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米国沿岸警備隊の役割
 米国沿岸警備隊には、4つの主要な任務がある:(1) 海上の安全; (2) 海上の法律施行; (3) 海洋環境保護; そして(4)国防である。1982年以来、沿岸警備隊の役割と任務の最初の主要なレビューは、最近終了しているが、これらの4つの基本的な米国沿岸警備隊任務は、変わるように思えない。33 任務は、図2に詳細が示めされるように、沿岸警備隊の7つの主要運用プログラム分野によりサポートされており、特に「海上法と条約を施行すること」が含まれている。34
 
 米国沿岸警備隊の海上法律施行(MLE)プログラムは、海洋生物資源、麻薬禁止、及び異国移住の禁止−この3つの主要分野の法律と条約の施行について責任がある。
海洋生物資源(LNM)
 米国沿岸警備隊は、(全国的な海洋漁場サービスとともに)保護と管理のための適用可能な漁業法律の施行について責任がある。沿岸警備隊の責任は米国の排他的経済水域(EEZ)により定義されている。米国は、世界のどの国よりも大きいEEZを持っており、広さは225万平方マイル以上、かつ海岸線は90,000mileにおよんでいる。米国漁獲高は、漁業年当たり250億ドルである。沿岸警備隊は、大規模な外洋流し網漁業に関する国連の禁止令などの国際法と条約の遵守を確実なものにするために、外国とも密接に機能している。例えば、1997年6月、違法な流し網漁業をする一隻の船(偽ってPRC国籍を主張する)が太平洋の中央で、米国沿岸警備隊に逮捕されたが、20日以上をかけ1,700mileに及ぶ追跡があった。35 沿岸警備隊は、商業漁船の安全、及び海洋哺乳動物保護法に関する法律も施行している。
麻薬の禁止
 沿岸警備隊は、海上の麻薬禁止のための主導的な連邦政府機関であり、そして航空機による禁止についての主導的責任を米国関税サービスと共有する。米国への違法な麻薬の流入と戦いでキープレーヤーとして、沿岸警備隊任務は、(第一に南米諸国の)ソースからの麻薬の流入を減らすために、米国国家麻薬管理戦略の一部、マルチ年キャンペーンスチールウェブのもとに、カリブ海、メキシコ湾、及び東太平洋の600万平方マイルの広さの通過地帯で密輸者を封鎖することである。沿岸警備隊の麻薬封鎖は、毎年米国政府がコカイン及びマリファナを押収する量のほぼ4分の1になっている。1997年には、沿岸警備隊は、コカインだけで40億ドル分を押収している。今では、70%以上のコカインが海路で運ばれていく。沿岸警備隊は他のカリブの国々との協力に依存しており、そのような協力のための主導的政府機関となっている。
違法な移住
 米国沿岸警備隊海上法律施行の3番目の分野は、異国移民の禁止であり、そのゆえに、沿岸警備隊は、海路で入ってくる非登録外国人の移住の数を減らすために米国法律と政策の実施において主導的連邦政府機関でもある。これを遂行するために、沿岸警備隊は、他の連邦政府機関及び外国とのパトロールと連携を実施しており、そして彼らが実際に米国に入り、長く、費用のかかる追放プロセスを経る前に、海上で違法移住を見つけ、禁止している。現在、主要な海上移住の脅威は、キューバ、ハイチ、ドミニカ共和国、及びPRCからとなっている。1980年以来、米国沿岸警備隊は44の国から290,000人以上の移住を封鎖している。36
 「深い水域」(岸からの50mile以上離れた)において実行された沿岸警備隊の全任務のパーセンテージとして、沿岸警備隊の法律施行任務は、船上時間で65%、航空機時間で35%である。4つの任務分野のなかで一番大きいものである。また、これらの法律施行任務は、外洋で外国船籍の船に搭乗することになった場合、敏感で複雑な政策と国際法上の問題を起こすことになる。37








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