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小型船舶の安全運航
ブローチングを回避するために
〈その1〉
 日本小型船舶検査機構では、小型船の安全のために小型船舶のブローチングに関する調査研究委員会がひらいて研究した結果を報告書としてまとめ、その中から乗組員の方々が日常心掛けておくべきことがらを抜粋して、次のようにわかりやすくまとめました。航行の安全のために活用して下さい。
1.ブローチング現象とは
 ブローチング現象とは、船が荒れた海面を斜め追い波を受けて航行中、波の下り斜面で回頭しかけた時、コースに戻そうとして舵を一杯にとっても、より大きな波の力のために操縦不能となり、回頭を続けながら傾斜し、滑るように流される現象をいい、時には転覆に至ることもあります。
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2.自船の性能をよく知っておきましょう
 船は出航時には安定性がよくても、燃料を消費したり、漁獲物を積んで帰港する時にはあしが弱くなったり、追い波に弱くなったり、横波を受けると大きく傾くようになったり船の性能が変ってくることがあります。
 自船の特徴を知っておくことは、安全運航の基本でありますが、ブローチングの回避についても前もって予防手段をとることができますから、ぜひ日頃から注意して自船の性能の変化をよく知っておきましょう。
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3.積荷の移動に伴う船体姿勢の変化を調べておきましょう
 同じ船でも積荷の位置やイケス使用等のため前トリムとなって方向安定性が悪くなることがあります。
 前トリムになるとブローチングを起こしやすくなります。
最も安定した航走姿勢となるような積荷の配置位置等を確かめておきましょう。
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4.なるべく重心を下げるようにしましよう
 積荷により船の重心が上ることを避けるのは安全に航行するうえで必要なことですが、重心を下げることによりブローチングの際に起きる船の傾きも少なくすることができます。重心を下げるには、甲板上にある荷を魚艙におろしたり、小さい船では乗員の姿勢を低く構えることで効果があります。
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5.荷くずれをしないよう荷を固定しましょう
 荷くずれは船の復原性に非常に悪い影響を及ぼします。ブローチングは突然発生し船を傾斜させますから、少しでも時化てきたら荷を固定し、イケスの水などなるべく排出しましょう。
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