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海の健康診断 マスタープラン/ガイドライン

 事業名 海洋シンクタンク事業
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  
2.2 気象的条件
 気象は、海水温、降雨による淡水流入量、波浪(風浪)及び水中の光条件等、海域環境と密接な関係にある。
 ここでは、気象条件のうち気温、降水量、日照時間及び風向について整理し、気象的条件海湾とどのように関係しているのかについて、季節的な傾向を把握する。
 
2.2.1 使用データ
・アメダス観測データ
作成機関:気象庁
入手方法:財団法人 気象業務支援センターへ問い合わせる。
財団法人 気象業務支援センター
〒101-0054 東京都千代田区神田錦町3-17東ネンビル
TEL. 03-5281-0440 FAX. 03-5281-0445
使用データ:過去10年間の気温、降水量、日照時間及び風向のアメダス観測データ
 
2.2.2 調査手法
(1) 気温、降水量、日照時間
・年ごとに月別平均気温、月別降水量、月別日照時間を計算する。計算方法は以下のとおりである。
  月別平均気温 月別降水量 月別日照時間
作業1 1日の24回の観測値を平均し、日平均気温を計算する。 1日の24回の観測地を合計し日降水量を計算する 1日の24回の観測値を合計し、日日射量を計算する。
作業2 1ヶ月分の日平均気温を平均し、月平均気温を求める。 1ヶ月分の日降水量を合計し、月降水量を求める。 1ヶ月分の日日射量を合計し、月日射量を求める。
※欠測があった場合の取扱い。日別の値に欠測があり、欠測日数が月の日数の20%以下の場合、欠測の日を除いて平均・合計を求める。20%を越える場合はデータとして取り扱わない。
・年ごとに求めた月別平均気温、月別降水量、月別日照時間からグラフを作成し、年による変動幅及び季節的な変動傾向等について把握する。
(2) 風向
・10年間の月別最多風向及び頻度(%)を求め、風の状況を把握する。求め方は以下のとおりである。
・風は、風によって生じる波(風浪)と密接に関係している。
作業1:日別時間別風向から1カ月分の風向別に頻度を年ごとに求める。アメダスのデータでは風向は16方位を数字で表している(01:NNE、2:NE〜15:NNW、16:N)。
作業2:10年分の月別風向別頻度を合計して10年合計の月別風向別頻度を求める。
作業3:10年合計の月別風向別頻度から最も頻度の多い風向を月別に求め最多風向及び頻度を表にまとめる。頻度は割合(%)としておくと風向の状況が把握しやすい。
 
2.2.3 調査緒果の事例
 事例として、1961〜1990年の東京湾に面した都市の月別気温、月別降水量、最多風向(16方向)及び頻度を示す。
・気温
東京湾周辺の都市の気温は、8月に最も高く25〜30℃、1、2月に最も低く約5℃である。地域差はみられず、湾奥から湾口までほぼおなじである。
z1024_01.jpg
・降水量
東京湾周辺の都市の降水量は冬季に少なく、梅雨及び台風シーズンに多い。湾口部で多く、湾奥部で少ない傾向がみられる。
z1024_02.jpg
・日照時間
東京湾周辺の都市の日照時間は、月100〜250時間であり、梅雨及び台風シーズンに短い傾向がみられる。地域差はほとんどみられないものの、夏季に湾口部の方が湾奥部よりも長い傾向がみられる。
z1024_03.jpg
注)1961年〜1990年までの30年間の平年値で示した。
出典:日本気候表その1、平成3年3月、気象庁
 
・風向
東京湾周辺の都市の風向春から夏には南から南西方向の海からの風が多く、秋から冬には北から北北西の陸からの風が多く吹く。
地点\月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 統計年
東京 NNW
37
NNW
35
NNW
29
NNW
14
S
17
S
15
S
17
S
17
N
19
NNW
26
NNW
32
NNW
37
NNW
21
16
横浜 N
35
N
35
N
33
N
19
N
14
SSW
13
SSW
13
SSW
17
N
25
N
34
N
33
N
35
N
24
16
千葉 NNW
18
NNW
16
NNW
14
NNE
12
SE
12
SSW
14
NE
11
S
11
NNE
17
NNE
19
NNE
20
NNE
20
NNE
13
9
館山 SSE
13
NNE
12
NNE
11
SW
10
SW
13
SW
14
SW
16
SW
15
SW
10
NNE
14
SSE
113
SSE
18
SSE
10
16
出典:気象海象要覧[13]東京湾(改訂版),1994年(財)日本気象協会研究所
 
2.3 社会的条件
 負荷は、光合成による基礎生産に始まる食物連鎖の源であり、物質循環の駆動源である。海の健康状態を把握する上で重要な項目である。
 ここでは、人間活動によって海域に供給される負荷について、流入負荷量の算定を行うとともに、土地利用、汚水処理場整備状況及び人口分布といった流入負荷に関する情報について経年的に整理する。
 整理した負荷についての情報は、一次検査の物質循環の円滑さを評価する滞留時間と負荷に関する指標の検討に利用される。また、総合評価における海湾環境への影響等の判断材料として活用する。
 
2.3.1 使用データ
・流量年表
・公共用水域調査結果(河川)のCOD、T-N、T-P
・土地利用に関する資料
・汚水処理場の整備状況に関する資料
・人口分布に関する資料
 
2.3.2 調査手法
(1) 流入負荷
  河川からの流入負荷について、年間総量の経年変化を整理する。流入負荷は、海湾に流入する河川から、比較的規模の大きな河川を抽出し算定する。
 海湾に流入する厳密な負荷量を算定するには、河川に加えて、下水処理場や工場・事業所の排水をも積算する必要がある。これらのうち一般に公表されているデータは河川流量のみであり、しかも比較的容易に入手できるデータは一級河川に限られてしまう。 一級河川の場合は、次式に示すように、一級河川の流量に河川水質濃度を掛け合わせた総和を流入負荷量として算定する。流量は流量年表から月ごとの流量を整理する。水質濃度は公共用水域調査結果から月ごとのCOD、T-N、T-Pの濃度を整理する。流量と水質濃度を掛け合わせて月ごとの流入負荷量を算定し、合計したものを年間流入負荷量とする。
 
   (流入負荷量)=Σ(一級河川流量)×(一級河川水質濃度)
 
 一級河川以外の河川の場合は、河川流量及びCOD、T-N、T-Pの現地調査を行い、年間流入負荷量を算定する。調査頻度は月ごとが望ましいが、四季調査で算定しても良い。
(2) 土地利用の変遷
 土地利用に関する資料を収集し、陸域の森林、畜産、宅地及び工業用地等の土地利用の変遷を10年間隔で整理する。
(3) 汚水処理場整備状況
 汚水処理場の整備状況に関する資料を収集し、整備率及び処理能力について経年的に整理する。
(4) 人口分布の変遷
 河川から流入する負荷は、人間活動によるものが多いことから、人口分布に関する資料に基づき、海湾周辺の人口分布の変遷を整理する。
 
2.3.3 調査結果の事例
 流入負荷について、例として有明海のデータを整理した。図II-1には、COD、T-NおよびT-Pの流入負荷量と湾内平均濃度の推移をあわせて表示した。近年、流入負荷量は減少傾向にあるものの、水質濃度は横ばいもしくは微増している傾向がみられる。
(拡大画面: 178 KB)
z1026_01.jpg
図II-1 有明海における流入負荷量と水質濃度の経年変化
 
2.3.4 注意点
 流量年表を用いて流入負荷量を算定する場合は、経年的な推移の傾向は把握できるが、流入負荷量が過小評価される場合があるので注意する必要がある。
 
2.4 歴史的条件
 陸域における土地利用、海域利用及び有害物質等による海域汚染に関する資料を収集し、利用の変遷及び海域汚染の履歴について整理し、総合評価における海湾環境への影響等の判断材料として活用する。
 
2.4.1 使用データ
・土地利用に関する資料
・農林水産統計年報
作成機関:農林水産省統計情報部
入手方法:社団法人全国農林統計協会連合会へ注文する。
社団法人全国農林統計協会連合会
〒153-0064 東京都目黒区下目黒3-9-13
TEL03-3495-6761 FAX03-3495-6762
使用データ:漁業地区別養殖業別漁獲実績
(漁業地区別のデータがない場合がある)
・油の流出及び有害物質の流入に関する資料
 
2.4.2 調査手法
(1) 土地利用の変遷
 土地利用の変遷については、社会的条件で整理した内容を利用する。
(2) 海域利用の変遷
 海域利用については、農林水産統計年報に基づき養殖施設の設置数及び収穫量について経年的に整理し、海域環境の変化についての判断材料とする。
(3) 有害物質等による汚染履歴
 船舶事故等による油の流出及び工場排水等からの有害物質の流入について、資料を整理し、海湾における有害物質等の汚染状況を把握する。
 
2.5 管理的条件
 調査対象とする海湾に隣接する自治体(都道府県及び市町村)、海湾に位置する港湾等の管理者を整理し、対象海湾の利用者を把握するとともに、「海の健康診断」の検査体制を検討するための検討材料とする。








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