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ボランティア特集
私のボランティア活動―その2
「あしがら車いすトイレマップ」を出版して
あしがら車いすトイレマップの会 岸 スズ子
 
 私は,こどもたちに民話や童話を語る活動を16年ほど続けております。7年ほど前に,障害者の地域作業所での語りを頼まれたことをきっかけに,社会福祉に関心を持つようになりました。そんな折,県主催の介護ヘルパーの講習会が実施されると聞き,視野を広げる目的で参加しました。
道路には危険がいっぱい
 
 会場までの片道1時間を歩くことも自分の課題としたところ,県道なのに歩道は一人通るのがやっと,自転車がくれば車道に降りてやり過ごす,その脇を猛スピードの車が走り抜けて行く怖さ,ここで改めて車いすで外出する人や,足の不自由な方々の気持ちに気づき,疑問の数々が生まれました。
 私が「あしがら車いすトイレマップの会」を立ち上げるきっかけとなった1つには,この体験が大きかったと思います。第2には,自分が住む生活圏の中で,特に車いすで使えるトイレや駐車場の状況はどうなっているのかが,ヘルパーの仕事に必要になると考えたからです。
 思い切って,ヘルパーを受講した33名の方々に対し,「一緒に車いすで利用できるトイレがすぐ分かるマップ作りをしませんか」と呼びかけました。
 「作りたい」「手伝います」という発起人はたったの3人。組織も資金もない,ただの主婦が集まったところで何が出来るのだろうか。まったく無謀なスタートでした。ですから「会へ参加します」という返信ハガキが1枚,2枚と届いたときは,飛び上がるようなうれしさでした。
資金ゼロからの出発
 
 こうして「調査して冊子にする」という目標を定め,エリアも1市5町(南足柄市・中井町・大井町・松田町・山北町・開成町)と限定し,地区ごとに担当者を決めて効率よく,短期間で調査を実施いたしました。
 調査は順調でした。しかし,各地区から上がってきたデータを見やすい形にまとめる作業には,大変苦労しました。作業はすべてパソコンで行いましたが,そのお陰でパソコンの上達に役立ったことは,もうひとつの大きな収穫となりました。
 さて,問題は資金づくりでした。目的(3000部発行)達成のためには,70万円が必要と見積られました。このために,賛助会員を募集し1口500円の資金援助をお願いしょうということになりました。しかし「お願いします」の一言がなかなか言い出せません。実績のない段階でのお願いですから,信頼という絆が頼りでした。
 結果は170数名の方々からご支援をいただくことが出来ました。それでも相当額には及びません。会員持ち寄りで,「フリーマーケット」を2回ほど開催し,ようやく目標の資金を確保することができました。
 調査・校正・印刷そして資金づくりとフル回転でのマップ作りでしたが,半年後「マップ」が完成した時は,私も会員も家族も,忘れることができない記念すべき日となりました。
 その後,この活動が,地元の中学校の先生の目にとまるなどして,こどもたちに対する福祉教育のお手伝いなどにも声が掛かるようにもなり,私の小さな活動が少しばかり成長したと,とてもうれしく思っております。
 この夏,あしがら車いすトイレマップの会が主催して小・中学生の車いす体験教室も開かれ,その体験記が一冊にまとめられました。








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