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福岡市の運輸と観光
特集福岡市港湾局,総務部振興課
1 はじめに
 福岡市は、太古から大陸との密接な関係をつづけ、いつの時代も西からの文化・文明を受け入れる窓口としての役割を果たしてきた。これは、福岡市の持つ地理的条件に依存するところが大きく、21世紀に入った現在においてもその役割は変わっていない。また、福岡市は九州の中枢都市としても発展を続けている。人口は135万人を突破し、九州島の交通ネットワークは陸、海、空いずれも福岡市を中心として発展・形成されている。
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基幹交通網及び主要ターミナル図
2 福岡市の運輸状況について
(1)航空について
 福岡市には、旅客数が関西国際空港に次いで国内第4位の福岡空港がある。福岡空港は、現在、国内線32路線、週332便、国際線23路線、週240便の航路を有し、国内32空港、海外の9カ国・地域の20都市と結ばれている。
 福岡空港は旧帝国陸軍席田飛行場として誕生し、戦後は米軍の板付基地となった。昭和47年に第二種空港として供用開始されたが、現在でも基地返還は行われていない。
 施設の概況は、空港面積約353ha、滑走路2800m×60mが1本、エプロンは59万4864平方m、43バース(ローディングスポット31、ナイトステイスポット12)となっている。ターミナルについては、旅客ターミナルが国内線11万481平方m、国際線7万2781平方m、合計18万3262平方m、貨物ターミナルが国内線1万1311平方m、国際線1万2145平方m、合計2万3456平方mである。
 輸送実績は、平成12年、旅客が国内線1718万4千人、対前年比102.7%、国際線250万4千人、対前年比104.9%、合計で1968万8千人、対前年比103%、貨物は国内線21万5千t、国際線5万6千tで、離発着回数は13万9950回、1日平均382回にも上っている。
 福岡空港は、九州・山口地域の新幹線、高速道路、港湾等との連携のもとに、質の高い航空サービスを提供する国内交流ネットワーク上の拠点空港として、また、我が国の国際交流ネットワークの形成上、アジア太平洋を中心とした方面別ゲートウェイとして、重要な役割を担っている。
 福岡空港は滑走路1本の空港としては国内第1位の離発着回数であり、その処理能力は近く限界を迎えると予測されるため、現在、その代替となる新福岡空港の整備構想が推進されている。また、現空港においても、平成4年に策定された「福岡空港ターミナル地域整備基本計画」に基づき、国際線の旅客及び貨物ターミナルの西側移転や、エプロンの改良、高速脱出誘導路の整備などが行われている。
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国際線旅客ターミナル
(2)海上交通について
 福岡市は、特定重要港湾である博多港を管理している。博多港は、港内の志賀島から金印が発見されたことからもわかるとおり、古くから大陸への窓口であった。博多港は明治32年(1899年)、関税法による対外貿易港として開港指定を受けた。
[1]概況
 平成12年の港勢概況については、入港船舶は4万2661隻(前年比105.7%)、総トン数は5974トン、(同106.6%)であった。海上出入貨物量は、外国貿易1192万トン、(同106.4%)、内国貿易2433万トン(同98.8%)となり、総貨物量3625万トン(同101.1%)であった。
 国際海上コンテナ取扱個数は、51万721TEU(同117.7%)、ダイレクトコンテナは47万3952 TEU(同121.1%)、フィーダーコンテナは3万6769TEU(同86.5%)であった。
 国際コンテナ定期航路は、平成13年9月現在、29航路月間154便で、神戸より西では唯一、世界一周、欧州、北米西岸航路といった基幹航路が寄港している。また、最近では、中国航路や東南アジア航路の充実がめざましい。国際海上コンテナ取扱個数の伸びも著しく、平成12年は50万TEUを突破した。国内では大阪港に次ぎ第6位、世界で見ても第89位(Container throughputs at the world’s top 100 ports)と、名実ともに西日本一のコンテナポートに成長した。
 船舶乗降人員は、外国航路が40.1万人、(同143.7%)と40万人を突破し、内国航路は157.5万人(同102.1%)となり、外内航あわせて197.6万人(同1 08.9%)であった。
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博多港全景
[2]コンテナターミナル
 博多港には、現在、香椎パークポートと箱崎ふ頭に水深12〜13mのコンテナバースが3カ所、ガントリークレーン6基が設置され、岸壁総延長は870mとなっている。また、年々増加するコンテナ貨物に対応するため、香椎パークポート対岸に造成中のアイランドシティに、外・内貿コンテナターミナルを整備中である。
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コンテナ船とガントリークレーン
*香椎パークポート
 博多港初の本格的コンテナターミナル。ターミナル総面積は22万3195平方メートル、バースは全長600m、水深13mとなっている。
 ガントリークレーンは4基設置されており、その内訳はアウトリーチ44m(コンテナ16列対応)2基、アウトリーチ47m(コンテナ16列対応)2基となっており、オーバーパナマックスに対応する。蔵置能力は9684TEUで、冷凍コンテナ用コンセントを300口備えている。現在、ここで年間約39万TEUの国際コンテナ貨物を取扱っている。
 ターミナルの背後には32.9haの港湾関連用地があり、平成8年の分譲開始以来、民間企業の高度化倉庫の立地がすすんでいる。
 香椎パークポートは高速道路に直結した効率的な交通アクセスを誇っている。福岡空港からも至近距離にあり、都市高速道路貝塚ランプまで約3.7km、九州自動車道福岡ICにダイレクトで結節している。
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香椎パークポート倉庫群
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香椎パークポート
*博多港コンテナ貨物ITシステム(HiTS)
 インターネットや携帯電話を利用し、コンテナターミナルからの搬出貨物に関する情報取得(搬出許可照会システム)や、搬出入貨物の事前予約(搬出入貨物予約システム)を行う全国初のシステムで、香椎パークポートコンテナターミナルにおいて運用されている。
 搬出許可照会システムにより、ゲート待ち時間の短縮や迅速な貨物の搬出が実現した。また、搬出入貨物予約システムでは、予約された貨物は、コンテナターミナル外のストックヤードで搬出入を行うため、24時間利用可能となる。これらのシステムにより、博多港におけるコンテナ貨物輸送の効率化が実現している。








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