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(2)主要観光施設
 北九州市における観光振興の取り組みで特筆されるのは、企業遊休地や使われなくなった歴史的建造物などを観光資源として再生・活用し、観光都市として大きく変貌を遂げたことである。
 北九州市を代表する都市型観光の主な拠点は、企業遊休地を活用した「スペースワールド」、関門海峡の景観と歴史的建造物が魅力の「門司港レトロ」、都心部観光の中心エリアの「小倉城周辺」の三つに大きく分けられるが、このほかに産業技術の集積を生かした独自性の高い「産業観光」にも力を注いでいる。
 もちろん、日本三大カルスト台地の「平尾台」、百億ドルの夜景で知られ最新ケーブルカーを導入したばかりの皿倉山などの豊かな自然に加え、全市あげての夏祭りである「わっしょい百万夏まつり」や全国に名高い「小倉祇園太鼓」などの観光資源を生かした滞在型観光も積極的に推進している。
□世界初のテーマパーク・スペースワールド
 スペースワールドは、世界で初めて宇宙をテーマにした大規模テーマパークで、新日本製鐵(株)八幡製鐵所の遊休化した土地を、平成2年に都市型観光の拠点として再生させた施設である。
 特に、この施設が建設された土地は、明治34(1901)年、わが国近代産業の幕開けとなった官営八幡製鐵所が創業を開始したところである。その地に本市観光産業の幕開けとなったスペースワールドが建設されたことは、たいへん意義深い。
 スペースワールドは、地球にいながらにして宇宙を体験できる、まさに魅力満載の遊泳空間である。その中でも特にお勧めなのが、アメリカ・スペースキャンプ財団とのライセンス契約により実現した世界初の宇宙体験学習施設「スペースキャンプ」で、米国NASAと同様の宇宙飛行士訓練プログラムを体験することができる。
 そのほかにも、世界最大級のローラーコースター「タイタン」や「ヴィーナス」、超大型観覧車「スペース・アイ」など、人気アトラクションが目白押しであり、毎年2百万人の観光客を国内外から集める北九州市の代表的な観光施設である。
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スペースワールド
□明治・大正時代のロマン漂う海峡の街門司港レトロ
 門司港地区は、関門海峡に面し、すばらしい自然景観を楽しむことができる地域である。
 また、明治・大正時代から日本有数の貿易港として繁栄してきた港町で、古い洋館が数多く残された地域でもある。これらの建物は、老朽化が著しく、解体の話が進んでいた。この壊れかけた建物を修復・保存し、現代に蘇らせてロマンチックな雰囲気が漂う観光拠点にしょうとしたのが「門司港レトロ事業」の始まりである。
 日本で唯一の人道専用の跳ね橋「ブルーウィングもじ」や、本市の友好都市である中国大連市の象徴的な建物である国際友好記念図書館などを順次完成させ、平成7年にオープンした。
 門司港レトロには、国指定の重要文化財であるJR門司港駅や、アインシュタイン博士も宿泊したことのある旧門司三井倶楽部、関門海峡が一望できるレトロ展望室などがあり、魅力満載のエリアとなっている。
 食通にとっても見逃せないエリアで、関門名物のふぐ料理をはじめとする和食の店から、中華、フランス料理、地ビール工房にいたるまで多様なジャンルの料理や飲物を賞味することができる。
 門司港では、毎年、新たな施設が誕生しており、昨年4月には出光美術館がオープンした。今年7月からは、光の演出による夜間景観の整備も実施し、夜の観光スポットとしても脚光を浴びることになると考えている。
 現在、門司港には年間2百万人近い観光客が訪れている。今後も、「門司港地区拠点文化施設」や「海峡ロープウェイ」「観光列車」など、官民一体となって様々な事業に取り組んでいく。毎年、新たな魅力を加え、有数の観光地として成長していく門司港の魅力を多くの人に知っていただきたい。
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門司港レトロ
□見所・遊び所いっぱいの小倉都心部
 小倉都心部には、平成10年に「松本清張記念館」「小倉城庭園」「北九州メディアドーム」「アジア太平洋インポートマート(AIM)」など、新たな観光施設が完成した。本市の玄関口ともいえるJR小倉駅も新しく生まれ変わり、見所や遊び所いっぱいのエリアとなった。
 その中でもお勧めなのが小倉城周辺であり、小倉城は一般的な歴史資料館であったものを、平成2年に各フロアーごとにテーマを持ったパビリオンに大改装し、からくりシアターや体験コーナーなど、遊び感覚で歴史や文化を学べる魅力づくりを行った。
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小倉城
 小倉城庭園は、小笠原礼法をはじめ、日本の伝統文化を紹介する施設となっており、茶道、冠婚葬祭などの作法が分かりやすく展示・紹介されているほか、体験もできる施設となっている。
 松本清張記念館は、北九州市が生んだ日本を代表する作家・松本清張の軌跡を紹介する日本で唯一の文学館である。同氏の自宅を再現したコーナーや、数多くの作品を様々な手法で紹介するなど、作家活動の全てが分かるようになっている。
 小倉城をはじめとする三つの施設は市民の憩いの場でもある勝山公園の敷地内にあり、入場券は三館セット券を導入して観光客の利便性の向上を図るなど、相互に連携した取り組みを行っている。
 また、小倉都心部には、マイタウン・マイリバー事業で蘇った紫川の下流域が広がっている。マイタウン・マイリバー事業は、単に治水を目的とした河川整備にとどまらず、周辺市街地で計画されている再開発や道路整備とも連携させて、川をシンボルとした魅力ある都心空間を形成しようというものである。
 この事業の一環で、鮎が帰って来るまでにきれいな水を取り戻した紫川の生物を紹介する「水環境館」や、横浜市の中華料理店「聘珍樓(へいちんろう)」、台北最大の台湾料理店「欣葉(しんよう)」などが入居する「小倉リバーサイドチャイナ・紫江’s(しこうず)」が昨年夏にオープンした。
 さらに、小倉城のお堀端では、マイタウン・マイリバー事業の仕上げとも言うべき「室町一丁目地区第一種市街地再開発事業」が着々と進められている。延床面積17万m2の建物の中に、ショッピングモール、シネマコンプレックスや劇場、ギャラリーなどを備えた複合ビルが平成15年春に誕生する。これにより、小倉都心部観光の魅力がより一層高まっていくものと考えている。
□産業技術の集積を生かした産業観光の推進
 北九州市は、日本でも有数の工業都市であるという特性を生かして、重工業から家庭用品まで様々な工場を見学することができる産業観光も推進している。製鉄所や自動車工場、ロボット工場など、普段立ち入ることのできない様々な施設を見学することができるのである。
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新日本製鐵(株)八幡製鐵所(第4高炉)
 近年の観光形態は、単なる物見遊山的なものから、「体験」や「学習」の要素を強めた観光へと変化してきており、産業観光はこうしたニーズに対応できる独自性の高い観光で、年間約25万人もの見学者がある。
 また、産業観光は学習的要素を多く含んでいることから、修学旅行誘致の観光資源として活用しており、スペースワールドなどの観光施設とセットにした誘致活動を展開している。
 さらに、地球温暖化をはじめとする環境問題への関心の高まりを受け、ごみのリサイクルを中心とした環境産業への見学希望者か増加しており、響灘地区で推進中の「北九州エコタウン事業」の見学者は年々増加の一途をたどっている。
(3)北九州博覧祭の開催
 折りしも今年、つまり2001年は、官営八幡製鐵所の東田第一高炉に火が入って百周年を迎える。その記念の地を会場として、7月4日から11月4日までの124日間にわたって「北九州博覧祭2001」を開催する。博覧祭は、ジャパンエキスポ制度の認定を、政令指定都市として初めて受けたものである。
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北九州博覧祭2001
 会場は、産業・文化・住宅などを融合させた再開発事業が進展している地域で、広さ29ha、JRスペースワールド駅前であり、スペースワールドのすぐ隣である。アクセス、アミューズメント両面において抜群の立地性を有し、多くの企業パビリオンに加え、中国大連市やモンゴル政府も出展するなど、30ものパビリオンで構成している。
 博覧祭のテーマは、これからの百年に目を向け、「響きあう人・まち・技術」とし、テーマを具現化するため「産業・技術」「環境」「アジア」「健康・福祉」「産業観光」の五つの視点を中心に事業の展開を図っている。
 従来型の博覧会に加えてコンベンションやフェスティバルも一体となった新しい「祭」として実施し、観光客集客の起爆剤にもしたいと考えている。
(4)今後の課題
 多彩な観光資源により、北九州市を訪れる観光客数は1千万人を超えているものの、経済効果が大きい宿泊観光客が1割程度と少ないことから、その増加を図るため、「滞在型観光の推進」を主要な課題として取り組んでいる。
 具体的には、[1]滞在時間の長時間化、回遊性の向上[2]博覧祭を契機とした観光客の誘致[3]受け入れ態勢の整備の三つを取り組みの柱として観光の振興を進めていくこととしている。








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