日本財団 図書館


3.2 今後の課題
 
(1)基本水準面高低モデルの構築について
 
 1995年1月の兵庫県南部地震にともなう20cm程度の大きな地殻変動(地盤の沈降)があり、神戸の験潮所の記録に明確に現れている。今回の基本水準標のGPS測量で、明石の結果については検討を要する。
 地盤沈下に関して、瀬戸内海沿岸では、広島平野と岡山平野で大きな変動があったと見られている。ただし、広島験潮所記録には現れていない。これらの影響を、水準測量成果等を用いて見積もり、今回のGPS測量結果への影響を補正するかどうか検討する必要がある。
 沈降5mmの速度の場合、50年間で25cmになることから、補正が必要と思われ、今後の検討課題である。
 平均水面高低モデルとジオイドの関係を見ると、丸亀付近及び、広島湾、国東半島の周辺でジオイドとの傾向が異なって見える。ジオイドは重力との関係から成立しており、潮汐と重力とは密接に絡んでいることから、これらを含めた議論が必要なのかもしれない。
 
(2)マルチビームデータの処理について
 
 不良データとなる原因には、動揺、Heave、などのほかに、センサーの形状に起因する音響ドップラー効果、などが考えられる。また、動揺センサーでも種類により取得データが異なり、解析に影響する可能性があることがわかった。これらセンサーから得られるデータをもとに処理が可能なソフトウェアを作成する必要がある。
 
(3)不良データ処理ソフトウェアについて
 
 作成したロバスト推定法を用いた不良データ処理ソフトウェアについては以下の課題がある。
 本ソフトウェアは海底面を2次曲面方程式でモデル化している。詳細に海底面を表現するためには、高次の方程式でモデル化する必要がある。また、海底面を2次曲面方程式でモデル化している。このため、2次曲面方程式で表現することができない工作物の取扱いを考慮する必要がある。さらに、ユーザーがセルサイズを決定する仕様となっている。ビーム数、水深に応じてセルサイズの自動調節する機能を備える必要がある。








日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION