日本財団 図書館


2.3 透明度(項目番号:物循−3)
2.3.1 調査趣旨
 現場海域において、もっとも簡易にデータが取得可能であり、海湾の物質循環において大きな役割を果たす基礎生産の変化を把握する指標となりうる。
 
2.3.2 使用データ
 公共用水域水質測定結果を用いる。
 
2.3.3 調査手法
 各海湾の透明度データを月ごとに単純平均することにより算定し、その変遷を整理する。
 
2.3.4 調査結果の評価手法
 「海の健康度」の評価基準は以下のよう設定する。
 
最近10年間の平均値と最近3年間の平均値との差が±20cm以下であること。
 
2.3.5 調査結果の事例
 図III-16には透明度の経年変化を示す。伊勢湾の1979年度〜1986年度までのデータは異常に高い値(例:透明度80mなど)を含んでおり問題があるので欠測扱いとした。
 
2.3.6 注意点
 東京湾、大阪湾、周防灘および有明海で近年透明度が高くなっている傾向がみられる。一般に、富栄養化が進んだ閉鎖性の強い海湾では、透明度を下げる要因として、高密度のプランクトンの存在があげられる。そのような海域では、透明度の減少は、よりいっそうの富栄養化の進行を意味し、透明度の増加は水質の向上と−般的に考えられている。しかし、透明度の増加は基礎生産の低下を意味するものであり、高次捕食者への影響も懸念される。
 一方、非生物起源の懸濁粒子の浮遊が透明度を支配している有明海のような海域では、透明度が高くなると基礎生産が活発になり、系内の物質循環が変化することが考えられる。
 したがって、対象海湾の透明度が、植物プランクトンと相関が高いのか、主に鉱物由来のSSと相関が高いのか把握した上で、透明度の増減を解釈する必要があり、二次検査で調査を行う。
(拡大画面: 460 KB)
z1068_01.jpg
図III-16 各海湾の平均透明度の経年変化








日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION