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(6)代替航路
 図3.17に示すように、世界の海上貿易は増加の一途を辿っている。
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図3.17 世界の海上貿易量
 国際及び地域物流における海上輸送の重要性が増す中、東西を結ぶ輸送路が何らかの障害により輸送路としての機能が殺がれるような事態に対して、それが、完全に整備された状態になくとも代替航路の存在は国際経済を安定させる保険の役割を担う。オイル・ショックは死語に近い響きがあるが、輸送路を含めたエネルギー供給路にも常に代替路が準備されていれば磐石である。
 テロ事件の恐怖は未だに生々しいが、海上においても様々なシナリオでのテロ事件発生の懸念がある。人々を恐怖のどん底に落とし入れる無差別テロ程の規模ではなくとも、海賊や海上での暴力行為は、残念ながら増加の傾向にある。図3.18は、このような海賊行為の発生件数を示したものであり、海の幹線航路が海賊行為の危険に曝され、さらにはテロ発生の潜在的背景があることが分かる。
 市場原理による北極海航路の真の啓開が遅れても、北極海航路は、國際的な合意に基づく財政的な支援を前提とした代替保険航路として認知することも検討すべきであろう。
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図3.18 海賊行為発生件数








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