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[9]ウェルカム・イン予約センター 平成13年度斡旋状況
はじめに
 財団法人国際観光サービスセンターは、日本国内を経済的に旅行したいと希望する外国人旅行者の求めに応じるため、平成3年4月1日にウェルカム・イン予約センターを開設し、手頃な料金で宿泊出来る施設の無料予約サービスを開始しました。
 このサービスは、外国人旅行者と受け入れ宿泊施設の両者のニーズに極めて合致したものであり、国土交通省のウェルカム・プラン21の中でもその積極的な活用が謳われています。
 本報告書は、ウェルカム・イン予約センターの平成13年度(平成13年4月1日―平成14年3月31日)の予約斡旋状況を取りまとめたものです。
 なお、国際観光振興会のウェッブサイト上で、試験的に運営されているオンライン予約サービスには、当予約センター加盟施設の約130軒が参加しています。同サイト上での予約機能による処理分については、詳細なデータが入手出来ず、そのため、成立件数、キャンセル件数、不成立件数、延宿泊人数のみ掲載しました。本報告書の詳細なデータには従来型の予約方法による数字のみが計上されています。また、本報告書は基本的に実際に宿泊された予約情報を基にまとめられていますが、より正確に需要を把握するため、*をつけた情報はキャンセル及びノーショーが含まれた情報となっています。
概  要
1. [加盟宿泊施設数】
 平成14年3月31日時点での加盟宿泊施設数は732軒で昨年度末の757軒に比べて25軒の減少となった。
2. [予約斡旋状況]
 予約受付件数は16,096件(対前年度13.4%増)で、キャンセル、ノーショーを除いた予約成立件数が11,798件(同7.9%減)、取扱人数16,390人、延宿泊者数は39,764人泊(同3.5%減)であった。
 また、予約成立率は73.3%と、かなり下がったが、これはワールドカップ期間中の予約が取りにくかったことによる。
 オンライン予約と合計した成立件数は14,017件、延べ宿泊人数は50,112人泊、成立率は71%であった。
3. [宿泊地]
 例年通り東京及び京都の人気が突出しており、次いで成田、広島、大阪、奈良、高山、日光と上位6カ所はほぼ例年通りである。宿泊地の合計は174ヶ所と昨年度の143ヶ所と比べ31ヶ所の増加となった。
4. [宿泊日数]*
 一施設当たりの平均宿泊日数は1.97日と前年度と比べ0.07日の微増となった。
5. [グループサイズ]*
 予約一件当たりのグループ人数の平均は1.82人で、1人と2人のグループは全体の86.6%を占めている。しかし、5人以上のグループも僅かながら増加している。
6. [宿泊需要の年間傾向]*
 第1、2四半期が例年に比べやや低調だったが、通常閑散期に当たる第4四半期にワールドカップ期間の予約が入ったため、年間を通してみると昨年を上回る取扱件数となった。
7. [支払額]
 一人一泊当たりの平均支払額は4,946円(前年度4,895円)と前年度に比べ若干の増加となった。支払総額は196,674,210円となった。
8. [国籍別]*
 ほぼ例年通りの順位となっており、アメリカが約1/4を占めている。その中で目立った動きとして、昨年に引き続きスイスが順位を上げ、今年は7位であった。
今年も台湾が上位10か国からもれ、代わりにシンガポールが香港を上回り、9位となった。国籍数は前年度(108ヶ国)を若干下回る102ヶ国であった。
9. [年代別]*
 20〜30歳代が中心となっており、この世代で全体の6割を超えている。
10. [性別]*
 若干男性が多くなっている。
11. [本年度の特記事項]
 本年度は旅行業界にとって、9月11日におきたアメリカでのテロと2002年のFIFAワールドカップを控えた特別な年となった。テロの影響は直後に若干見られたものの、その後は殆どなかった。
 12月以降は海外からの予約依頼が殺到し、ワールドカップの影響が顕著だった。
 
1. 加盟宿泊施設の登録状況
 平成14年3月31日時点での加盟宿泊施設数は732軒(表1参照)で、昨年度末の757軒に比べ25軒の減少と、本サービス開始以来初めて減少した。14軒の新規登録があったものの、35軒の登録を抹消したため全体的には25軒の減少となった。
登録抹消の主な理由は、休業・廃業、料金基準の変更による料金不適合によるものだが、本年度は廃業が19軒と圧倒的に多かった。
 登録施設を種別で見てみると、ビジネスホテルが263軒(35.9%)、旅館が186軒(25.4%)となっており、この2種で全体の61.3%を占め、加盟宿泊施設の主流である。次いでホテル(106軒)、ペンション(53軒)、ユースホステル(47軒)、民宿(47軒)、国民宿舎(16軒)、その他(15軒)となっている。
 県別では、東京都(115軒)、京都府(90軒)、長野県(40軒)、大阪府(36軒)、北海道(35軒)、静岡県(27軒)、広島県(24軒)、神奈川県(23軒)、岐阜県(22軒)、兵庫県(16軒)の順になっている。
 
2. 予約斡旋状況
 平成13年度の予約斡旋状況は下表の通り、申込受付件数で対前年比13.4%増、成立件数で7.9%の減少となった。オンライン予約の結果と合計すると、予約申込受付数が19,750件、予約成立件数が14,017件、延べ宿泊人泊が50,112人泊、成立率が71.0%であった。
 
  平成13年度オンライン予約 平成13年度 ウエルカム・イン扱い (対前年比) 平成12年度
予約申込受付件数 3 , 6 5 4 件 1 6 , 0 9 6 件 (+13.4%) 1 4 , 1 9 0 件
予約成立件数 2 , 2 1 9 件      1 1 , 7 9 8 件 (-7.9%) 1 2 , 8 1 9 件
キャンセル等件数   6 2 3 件     5 1 5 件 (-43.8%)    9 1 7 件
実宿泊件数 1 1 , 3 0 0 件 (-5.1%) 1 1 , 9 0 2 件
*取扱人数 1 6 , 3 9 0 件 (+11.3%) 1 4 , 7 2 7 件
延べ宿泊人泊 1 0 , 3 4 8 人泊 3 9 , 7 6 4 人泊 (-3.5%) 4 1 , 2 2 3 人泊
不成立件数 8 1 2 件 2 , 5 7 4 件 (+87.7%) 1 , 3 7 1 件
成立率 6 0 . 7% 7 3 . 3 % (-18.9%) 9 2 . 2 %
 
3. 宿泊地
 例年通り、予約成立件数、取扱人数、延宿泊者数共に東京と京都が際立って多い結果となっている。両都市が全延宿泊者数に占める割合は合計で67.1%であったが、前年度の67.6%から0.6%減少した。宿泊地の合計数は、前年度よりも31カ所上回り、174カ所となっていった。これはワールドカップの影響が多分にあり、一般的な訪問地の多様化とは言い難い。埼玉県のようにこれまでは東京の需要が高いため、過去殆ど斡旋がないにもかかわらず、今年斡旋が増えたのは、明らかにワールドカップの影響である。
延べ宿泊者数上位15宿泊地
順位 地名 延宿泊者数 (人泊) (構成比%) 順位 地名 延宿泊者数 (人泊) (構成比%)
1 東 京 1 4 , 0 0 9 (3 5 . 2) 9 札 幌 5 2 2 ( 1 . 3)
2 京 都 1 2 , 6 7 9 (3 1 . 9) 10 箱 根 4 4 0 ( 1 . 1)
3 成 田 1 , 6 6 6 (4 . 2) 11 河口湖 3 4 1 ( 0 . 9)
4 広 島 1 , 6 4 9 (4 . 1) 12 長 崎 2 7 6 ( 0 . 7)
5 大 阪 1 , 2 9 5 (3 . 3) 13 仙 台 2 3 8 ( 0 . 6)
6 奈 良 7 2 2 (1 . 8) 14 神 戸 2 3 5 ( 0 . 6)
7 高 山 6 9 3 (1 . 7) 15 福 岡 2 2 4 ( 0 . 6)
8 日 光 6 2 7 (1 . 6) 1-15 小 計 3 5 , 6 1 6 (8 9 . 6)
総合計 3 9 , 7 6 4 (100.0)
 *東京は23区を一都市として集計
4. 宿泊日数*(予約成立した11,798件で、キャンセル・不泊分を含む)
 予約1件当たりの平均宿泊日数は1.97日と前年度より0.06泊微増した。1泊はほぼ半数の49.8%で、2泊と合わせると77.3%に達する。
予約1件当たりの宿泊日数
泊数 件数 (構成比%) 泊数 件数 (構成比%)
1 泊 5 , 8 7 2 (49.8) 6 泊 1 1 0 (0.9)
2 泊 3 , 2 4 9 (27.5) 7 泊 8 6 (0.7)
3 泊 1 , 5 0 1 (12.7) 8 泊 3 0 (0.3)
4 泊 5 7 8 ( 4.9) 9 泊 3 3 (0.3)
5 泊 2 7 1 ( 2.3) 10泊以上 6 8 (0.6)
合 計 1 1 , 7 9 8 (100.0)
 
5. グループサイズ*(予約成立した11,798件で、キャンセル・不泊分を含む)
 一グループの平均人数は、1.82人と前年度よりも若干減少し、一人旅の旅行者の割合が若干増加した。5人以上のグループは、昨年は全体の1.8%だったが、わずかながらも増加した。
 
人数 件数   (構成比%) 人数 件数   (構成比%)
1 人 4 , 9 6 8 (42.1) 4人 4 9 2    (4.2)
2 人 5 , 2 5 6 (44.5) 5人以上 2 4 9    (2.1)
3 人 8 3 3 ( 7.1) 合 計 1 1 , 7 9 8 (100.0)
6. 宿泊需要の季節変動*(予約成立した11,798件で、キャンセル・不泊分を含む)
 宿泊需要の季節変動を予約成立件数で見たものが下表である。例年閑散期で需要が少ない1月〜3月が、2,700件と非常に多かった。これはワールドカップ期間の予約が試合の組み合わせの決定した12月以降に殺到したことによるものと思われる。
 
四半期 予約成立件数 (構成比%)
第1四半期 (4-6) 2 , 9 2 7 ( 24.8%)
第2四半期 (7-9) 3 , 0 8 9 ( 26.2%)
第3四半期 (10-12) 3 , 0 8 2 ( 26.1%)
第4四半期 (1-3) 2 , 7 0 0 ( 22.9%)
合計 1 1 , 7 9 8 (100%)
 
7. 利用者の支払額
 一人一泊当たり平均支払額は4,946円と、前年度の4,899円から若干増加した。総額は196,674,210円となっている。(実宿泊の合計)
 
8. 利用者の大陸、国籍別構成*(予約成立した11,798件で、キャンセル・不泊分を含む)
 大陸別の構成は下表の様に、例年通り欧州と北米が大多数を占めており、その割合は76.6%に達している。中南米が伸びており、昨年度は全体の1.4%であったのが本年度は2.3%にまで増加している。
大陸別延べ宿泊者数
平成13年度 平成12年度
大陸名
延宿泊者数
( 人泊 )
構成比
(%)
大陸名
延宿泊者数
( 人泊 )
構成比
(%)
欧州 17,896 45.0 欧州 15,468 43.4
北米 12,546 31.6 北米 10,508 29.5
アジア・中近東 5,468 13.8 アジア・中近東 6,231 17.5
オセアニア 2,766 7.0 オセアニア 2,625 7.4
中南米 899 2.3 中南米 579 1.6
アフリカ 148 0.4 アフリカ 225 0.6
不明 41 0.0 不明 39 0.1
合 計 39,764 100.0 合 計 35,675 100.0
 
 国籍別でも上位3ヶ国まで順位に変動はない。イギリスは上位10ヶ国の中では最も伸び率が高い。ワールドカップ期間の予約は、まずイギリスからの予約が殺到したので、数字にも反映している。昨年5位だったカナダが昨年4位のオーストラリアを抜き、今年は4位となった。スイスは今年も順位を上げ7位に入った。
 なお香港については、歴史的な経緯から人々が色々な国のパスポートを持っているが、そのパスポートに基づいて統計を取ることは過去の統計の取り方との間に違いを生じさせることになること。また、中国本土との間にはまだまだ大きな経済的格差があり、中国本土の中国人は自由に海外旅行を楽しむことも出来ない為、中国本土の中国人と香港の中国人を同じに考えることには無理があり、むしろ香港人と言った方が適切であると考えられることから、本統計では引き続き中国と香港を区別して扱っている。
延べ宿泊者数の上位10ヶ国
  平成13年度 平成12年度

国籍 延宿泊者数
(人泊)
構成比
(%)
国籍 延宿泊者数
(人泊)
構成比
(%)
1 米国 9,763 24.6 米国 8,017 22.50%
2 イギリス 6,565 16.5 イギリス 4,909 13.80%
3 ドイツ 2,839 7.1 ドイツ 2,794 7.8%
4 カナダ 2,783 7.0 オーストラリア 2,176 6.1%
5 オーストラリア 2,416 6.1 カナダ 2,169 6.1%
6 フランス 1,903 4.8 フランス 1,879 5.3%
7 スイス 1,248 3.1 韓国 1,485 4.2%
8 韓国 1,199 3.0 香港 1,317 3.7%
9 シンガポール 1,077 2.7 スイス 998 2.8%
10 香港 1,027 2.6 台湾 994 2.8%
  1-10の小計 30,820 77.5 1-10の小計 26,738 74.9%
  合計 39,764 100.0 合   計 35,675 100.0
 注:香港には英国籍、カナダ国籍、中国国籍の香港人を含む。
9. 利用者の年齢別構成*(予約成立した11,798件で、キャンセル・不泊分を含む)
 
 例年通り、20〜39才が最も多く、この世代で6割以上を占めている。

年令 人数 (構成比%) 年令 人数 (構成比%)
0〜9才 287 (1.9) 50〜59 1,783 (11.5)
10〜19 506 (3.3) 60〜69 708 (4.6)
20〜29 5,577 (36.0) 70才以上 185 (1.2)
30〜39 4,395 (28.3) 不明 879 (5.7)
40〜49 2,070 (13.3)    
合計 1 6 , 3 9 0 人   (100.0)
 
10. 利用者の性別構成*(予約成立した11,798件で、キャンセル・不泊分を含む)
 
 例年通り男性客が女性客を上回っているものの、ほぼ均衡していると言える。

性別 人数 構成比 (%)
男性 9 , 3 2 7 5 6 . 9 %
女性 7 , 0 0 8 4 2 . 8 %
不明 5 5 0 . 3 %
合計 1 6 , 3 9 0 1 0 0 . 0 %
 
11. 本年度の特記事項
 本年度は2つの大きな出来事があったため、単に前年度の比較や例年の傾向を当てはめるには無理があるため、その2つの出来事の及ぼした影響について特記するものである。
1) 9月11日のテロ
 9月11日のアメリカでのテロにより世界中が大きな影響を受けた。旅行業界、中でも航空会社はテロ直後にアメリカ上空の飛行禁止が発令され、北米を中心とするフライトが全面的に運休となり、運航が正常に戻るのに時間がかかった。その後も、搭乗客の大幅な減少により路線の削減や運航削減を余儀無くされた。本予約サービスにとっては、フライトの運休によりキャンセルとなったケースはわずかで、大した混乱もなかった。テロを恐れて旅行を控えるといった外客は案外少なく、本部に2件キャンセルがあったのみである。
 しかし、テロの直接的な影響は少なかったものの、間接的な影響は秋のみに留まらず、春まで続いた。海外旅行を控えた日本人が国内旅行にまわり、修学旅行も一斉に海外から国内へと変更になった。秋の観光シーズンの週末はどの観光地もいっぱいで、空いている部屋を探すのに苦労した。特に京都は、紅葉が例年より少し早まったにも係わらず、日本人観光客も多かったため非常に困難を極めた。下表の施設への照会件数を比べてみても京都は非常に突出している。また春の観光シーズンの始まる3月は、桜の開花が例年より早かったにもかかわらず、修学旅行が増えたことにより、京都と東京で予約が難しい状況となった。
2) 2002年FIFAワールドカップ
 2002年のFIFAワールドカップも当予約サービスにとっては大きな影響があった。試合の組み合わせが11月末に決定すると、海外からの予約依頼が殺到した。12月から3月にかけて本部の予約成立率が異常に下がったのは、ワールドカップ期間の予約が非常に多く取りにくかったこと、不確かな申込や申込書類の不備などが多かったことによる。また、不足情報を請求しても返事をしてこない外客も多く、極力合理的に対応しようと工夫はしたものの、本部の予約申込客に対する確認のための連絡回数はこの時期、異常に増加した。
施設への照会件数及び申込客への連絡回数
上半期 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月
京都 照会回数 413 258 123 146 314 166
連絡回数 38 16 8 18 16 20
関西 照会回数 44 10 12 3 13 18
連絡回数 0 0 0 0 0 2
東京 照会回数 211 181 83 34 273 125
連絡回数 4 3 0 0 4 11
本部 照会回数 13 4 54 67 31 51
連絡回数 21 26 122 145 92 157
成田 1 照会回数 109 116 71 121 88 98
連絡回数 0 0 2 10 0 0
成田 2 照会回数 156 170 104 165 105 156
連絡回数 0 4 4 0 0 0
下半期 1 0 月 1 1 月 1 2 月 1 月 2 月 3 月
京都 照会回数 491 722 107 91 104 626
連絡回数 38 28 10 8 16 34
関西 照会回数 23 58 7 4 0 55
連絡回数 2 0 0 4 2 0
東京 照会回数 252 273 68 52 75 217
連絡回数 3 6 3 15 0 4
本部 照会回数 92 63 109 130 102 291
連絡回数 209 192 456 808 1,252 1,580
成田 1 照会回数 102 101 85 53 72 164
連絡回数 6 2 2 2 6 0
成田 2 照会回数 149 186 199 0 157 98
連絡回数 0 0 6 0 0 0
 








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