図IV-7 ノズル間隔-散布幅と散布高さとの関係
図IV-8 散布高さと吐出流量との関係(ノズル1個当り)
(3)試験結果の解析
[1]散布高さを一定とした場合の散布幅
イ.散布高さと圧力降下
図IV-6に示すように散布高さが高くなる程、散布幅が広くなるが、散布高さ約3mを境に散布幅の増加率が小さくなる傾向にある。
このことは本散布装置の散布高さが3m以上になるとノズル吐出口の圧力降下が顕著になるものと推察される。
全吐出圧は次式により求まる。
「全吐出圧=液の粘度+ホース+散布管+揚程+各ノズル吐出圧」
全吐出圧はポンプ吐出口で調整しているが、上式の右辺の項目毎にそれぞれ摩擦抵抗等があり、ノズル吐出口では各項目の合計の摩擦抵抗等により圧力損失が生じる。また、散布高さが高くなる程、揚程による圧力降下が大きく、圧力損失が多くなることが挙げられる。
ロ.散布高さと散布幅
一方、船舶用散布装置の設置高さは作業船の大きさにもよるが2〜3m程度と想定されるので本試験結果の散布高さを2.0、2.5及び3.0mとした場合の散布幅を図IV-7から求めた。その結果を下表に示す。
表IV-4 散布高さと散布幅
散布高さ(mm) |
2000 |
2500 |
3000 |
散布幅(mm) |
吐出圧
(Mpa) |
0.2 |
1280 |
1570 |
1810 |
0.3 |
1390 |
1740 |
2030 |
0.4 |
1470 |
1830 |
2160 |
ハ.散布幅とノズル間隔
上表から基準吐出圧を0.3Mpaとすると各散布高さの散布幅とノズル間隔は次のとおりとなる。
散布高さ(m) |
散布幅(mm) |
ノズル間隔(mm) |
2.0 |
1390 |
1400 |
2.5 |
1740 |
1700 |
3.0 |
2030 |
2000 |
[2]散布幅と散布高さとの関係
散布幅1200、1500、1700及び2000mmとした場合の散布高さを図IV-7から求めた。
その結果を下表に示す。
表IV-5 散布幅と散布高さ
散布幅(mm) |
1200 |
1500 |
1700 |
2000 |
散布高さ(mm) |
吐出圧
(Mpa) |
0.2 |
1840 |
2360 |
2720 |
3460 |
0.3 |
1740 |
2150 |
2430 |
2940 |
0.4 |
1650 |
2030 |
2300 |
2760 |
[1]で述べたように作業船からの散布高さを2m〜3m範囲とすると散布幅1500 mm及び1700mmとなる。この散布幅に対するノズル間隔は1500mmと1700mmの2ケースとなる。
[3]散布高さと吐出圧-吐出流量との関係
散布高さと吐出圧-吐出流量(ノズル1個)との関係を図IV-8に示す。
イ.吐出圧と吐出流量
吐出圧と吐出流量を見ると当然叶出圧が高い程、吐出流量が多くなる。また、異なるノズル間隔の吐出圧と吐出流量の関係を見ると若干のバラツキがあるがほぼ同値である。このバラツキは、計測時の受水時間の精度(長短)によるもので他の要因はない。
ロ.散布高さと吐出流量
散布高さと吐出流量で見ると、吐出圧0.2Mpaでは散布高さが高くなる程、吐出流量が減少する。叶出圧0.3Mpaも0.2Mpaと同じ傾向を示すが散布高さ5mでは減少率が大きくなる。吐出圧0.4Mpaは散布高さ2〜4m迄はほぼ同じ吐出流量である散布高さ5mでは流量が減少する。この散布高さ5mでの減少率が大きくなるのは[1]項で述べた抵抗増加と高さによる圧力降下が要因として推察される。
前項で散布高さとノズル間隔の違いによる散布幅の影響について調査した。その結果を基に、粘度の違いによる散布幅の影響について調査するため散布装置Bを製作した。
散布装置Bの要目等を表IV-6に、試験装置等の概略を図IV-9に示す。
表IV-6 散布装置Bの要目等(ノズル4個)
散布管の長さ(mm)
内径(mm) |
4050(SUS)
21.2 |
ホース長さ(mm)
内径(mm) |
4400
19.0 |
ノズル個数(個) |
4(規格1/4MVEP4078S303) |
噴射角(度) |
40±5 |
ノズル間隔(mm) |
1200 |
吐出圧力(Mpa) |
0.1〜0.4 |
なお、ポンプ及び吐出圧力調整のリリーフバルブは前項と同じ物を使用した。
(1)試験方法と計測項目(図IV-9参照)
[1]散布管を計測位置より高さ2mに設置した。
[2]ポンプを駆動し吐出圧を0.2、0.3及び0.4Mpaにそれぞれ設定し、全散布幅、散布の重なり幅及びノズル1個の散布幅を計測した。
[3]各ノズルの吐出量を計量するため図に示す様に計量ノズル以外はノズル先端にホースを装着して薬剤容器に使用液体を還元した。なお、散布幅及び重なり幅の計測については前項と同じである。
(拡大画面: 76 KB)
図IV-9 試験装置等の概略(散布装置B用)
吐出圧(Mpa) |
0.1 |
0.2 |
0.3 |
0.4 |
散布幅ノズル1個(mm) |
917 |
1255 |
1287 |
1332 |
重なり幅(mm) |
-256 |
89 |
150 |
204 |
全散布幅(mm) |
4519 |
4870 |
4892 |
4997 |
吐出量(l/min) |
a |
3.68 |
5.68 |
7.00 |
8.04 |
b |
3.72 |
5.72 |
7.00 |
8.20 |
c |
3.76 |
5.74 |
7.12 |
8.10 |
d |
3.66 |
5.56 |
6.90 |
7.94 |
平均 |
3.71 |
5.68 |
7.01 |
8.07 |
全吐出量(m3/h) |
0.89 |
1.36 |
1.68 |
1.94 |
吐出圧(Mpa) |
0.2 |
0.3 |
0.4 |
散布幅ノズル1個(mm) |
1058 |
1246 |
1539 |
重なり幅(mm) |
-111 |
68 |
250 |
全散布幅(mm) |
4701 |
4747 |
4857 |
吐出量(l/min) |
a |
5.52 |
7.38 |
8.72 |
b |
5.82 |
7.36 |
8.62 |
c |
5.72 |
7.30 |
8.66 |
d |
5.34 |
7.20 |
8.44 |
平均 |
5.60 |
7.31 |
8.61 |
全吐出量(m3/h) |
1.34 |
1.75 |
2.07 |