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2.4.3 誤差判別方式の検討
 
 測深データから測線毎のピングファイルを作成し、ピングファイル編集による不良データの除去処理方法を検討した。
 ピングファイルの編集方法は、コンピュータグラフィックス(CG)手法を用いた自動編集と手動編集の2通りとし、除去したデータを復元させる機能を備える。
 測線毎のピングファイルに対応する航跡データ、動揺データ、潮高データ、音速データを抽出し、これらのデータをCGにより同時表示させることで総合的に水深データの誤差判別を実施する手法を検討した。また、航跡データ、動揺データ、潮高データを修正した場合に、修正結果をピングファイルに反映させる方法を検討した。
 ピングファイル編集手法の概要を表25に示す。
 
表25. ピングファイル編集手法の概要
ピングフアイル表示方法 ・2次元(水深段彩表示)
・簡易3次元(水深段彩表示)
ピングフアイル編集方法 自動
編集
選択により以下の項目によるフィルタをかけて実施
・最小水深値
・最大水深値
・スパイク状ノイズ
・ビーム角(直下を0度としたときのビーム角度)
・品質
手動編集
除去データ復元
各種データの同時表示 航跡、ヘディング、ピッチ、ロール、潮高データを同時表示し、これらのデータを修正した場合には、修正結果をピングデータに反映させる。
 
 一般に、海底面のモデル化手法として、定式的にモデル化する場合は、最小二乗法を用いることが多い。最小二乗法は、モデルとデータの残差が平均0の正規分布に従う場合には、推定されたモデルは最適なものとなる。しかしながら、データに不良データが含まれている場合には、推定結果は不良データの影響を受けて、必ずしも良いモデルが推定できるとは限らない。
 これに対して、ロバスト推定手法は、不良データをある程度含むようなデータからでも比較的安定にモデルの係数パラメータを推定することができる。
 以下に、潮高補正と音速補正を施したピングデータに対して、誤差判別を行い、不良データの自動除去処理を実施するロバスト推定手法について述べる。
 ロバスト推定処理を用いた不良データの除去処理の手順は以下の通りである。
 
A) セルサイズの決定
 モデル化する海底面は、局所的な海底地形を詳細に表現するため、調査海域をセルによって分割する。
 
B) ロバスト推定手法による海底面のモデル化
 調査海域を分割した各セルに対して海底面のモデル化を行う。海底面のモデルは、3次元空間における2次曲面方程式で与える。2次曲面方程式の係数パラメータは、ロバスト推定手法により推定する。
 
C) 残差の度数分布表示
 調査海域を分割した各セルに対して、モデル化計算を行い、測量した水深値とモデルによる水深値の残差を求め、残差の度数分布図を作成する。
 
D) 不良データの自動除去
 作成した残差の度数分布をもとに、不良データと良好データを分別し、不良データの自動除去処理を行う。








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