歩はなかったが、1990年代末から従来の規格を大きく上回る掘削関連機器が開発され、それらを搭載した石油掘削船が建造されている。
 典型的なものとしては、大水深での使用を目的とした高強度ライザーやビットが掘削孔底に与える船体動揺の影響を軽減するActive Heave Compensater (AHC)などである。
 離岸距離の大きい大水深海域での稼働に伴い、厳しい環境条件下での位置保持能力やバリアブルロードの増大が求められ、近年大型単胴型掘削船の建造割合が増加する傾向にある。
 通常、船の大型化は工期や建造費の増大を伴うが、これら新造掘削船はタンカー船型の船内に掘削関連機器をユニットとして搭載する“モジュール工法”を採用して、工期や建造費用の低減を図っている。
 屋内会場には、いくつかの海洋掘削会社の展示ブースがあった。その中でもSaipem社のブースは非常に活況を呈していた。稼働水深10,000ft(3,000m)を標榜する同社のSaipem10000は、2001年4月、西アフリカ沖で水深9156.8ft(2,791m)海域での稼働を成功させており、本国際会議開催時点では世界最深の掘削実績であった。模型展示されていた掘削船の中にも大水深を視野に入れた船が多く、この大水深化の方向は今後も加速してゆくものと考えられる。
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図4 Saipem10000の模型








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