●日本立地センターの調査² によれば、大都市におけるIT関連企業の集積要件は、ビジネス存続のために必須要件であるマーケットの存在のほか、ヒューマンネットワークが必要とされる。ヒューマンネットワークは、IT関連企業の集積を支える基盤となるものであり、産学官各々の分野においてキーパーソンが必要とされる。インキュベーション施設については、その有無は問わないが、地域としてのインキュベーション機能、地域企業主導によるインキュベーション機能、行政によるインキュベーション機能いずれかにより、新規企業の創出が行われることがまずあげられている。

　●さらに、企業集積の中核となる交流施設の存在、交流会、交通アクセスの良さ、オフィス賃料の安さ、顧客との近さ、人材確保のしやすさなどもあげられる。これらは、言い換えると都市活性化のためのインキュベーションに不可欠な要素でもあるとされる。　

　●IT関連企業が集積し、発展している地域には、例えばサッポロバレーの青木教授のように、必ずキーパーソンが中心となっているヒューマンネットワークが存在している。キーパーソンらが、それぞれの能力を主体的に提供しあうことによりヒューマンネットワークが一層強力となり、IT関連企業の集積に有効に作用している。その上で、IT関連企業のニーズを満たしていける行政支援策を講じることにより、新規企業を創出し、集積を加速していくことが肝要となるのである。