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第3章 調査研究委員会
第1節 第1回委員会議事概要
1. 開催日時及び場所
日 時:平成13年6月22日(金)14:00 〜 16:00
場 所:日本海難防止協会会議室
2. 議 題
(1) 平成13年度事業計画(案)について
(2) 第74回MSCの審議概要
(3) 第47回NAVの対処方針
(4) その他
3. 出席者
(1) 委 員
今津 隼馬
佐藤 修臣、柳川 三郎、松本 宏之、湯本 宏、松村 泰材、増田 恵(代理:中川 欣三)、山口 直人、宮永 正二郎、小坂 智規、宮原 邦之
(2) 関係官庁
青木 敏隆(代理:村田 有)、矢萩 強志(代理:平方 勝)、黒田 晃敏(代理:内山 正人)、錦郡 満(代理:石山 満春)、高尾 留雄(代理:古川 正樹)、八島 邦夫(代理:二ツ町 悟)、原 喜信(代理:三宅 真二)、今井 敏(代理:小久保 佐恵喜)
(3) 事務局
津田 眞吾、児林 秀雄、池嵜 哲朗
4. 資 料
 (1) IR(01)1−1 平成12年度調査研究委員会名簿
 (2) IR(01)1−2 2001年国際海事機関会議日程
 (3) IR(01)1−3 平成12年度調査研究事業計画
 (4) IR(01)1−4 第74回MSCの審議概要
 (5) IR(01)1−5 第47回NAVの対処方針
5. 議事概要(◎:委員長  ○:委員  △:関係官庁  □:事務局)
(1) 平成13年度第1回委員会の開催にあたり、日本海難防止協会を代表し、津田常務理事が挨拶を行った。
(2) 事務局が各委員及び関係官庁出席者の紹介を行った。
(3) 今津委員が昨年に引き続き委員長に選出され、以後委員長により議事が進められた。
(4) 平成13年度事業計画(案)及び2001年国際海事機関会議日程について、事務局が資料IR(01)1-2及び同1-3により説明し、これに対して特段の意見はなかった。
(5) 第74回海上安全委員会(MSC74)の審議結果について、海上保安庁警備救難部航行安全課及び事務局から、資料IR(01)1-4により報告が行われ、これに対して次の質疑応答があった。
○「避難海域」の問題の発端は、どのような事であったか。
△海難によりタンクが破損し、油漏れを起こした状態で、かつ沈没の恐れのあるタンカーが、修理のために最寄りのスペイン沿岸のある港外に錨泊を希望したところ、スペインの当局がこれを拒否したものであり、この際のスペインの対応が国際的に非難され、こういった場合の対応の検討が提案されたものである。
○ 「避難海域」について、今後NAVで検討されるとのことであるが、何故この種の問題をNAVで検討するのか、法律委員会等での検討が適当ではないか。また、NAVで検討するのであれば、どういった事項を検討するのか。
△早期の検討が必要であるとの判断から、直近のNAVにおいてこの種事案に対するガイドラインの検討が指示されたものであり、NAVにおいて関係する委員会、小委員会を明らかにし、それらと直接連絡を取りながら本件に対応することとされている。
○ 本事件の発生は、領海内であったのか、公海上であったのか。また、「調整小委員会」という名称が出てきているが、これはMSCの中に新たに本件の調整小委員会というものを設けるのか、それともNAVに調整小委員会としての役割を担わせるということなのか。
△ 事件の発生場所が、領海内か公海上かについては、調査したうえで回答する。(後に、公海上の事件と回答)
 また「調整小委員会」については、NAVにその役割を担わせ、MSCの中の関係するCOMSAR等の小委員会、またMEPC、法律委員会といった委員会とも調整を行わせるものである。
○ このガイドラインについては、ボランタリーベースとのことであり、このために国内法の整備といったことにはならないだろうが、仮に国内法で担保が必要となった場合、何法となるのか。
△ 海洋法条約の内容に追加するだけでも可能かもしれないが、国内法で担保するとすれば、港湾法になるのか、何らかの新法になるのか、現時点では判断できない。
○ SOLAS条約第IV章改正における「VHF16chの聴取義務期日の延長」について、GMDSS完全実施後、VHF16chの聴取状況はどうなっているのか、また、我が国の提案は、聴取義務期日延長に対して賛成なのか、反対なのか、お教え願いたい。
□ VHF16chについては、2005年2月1日までは依然として聴取義務があると理解しているが、海上保安庁から説明願いたい。
△ VHF16chの聴取義務は、当初1999年で廃止の予定であったが、延長されて2005年までとなったという経緯がある。本件は、元々COMSARにおいて、VHF16chに代わる通信連絡手段を検討するものであったが、現在までに有効な代替手段が出ていないことから、MSCにおいてVHF16chの聴取義務延長の議論となっている。
□ 提案されている改正案は、「MSCの指示する日まで延長する」というもので、我が国は、VHF16chに代わる有効な通信連絡手段が確保されるまで、その聴取義務を延長使用との意図で、この改正案に賛成している。
○ 「IAMSARマニュアル第3巻の搭載義務化」について、IAMSARマニュアルとはどういった内容であるのか、また「非条約船の使用のために…」とあるが、このマニュアルは、非条約船に対しても搭載が義務付けられるようになるのかどうか。
△ IAMSARマニュアルは、元のIMOのSARマニュアル、MARSARマニュアル及びICAOのSARマニュアルを一つにしたものであり、その第3巻が海上での海難救助について記載された部分である。
□ IAMSARマニュアル第3巻の搭載は、SOLAS条約の適用船の全船について義務化されるもので、「非条約船の使用のために…」というのは、非条約船についてもこれを適用するというのではなく、当面はボランタリーとしての搭載使用と理解している。
△ VHF16chの聴取義務延長の関係で、補足説明すると、我が国においては、海上交通安全法及び港則法の航路を航行する際に、その聴取を義務付けているものであり、現状でその聴取義務がなくなった場合、これら航路航行船舶と海上交通センター等との間での通信手段がなくなることとなり不都合が生じる。従って、仮に世界的にVHF16chの聴取義務がなくなっても、電波法、海上交通安全法、港則法といった国内法で航路航行船舶の聴取義務を担保することも可能であることを申し添えておく。
○ 「幽霊船関係」で、その対策として船体にIMO識別番号を表示するとの提案がなされ、これに対して日本の船主協会としては、効果がないことを理由に義務化に反対しているところであるが、報告を見ると、米国は技術的な問題を検討する必要があるとの指摘をしたとある。この技術的な問題の内容は何か。
□ 調べた上で回答する。(後に、容易に取り外すことができないような銘板の取付け方法、また隔壁等にこれを溶接することによる隔壁強度に与える影響等であると回答)
◎ 「海賊及び武装強盗」の発生状況の報告に対するインドのコメントは、どういう意味か。
□ インド洋において海賊等の被害が急増しているとの指摘に対し、インドは、インド洋で発生した被害を調査した結果、その全部が勿論国際法でいう海賊ではないし、武装もしていないこそ泥であって、本来ここに計上するのは誤りではないかとのコメントをしている。
○ 確かに領海内で発生したこそ泥を、「海賊及び武装強盗」と称するのは如何なものかと思う。仮に日本でこの種事案があったとしても、海賊等としては計上しないのではないか。海洋法上はきちんと区分されているが、IMOの中での区分が適切になされているか。
○ IMOが今度策定した「海賊等の捜査等コード」においては、海賊、武装強盗について定義されているが、発生件数等の基のデータを出しているIMBでは、実際に武器を使用していなくても、所持していたかいないか判別できないため全てを計上しているものと思う。
○ 国際法上の海賊に対する追跡、捜査について、ローマ条約を批准しているか否かにより、対応が異なってくるので、IMOでは東南アジア等の未批准国に対し、批准を呼びかけているところである。
(6) 第47回航行安全小委員会(NAV47)の対処方針について、海上保安庁警備救難部航行安全課及び同灯台部監理課から資料IR(01)1−5により説明が行われ、これに対して次の質疑応答があった。
○ NAV47/3/14の探査台に係る避航水域についてのカナダ提案の中で、「半径10ナノメートル」とあるが、これは「半径10NM(ノーティカルマイル)」の間違いではないか。
△ おそらくご指摘の通りと思うが、確認する。(後に、指摘のとおり10海里(NM)であると回答)
○ NAV47/3/7としてフランスUshant沖45海里での強制船位通報制度の提案がなされているが、これは領海内か外か。
△ 本件については、領海外である。
◎ NAV47/7/1の無線航法システムの運用要件を改める提案の中で、交通密度の著しく高い水域または危険度の高い水域については、99.8%を適用するとのことである。先程の説明では、我が国においては、海上交通安全法海域、主要港湾等について既にカバレージの重複化が行われ、可利用性が確保されているとのことであるが、海上交通安全法海域、主要港湾等をカバーすることで、提案でいう交通密度の著しく高い水域または危険度の高い水域を網羅していると考えて良いか。
△ その通り。
(7) その他特段の意見なく、委員会を終了した。








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