(1) SeaBat8125マルチビームデータについて
本実験で取得した柱島南方のSeaBat8125によるデータには、測深時に調査海域の表面音速を入力せずに、概算値として1500m/secを入力した。このため、図47に示すように、測線方向に直交する水深値の断面を見ると、海底面は、概ね水平であるにもかかわらず、すべてのデータはアングリーカーブを形成していた。
調査海域の水深0.33mにおける音速は、1524.02m/secであった。
測深時に調査海域の表面音速を入力しなかったのは、測深開始時に音速度計データが取得できなかったためである。
図47. 測線方向に直交する水深値の断面図。
図48. パッチテスト後の測線方向に直交する水深値の断面図。
アングリーカーブを補正するため、処理ソフトウェアを用いて表面音速補正を実施した。処理ソフトウェアに入力した表面音速は、1524m/secである。
表面音速補正処理を実施した後の測線方向に直交する水深値の断面は、概ね直線であった。しかし、往と復の測線のデータを比較すると、各測線の水深点重複部分において、ロールバイアス値に起因する水深値の明らかなズレが認められた。そこで、パッチテストを実施した。パッチテストの結果は、以下のとおりである。このとき、TSS335の0.07 secの時間遅れを修正した。
・Heading -9.0deg
・Pitch -7.5deg
・Roll 1.7deg
・Position Latency -0.80sec
パッチテスト後の測線方向に直交する水深値の断面を図48に示す。
なお、同一機種によるデータのうち現場海域の表面音速が設定値よりも遅い場合には測線方向に直交する水深値の断面はスマイルカーブを形成する。たとえば表面音速が1475m/secであるのに対し、1500m/secを入力した場合には、図49に示すような形状になる。
図49. 表面音速が設定値よりも遅い場合の測線方向に直交する水深値の断面図。
不良水深データを除去した後、1m間隔の等深線図を作成した。等深線図のもととなるマトリックスファイルのセルサイズは、1mである。
図50に広島湾柱島沖の等深線図を示す。また、図51にSeaBat9001により取得された広島湾柱島沖の等深線図を示す。
センサーの種類により微小地形の表現が異なって見える。
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図50. SeaBat8125による広島湾柱島南方の等深線と水深図
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図51. SeaBat9001による広島湾柱島南方の等深線と水深図