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プレジャーボート等の安全運航のために
第四管区海上保安本部航行安全課
1.海難の発生状況
 平成12年の要救助船舶(救助を必要とする海難に遭遇した船舶)は、全国で2,873隻、四管では138隻であり、このうちモーターボート、ヨット、遊漁船などのプレジャーボート等の海難は、全国で1,142隻、四管では63隻でした。
 これら要救助海難に伴う死亡・行方不明者は、全国で163人、四管では8人でした。このうちプレジャーボート等については、全国で29人、四管では2人となっております。
 プレジャーボート等の海難の占める割合は、全国では47%、四管では約46%を占め、船舶用途別で第1位となっています。
 この傾向は、昭和61年から続いており、海洋レジャーの盛んな当管区の特徴となっています。
 
 四管におけるプレジャーボート等の海難について、船型別にみますと
モーターボート 34隻 54%
和船型ボート 9隻 14%
水上オートバイ 6隻 10%
ヨット 7隻 11%
手漕ボート 4隻 6%
遊漁船 3隻 5%
 
海難種類別(隻数)
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海難種類別では
機関故障 15隻 24%
衝突 13隻 21%
乗揚げ 12隻 19%
推進器障害 9隻 14%
その他 9隻 14%
転覆 4隻 6%
火災 1隻 2%
 
海難種類別(隻数)
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原因別では
機関取扱不注意 16隻 26%
見張不十分 14隻 22%
操船不適切 7隻 11%
水路調査不充分 6隻 10%
船位不確認 5隻 8%
不可抗力 4隻 6%
材質・構造老朽等 4隻 6%
その他 4隻 6%
気象・海象不注意 3隻 5%
 
海難種類別(隻数)
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等、人為的な要因によるものが55隻であり、全体の87%を占めています。また、部署別でみますと、名古屋22隻、鳥羽17隻、衣浦9隻、蒲郡6隻、四日市5隻、尾鷲4隻となっています。
2.事故事例
 平成12年における幾つかの事故事例を紹介します。
 
[事例 1]衝突
 平成12年9月7日、遊漁船K丸(1名乗船)は、片名漁港沖合での遊漁を終え、釣客を下船させて片名漁港を出港したところ、片名漁港口付近において、組立式ボートS丸(1名乗船)が、漂泊して魚釣りしているのに全く気がつかず、そのまま衝突した。
 S丸は、衝撃により船体がふたつに折れ大破し、乗船していた男性(70歳)が海に投げ出されたため、K丸が男性を救助して救急車により病院に運ばれたが、溺死により死亡した。
◎主たる海難の原因 見張不十分
 
[事例 2]衝突
 平成12年7月30日、友人とともに内海海水浴場に遊びに来ていた女性(18歳)は、水上オートバイで遊走していた男性から誘われ、男性と一緒に20分程度航走した。
 その後、女性はもう一度乗りたくなり、男性が水上オートバイから離れた隙に無断で乗り込み、沖合を一周して砂浜に戻る途中、運転を誤り防波堤に衝突した。
 女性は、意識朦朧となり救急車で病院に運ばれ、全治2ヶ月の骨盤骨折で入院した。
 女性は、海技免状を受有しておらず、また運転未熟のため視認していた防波堤を回避することができなかった。
◎主たる海難の原因 操船不適切
 
[事例 3]乗揚げ
 平成12年5月25日、和船型ボートM丸(1名乗船)は、熊野市磯崎町猪ノ鼻沖合において、イサキ釣りをしていたところ、船長が急性心不全により意識不明の状態に陥り、M丸は漂流状態となり七里御浜の志原河口付近に漂着して乗揚げ、その後、磯波により転覆状態となった。
 船長は、M丸の船縁に手をつき、うつ伏せ状態で倒れており、救急車により病院に運ばれたが死亡した。
◎主たる海難の原因 乗船者の死亡
 
[事例 4]火災
 平成12年7月4日、ヨットB丸(1名乗船)は、紀伊長島港で仮泊していた際、船長が機関を起動したまま上陸して帰船すると機関が停止していたので、再起動を試みたが起動せず業者に点検を依頼した。
 B丸は、業者の点検修理により機関が起動したため、紀伊長島港を出港して航行していたところ、居室出入口付近から発煙して火災が発生した。
 水難救済会所属漁船が、救助に向かいポンプによる放水を行い消火、港へ曳航した。
 出火原因は、機関内での漏電によるものであった。
◎主たる海難の原因 不可抗力(漏電)
 
[事例 5]機関故障
 平成12年8月4日、モーターボートS丸(6名乗船)は、鳥羽市坂手島丸山崎沖合を速力30ノット以上で高速航走していたところ、波浪により船体が2度跳ね上がり、船尾トランサム部から海面に落下、強い衝撃を受けアウトドライブが脱落し航行不能となった。
 S丸は、巡視艇により曳航救助されたが、乗船者6名のうち3名が骨折、1名が頸椎捻挫等の重傷を負った。
◎主たる海難の原因 操船不適切








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