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3 循環型社会の構築
(1)静脈物流システムの構築
 廃棄物の輸送については、従来、少量・短距離の輸送が主流でしたが、今後、リサイクルの進展により、リサイクル拠点への廃棄物輸送や、消費地への資源化された廃棄物の輸送が、大量かつ広域的に発生することが予想されます。このことから、廃棄物に係る輸送を静脈物流と位置づけ、リサイクルの促進に寄与するとともに環境負荷の小さいシステムとして整備していくことが必要です。
 静脈物流については、高速での輸送のニーズは少ない一方で、できる限り低コストによる輸送が求められるという特性を有しています。また、海運や鉄道を有効に活用し、環境負荷の小さい静脈物流体系を構築するためには、リサイクル施設等の計画段階から静脈物流の体系のあり方について十分考慮していくことが必要です。
 
●ゴミゼロ型都市形成のための静脈物流システムの構築
 東京圏の七都県市及び関係各省は、ゴミゼロ型都市の実現に向けたプロジェクトを実施する上での課題を解決し、その着実な推進を図るため、2001年7月にゴミゼロ協議会を設置しました。同協議会においては、民間事業者等とも連携し、東京湾臨海部等における廃棄物・リサイクル拠点形成に対応した、環境負荷の小さい静脈物流システムの構築を推進することとしています。国土交通省では、このため七都道府県とも連携し、整脈物流の実態把握、輸送機関のネットワーク、係留施設・ヤード等施設整備等の諸課題についての調査研究に着手します。
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●港湾を核とした総合的な静脈物流システムの構築
循環型社会の実現を図るため、静脈物流の拠点となる港湾において、既存ストックを最大限に活用し、物流コストの低減及び環境負荷の軽減を主眼において静脈物流システムを構築する。特に、大量のゴミの廃棄で処理の限界に至っている大都市圏においては、臨海部の低・未利用地等を最大限に活用し、新しい循環型の都市に再構築すべく、エコタウン事業と連携しつつ、総合的な静脈物流拠点の形成を図る。
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港湾を核とした総合的な静脈物流システムの構築により、リサイクル処理施設の拠点化と海運利用が進展すれば、リサイクルに要するコストは概ね2割程度削減可能
(2)自動車リサイクル対策
 年間約500万台排出される使用済自動車は、有用金属・部品を含め資源として価値が高いものであるため、従来は解体業者や破砕業者による売買を通じて流通し、リサイクル・処理が行われてきました。しかし、廃棄物最終処分場の逼迫により、使用済自動車から生じるシュレッダーダストを低減する必要性が高まっています。また、最終処分費の高騰、鉄スクラップ価格の低迷により、使用済自動車の逆有償化がこの数年顕著になり、不法投棄・不適正処理の懸念も生じています。
 このため、自動車製造業者を中心とした関係者に適切な役割分担を義務付けることにより、使用済自動車のリサイクル・適正処理を図るため、「使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)(案)」が2002年4月国会に提出される予定です。同時に、道路運送車両法を改正し、自動車リサイクル促進等の観点から、永久抹消登録等については使用済自動車が、自動車リサイクル法の枠組みに従って適正に解体処理されたことを踏まえて行うこととするとともに、これらの手続きが確実に行われるよう、自動車の使用実態の適切な把握を行うこととしています。
 
●抹消登録制度の改正案
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(3)FRP船リサイクル対策
 1960年代後半以降に普及したFRP(繊維強化プラスチック)船は、廃棄処理費用が高いことや、処理事業者が限られていることなどの理由から、利用者による適正な廃船処理が行われず、海洋投棄などの問題が発生しています。しかも、今後廃船となるFRP船の増加が見込まれており、低廉な廃船処理方法の早期実現、さらに、限られた資源の有効活用を図り、循環型社会の構築を促進するための処理方法の確立が必要とされています。
 このため、国土交通省では、2000年度より「FRP廃船高度リサイクルシステム構築プロジェクト」を実施してきています。これまでは、FRP廃材をセメント原燃料として再利用する技術及び船体の劣化、損傷箇所のみを取り替え可能とするリユース技術の研究開発を実施してきました。
 今後は、リサイクルやリユースに係る技術開発、関係者の役割分担や費用負担の明確化等の課題を2003年度までに克服し、2005年度にリサイクル制度の運用開始を目指すこととしています。
 
●FRP廃船の高度リサイクルシステムの構築
目的:FRP廃船の不法投棄、放置艇の沈廃船化等社会的問題に対処するため、FRP廃船の適正な処理体制を確立し、循環型社会の構築や資源の有効活用等の社会的要請に応える。
内容:[1]リサイクル実証プラントによる実証試験に着手するために必要な要素技術の開発を実施するとともに、リサイクルシステムを事業化するための検討を行う。
   [2]船体の劣化・損傷個所のみを取替え可能とするリユース技術の研究開発を実施する。
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