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船の秘密
Q 客船ってどんなエンジンで動いているの?
 
A 昔は石炭などを燃やして、その蒸気の力で動かす「蒸気タービン」が多かったが、現在はほとんどが、エンジンの中で燃料を爆発的に燃焼させて力をだす「ディーゼル機関」です。しかし大型のディーゼル機関で直接プロペラを回すのではなく、中型のディーゼル機関をいくつか配置して電気を起こし、電動モーターで「スクリュー・プロペラ」を回転させる方法が最近は多いようです。この方式を「ディーゼル・エレクトリック(電気推進)方式」と呼びます。
 
ちなみに「ふじ丸」はディーゼル機関方式です。
 
Q 客船の電力(電気)はどうやってつくるの?
 
A 普通は船を動かすエンジンのディーゼル機関と同じように「ディーゼル発電機」によってつくられていますが、プロペラの回転を使って発電させる「軸発電装置」というものもあります。つまり、船自体に発電所が備わっているので、船が停泊(止まっている)していても、電力は供給されています。
 
ちなみに「ふじ丸」はディーゼル発電機6機、軸発電機2機を備えています。
 
Q 客船で水はどうしているの?
 
A 昔はタンクに水をためて出港したり、雨をシャワーがわりにしていましたが、現在は「造水機」というもので、海水を蒸発させて真水をつくったり、水分だけを通すシートに海水を通して真水をつくることができます。
 
ちなみに「ふじ丸」は、一日に50トン真水をつくることができます。
 
Q 船は真横に動けるの?
 
A 現在ほとんどの客船は「サイド・スラスター」と呼ばれる装置で、真横に動くことができます。
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サイド・スラスター(バウ・スラスター)
横向きのトンネルを開けその中に電動プロペラを付けて、横向きの水流を起こすことにより横向きの推力を得ることができます。
 
ちなみに「ふじ丸」は「サイド・スラスター」を船の前のほうに装備していて、「バウ・スラスター」と呼んでいる。
 
※船の前方を「バウ」、後方部分を「スターン」と呼ぶ。
 
Q 客席のトイレってどんなシステム?
 
A 船内のトイレからの汚物は、ろ過して水だけを排出する方法と、寄港時に陸揚げして陸上で汚物処理する方法があります。
 
ちなみに「ふじ丸」は塩素殺菌処理して海に排出している。
 
Q 客船のプールって小さくない?
 
A 船自体の揺れと密接に関係しています。船の揺れと、プールの水の揺れが 一致すると「同調(共振)現象」というものが起こりプールの水が大暴れするためです。ちなみにお風呂も同じなのでちょっと注意。
コラム
船酔いってやだな!
 船酔いを起こす原因は、波による船のゆれ、とくに上下動が大きいときになるといわれている。ではなぜ気持ちが悪くなったり、吐いたりしてしまうのだろう。これは脳の中での情報の混乱が原因という見方が一般的になっている。耳の奥の「耳石」というものが体の上下動を感知して脳に送る。また目からも運動しているかどうかの情報が脳に送られる。揺れている船内でじっとテレビや本などを見ていると、耳からは運動しているという情報が脳に送られるが、目からは動いていないという情報が脳に送られる。この時、脳は二つの違った情報に混乱して、気持ちが悪くなったりするという。
 では、船酔いを防ぐ方法はあるのだろうか。いちばん簡単なのが慣れること。上に書いてあるように、脳の情報混乱が船酔いの原因なら、船の揺れを受け続けると脳も慣れてくるというのである。また、自分から積極的に慣れようとするなど、気持ちの持ちようでも、船酔いは早くおさまるそうだ。








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