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IV. 舶用機器輸出入予測
1. 輸出入予測の概要
(1) 予測の対象
 予測対象品目、予測年次は内需予測と同一である。
(2) 予測のフレームワーク
 輸出予測と輸入予測を比較すると、輸出予測の方がはるかに重要である。その理由は、
[1] 舶用機器の輸出数量は輸入数量に比べてはるかに多い。
[2] 日本の新造船建造シェアの低下、今後予想される欧州企業の攻勢、アジアを中心とした現地企業の台頭と言った要因は、まず日本企業の輸出動向に影響を与えることになる。
 そこで、仕向け地別に輸出予測を行い、それを積み上げるかたちで輸出全体を予測するという精緻な予測方法を採用する。
(3) 輸出のフレームワーク
 ある国への輸出は、[1]当該国の新造船竣工量、[2]当該国における日本の舶用機器の競争力(シェア)の2要素によって規定される。この考えに基づいたフレームワークは次のページのとおりである。
 輸出仕向地は、韓国、その他アジア(中国を含む)、欧州、その他の4ブロックに編成した(ブロック構成国には次ページ図注参照)。
 また、[2]については各地域の舶用機器内需データがないため、日本の舶用機器使用原単位と各地域新造船竣工実績により、「見なし内需」を推計し、次に“日本からの輸出実績/見なし内需”から「日本の見なしシェア」を推計した。さらに、各地域の新造船竣工予測と、日本の見なしシェア展望から日本の舶用機器輸出予測を導出する。日本の見なしシェア値の将来値は直近3ヵ年の平均とし、将来は不変(即ち、海外市場における日本の舶用機器製品のシェアは今後とも一定)とした。
図 舶用機器輸出予測のフレームワーク
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注:地域区分は、[1]韓国、[2]その他アジア(中国、台湾、シンガポール)、[3]欧州(ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、イギリス、オランダ、フランス、ドイツ)、[4]その他、とする
2. 舶用機器輸出予測
(1) 日本の見なしシェアの算出
 各地域の舶用機器市場における日本の見なしシェアは前述のとおり、1)各地域の見なし内需の推計、2)日本の見なしシェア算出の2段階で行った(但し、ディーゼル主機関については(社)日本舶用工業会「各国舶用機関の生産動向」(各年版)データを使用した)。
 見なし内需算出は、“日本の舶用機器使用原単位×各地域の新造船竣工量”により行った。ここでの「日本の舶用機器使用原単位」は、(輸出が金額表示のため)金額ベースであり、かつ全船種合計の原単位である必要があるため、前章で用いた原単位を使用せず、新たに算出したものである。
 次に、「日本の見なしシェア」は地域別品日別に、“日本からの輸出実績/見なし内需”によって算出した。その主要品目の結果は下図及び次ページ以降の図のとおりである。
 ここで推計される「見なし需要」、「日本の見なしシェア」は、あくまで「見なし」であり、定義やデータの制約から、その水準自体は実態からある程度、乖離している恐れもある。例えば、その他地域における「航海計画・保持」の日本シェアは、定義上の上限値である100%を大きく越えている。これは、新造船実績の乏しい米国向けに大量の機器が輸出されているためである。その背景としては、「航海計画・保持」は新造時以外にも換装されること、新造船需要算定の除外船種であるプレジャーボート用の輸出もあること、品目によっては据付が容易であり造船所以外での据付が可能であること、といった要因により、新造船実績とは無関係に一定の内需規模が存在しうることが指摘できる。このように、「見なしシェア」はあくまでも水準自体より傾向に着目されなければならない。
図:各地域における日本製品の見なしシェアの推移
(ディーゼル機関)
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(ポンプ)
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(電気機器)
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(荷役機械)
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(その他係船・荷役機械)
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(プロペラ)
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