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[4] 公共交通
 本市の公共交通は、鹿児島本線、日豊本線などのJRとモノレールや筑豊電鉄などの軌道系を骨格として、路線バスやタクシーが補完・結節しており、市民の重要な移動手段となっている。また、北九州都市モノレールは、平成10年4月に小倉駅ビルのリニューアルに併せ小倉駅まで延伸し、JRやバスとの結節が大きく改善された。
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モノレール
 しかしながら、公共交通機関の分担率は低く、特にバスについては、平成5年の約30万人をピークに平成11年は約3割減の約21万人となっている。
 また、本市では、高台地区など交通不便地域が多く、しかも高齢化率は県平均を上回るペースで進んでいることから、公共交通機関の利用に関する市民のニーズは高い。
 このような課題への対応と平成14年2月から実施される乗合バス等の規制緩和に向けて、平成12年度から公共交通機関のあり方などを検討する「北九州市公共交通戦略プラン」を策定している。
 今年度中に、関係機関や交通事業者などと協議・検討を行ない、本市の今後の基本的な公共交通のあり方をまとめる予定である。
(5)鉄道について
[1] 概況
 本市は、本州から陸路九州入りする際の玄関口に位置していることから、鉄道路線についても、関門鉄道トンネルを中心に、ほぼ放射状にJR在来線が整備されてきた歴史を持っている。
 現在の本市の都市交通の骨格は、これらの鉄道が主に担っている状況である。
 まず、関門海峡を隔てた対岸の下関市との間には、「JR山陽本線」の関門鉄道トンネルがある。
 この山陽本線は、トンネルの出口である門司駅で、南へ向かう九州の西の幹線「鹿児島本線」に繋がっている。さらに鹿児島本線を一駅西側に進むと小倉駅があり、ここでは九州の東の幹線である「日豊本線」が分岐する。日豊本線を南へ3駅進むと、大分県日田市へ向かう「日田彦山線」が分岐する。
 また、小倉駅から鹿児島本線を西に向かうと、8駅先の折尾駅では、本市の若松区と福岡県中央部の各都市を結ぶ「筑豊本線」が交差する。この筑豊本線については、一部の区間(若松〜折尾)を除いて平成13年10月に電化事業が完成する予定である。
 また本市には、山陽新幹線の「小倉駅」があり、本市の都心部の玄関 口となっている。この小倉駅からは、新幹線の基本計画路線である「東九州新幹線」が将来的には分岐する予定となっている。
 市内には、これらJRの5線に27の旅客駅が設置されており、路線が充実していることから、政令指定都市であるが、地下鉄の整備に至っていない状況となっている。
 さらに私鉄については、JR黒崎駅から隣接する直方市へ向けて、「筑豊電気鉄道線」が営業している。

[2] 今後の鉄道整備
 本市においては、現在、洞海湾により隔てられた筑豊本線の若松駅と、鹿児島本線戸畑付近を海底トンネルで結ぶ「洞海湾横断鉄道構想」を検討しており、市西部の交通環境の改善を目指している。
 この事業は、わずか2kmの新線を整備することにより既存の路線をも活性化できる効果の高いプロジェクトであると考えている。
 また、平成17年開港予定の新北九州空港へ、都心部からの利便性を向上させるため、空港アクセス鉄道の検討を進めているところである。
 従来から、市内に整備されてきた、既存の鉄道路線を活かすことにより、より効率的な都市交通を実現しようとするものである。
3 北九州市の観光について
(1) 概況
 かっては、鉄の街として栄え、日本の高度成長を支えてきた北九州市は、1980年代後半から、円高不況や構造不況の影響により、主力産業の製造業が活力を失い、沈滞した状況になった。
 こうした状況を打開し、市の活性化を図るための即効薬として考えたのが、観光産業やコンベンションの振興であった。
 その頃、本市で「観光」と言えば市民が他の観光地に出かけることであり、外から人を集めて街の活力を高めようという「観光マインド」は皆無に等しい状況であった。本市での観光振興はまさにゼロからのスタートであったと.言って過言ではない。
 観光に本格的に取り組むため、昭和62年に観光課を新設して、それまでわずか4人だった担当者を15人に増やした。
 また、「人の集まるまちづくり」を掲げ、地域経済の振興に即効性のあるコンベンションの誘致などにも積極的に取り組んできた。
 現在では、官民あげての努力が実り、平成10年には年間観光客数は1千万人を突破し、観光消費額も600億円、また経済波及効果も800億円を越えると試算され、観光は本市の重要な産業として成長しつつある。
観光消費額及び経済波及効果の推移
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観光客数の推移
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