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3 海難の種類別に見ると、衝突が33隻(25%)と最も多く、次いで乗揚げ、火災が各21隻(15%)、機関故障18隻(13%)となっており、12年も前年と同様、衝突が最も多い。(図5)
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海難種類別発生割合(図5)
 プレジャーボート等の海難においては、機関故障が15件(24%)、衝突13件(21%)、乗揚げ12件(19%)、推進器障害9件(14%)の順となっており、相変わらず機関故障が最も多く、次いで衝突となっている。(図6)
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プレジャーボート等の海難種類別発生割合(図6)
4 海難の原因別に見ると、見張り不十分(30隻 23%)、操船不適切(14隻 10%)、船位不確認(10隻 7%)といった運航の過誤によるもが81隻で全体の59%を占め、さらに機関取扱い不良、火気可燃物取扱い不注意を加えた人為的要因によるものは106隻と、全体の77%を占めている。(図7)
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原因別発生割合(図7)
 特にプレジャーボート等については、機関取扱い不良等(16隻 26%)、見張り不十分(14隻 22%)、操船不適切(7隻 11%)等、人為的要因によるものが約9割となっている。(図8)
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プレジャーボート等の原因別発生割合(図8)
 
[事例1]衝突
 平成12年9月7日、遊漁船K丸(1名乗船)は、片名漁港沖合での遊漁を終え、釣客を下船させて片名漁港を出港したところ、片名漁港口付近において、組立式ボートS丸(1名乗船)が、漂泊して魚釣しているのに全く気がつかず、そのまま衝突した。
 S丸は、衝撃により船体がふたつに折れ大破し、乗船していた男性(70歳)が海に投げ出されたため、K丸が男性を救助して救急車により病院に運ばれたが、溺死により死亡した。
◎主たる海難の原因 見張不十分
 
[事例2]衝突
 平成12年7月30日、友人とともに内海海水浴場に遊びに来ていた女性(18歳)は、水上オートバイで遊走していた男性から誘われ、男性と一緒に20分程度航走した。
 その後、女性はもう一度乗りたくなり、男性が水上オートバイから離れた隙に無断で乗り込み、沖合を一周して砂浜に戻る途中、運転を誤り防波堤に衝突した。
 女性は、意識朦朧となり救急車で病院に運ばれ、全治2ヶ月の骨盤骨折で入院した。
 女性は、海技免状を受有しておらず、また運転未熟のため視認していた防波堤を回避することができなかった。
◎主たる海難の原因 操船不適切
 
[事例3]乗揚げ
 平成12年5月25日、和船型ボートM丸(1名乗船)は、熊野市磯崎町猪ノ鼻沖合において、イサキ釣りをしていたところ、船長が急性心不全により意識不明の状態に陥り、M丸は漂流状態となり七里御浜の志原河口付近に漂着して乗揚げ、その後、磯波により転覆状態となった。
 船長は、M丸の船縁に手をつき、うつ伏せ状態で倒れており、救急車により病院に運ばれたが死亡した。
◎主たる海難の原因 乗船者の死亡
 
[事例4]火災
 平成12年7月4日、ヨットB丸(1名乗船)は、紀伊長島港で仮泊していた際、船長が機関を起動したまま上陸して帰船すると機関が停止していたので、再起動を試みたが起動せず業者に点検を依頼した。
 B丸は、業者の点検修理により機関が起動したため、紀伊長島港を出港して航行していたところ、居室出入口付近から発煙して火災が発生した。
 水難救済会所属漁船が、救助に向かいポンプによる放水を行い消火、港へ曳航した。
 出火原因は、機関内での漏電によるものであった。
◎主たる海難の原因 漏電
 
[事例5]機関故障
 平成12年8月4日、モーターボートS丸(6名乗船)は、鳥羽市坂手島丸山崎沖合を速力30ノット以上で高速航走していたところ、波浪により船体が2度跳ね上がり、船尾トランサム部から海面に落下、強い衝撃を受けアウトドライブが脱落し航行不能となった。
 S丸は、巡視艇により曳航救助されたが、乗船者6名のうち3名が骨折、1名が頸椎捻挫等の重傷を負った。
◎主たる海難の原因 操船不適切








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