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国際関連活動
 MIRCの活動の1つの柱は海洋データ・情報に関する諸問題における国際協力におかれている。国際協力に関する事項は後掲の「MIRCの歩み」にもリストアップしてあるが、主要なものについて、以下に説明する。
各国海洋データセンターとの連携の強化
1. インド海洋データセンター訪問
 インドの国立海洋データセンターは、国立海洋研究所に属しており、ゴアに置かれている。従来、JODCあるいはMIRCの国際活動は太平洋地域を中心に行われており、インド洋を中心とした国との連携は十分とは言えなかった。永田豊は2001年1月に、インド海洋データセンターを訪問し、MIRC活動紹介を行うと共に、MIRCが作成したQCソフトウェアの提供をし、今後の協力を約した。
2. 米国NODC訪問
 米国のNODCは、世界で最も活発なNODCであり、MIRCとしても密接な情報交換を行ってきている。特に北太平洋亜寒帯海域で見られる水温・塩分の生起頻度分布に現れる歪については、北大西洋においても見いだされることがNODCの研究で明らかになっている。2000年1月に永田豊・鈴木亨・小熊幸子が、7月には永田豊が再度、米国NODCを訪問し、相互の最新の研究成果を討議するとともに、わが国の二酸化炭素データ収集の動きを初め各種の情報交換を行った。
3. MEDS訪問
 カナダの海洋データセンターは、気象関係のデータ情報を同時に扱っており、MEDS(Marine Environmental Data Service)と呼ばれている。2001年10月永田豊はMEDSを訪問し、ARGO計画で得られる膨大な海洋観測資料の管理計画について調査し、種々の情報交換を行い、今後の協力を約した。
4. タイ・バンコックのChulalongkorn大学訪問
 タイにはまだ、国立海洋データセンターが設置されていない。しかし、タイ湾を中心に国際協力研究が実施されるなど、国際的なデータ交換の機運が盛り上がりつつある。この国際プロジェクトに関連したデータセンターがバンコックのチュラロンコーン大学に設置されている。永田豊・平尾昌義は2001年8月にこの大学を訪問し、その実情を調査すると共に、各種の情報交換を行った。また、大学ではこれを機会に数箇所の研究機関からデータ管理に係わっている研究者を集めて海洋データ管理のワークショップを開いてくれた。我々もそこでMIRCの活動状況と開発した品質管理ソフトについて講演し、MIRCの開発した品質管理ソフトのデモンストレーションと提供を行った。
5. インドネシア国立化学研究所訪問(2002・1)
 当初、12月に予定したインドネシア国立科学研究所(LIPI)訪問は、諸種の事情から2002年1月に実施し、永田豊がジャカルタおよびバンドンにあるLIPIの海洋研究部門を訪問し、MIRCの開発した品質管理ソフトウエアの提供を行い、データ管理問題について講演した。インドネシアにも国立海洋データセンターの設置はまだ実現していないが、LIPIの中にはデータ管理のセクションがあり、バンドンのバンドン工科大学の海洋関連部門で、海洋データの管理機構を作ろうとする動きがあることを知ったのは収穫であった。
二酸化炭素関連・JGOFS等の国際会議
 JODCのデータベースでは、物理的項目に関してはその収集が進んでいるが、生物学的・化学的データに関しては、詳細なメタデータの付加が必要であるなど、十分に対応していない状態にあった。MIRCでは、この点の改善を行うため、また地球温暖化問題の重要性からも、海洋中二酸化炭素の関連データの管理について研究を進めてきている。その一環として、鈴木亨・小熊幸子は2001年1月、カナダ海洋学研究所(シドニー)を訪問、同地で開催された二酸化炭素国際ワークショップ参加し、研究発表を行った。また、化学的データの取り扱いを討議するため、7〜8月米国NODCのPaulette P. Murphy博士を招聘した。Murphy博士は、これを機会に、海上保安庁水路部内で開かれたPICES Working Group 13 CO2 meetingにも出席した。鈴木亨・小熊幸子もこのmeetingに出席し、討議に参加した。
その他国際機関総会・国際学会等
 MIRCでは、その研究成果を国内外の国際会議、国際学会で次のような研究発表をしてきている。
 2月 永田豊、紋別市で開催された第16回オホーツク海と流氷に関するシンポジウム出席、発表2件(1つは鈴木亨、共著者道田豊発表)
 7月 永田豊、米国オーランドで開催された5th World Multiconference on Systmics, Cybernetics, and Informatics and 7th International Conference on Information Systems Analysis and Synthesisに出席、発表1件。
 8月 永田豊、ソウルで開かれたFifth IOC/WESTPAC International Scientific Symposiumに出席、発表1件
 10月 永田豊・鈴木亨・小熊幸子、カナダ・ビクトリア市で開催された第10回PICES総会出席、発表1件。








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