日本財団 図書館


3 エコビジネス
 鹿角の誇る自然資源と伝統的な技術を活用して現代社会に適応する環境重視の産業を起こす。環境を意識した産業を展開することにより、鹿角の名を高めることは、ふるさと市民のふるさとへの誇りにつながり、また観光の面でもよい影響をもたらすものと期待される。
(1) 木炭活用の新ビジネス
 
ア 木炭産業の復活と製造販売
 かつては盛んであったが今では廃れかけている炭焼きを復興し、建材や環境資材として全国に出荷することを考える。
 鹿角産の炭は必ずしも品質が高くなく、燃料として用いると火がはぜるなど若干の問題があるが、アウトドア用や住宅の壁に練りこんだり床下に敷き詰めるなどの建材としての利用であれば全く問題はない。炭を建材として用いることにより、住宅内の湿度の調節や有毒ガスの吸収などの効果によって、いわゆる「シックハウス症候群」を防ぐことが期待でき、この面での木炭需要は今後急速に拡大することが期待できる。また、炭の持つ水質浄化機能や空気清浄化機能にも注目が集まっている。
 まちづくり会社が、市内の農林家に委託生産し、建材メーカーとのタイアップ、インターネット・ショッピングモール上での販売、全国のふるさと会員の口コミによる販売、全国のシルバー人材センターのネットワークを用いた販売などを行う。また今後、シルバー人材センターなどで技術講習を繰り返し行い、製炭産業の復活を目指したい。販売についてもシルバー人材センターの全国ネットワークを活用して、販路を開拓することが考えられる。
 
イ 炭焼き学校
 市民の中で、新たに炭焼きをやってみたいと思う人たちの研修や、体験観光としての炭焼きの希望者を受け入れて、炭焼きを教える学校を開設する。熟達した経験者が講師となり、参加者に原木の伐採から炭焼き、加工にいたるまでの作業を実習して貰う。こうした取組によって、ふるさと市民の拡大に結びつけることも考えたい。
(2) 土づくりビジネス
 
 山林や公園の落ち葉、籾殻、藁などを回収し、家畜の糞尿、家庭の生ゴミなどと混ぜて堆肥を作って農地や山林に還元する事業である。集めた落ち葉を高齢者や子供たちの小遣いになる程度の価格で買い上げることにより、物質循環を意図的に創り出すことを考える。できた堆肥は安価で農家や一般家庭に頒布する。
 一見、経済性の無い事業にみえるが、これによりゴミの減量や畜産公害の予防の効果が期待でき、また、鹿角の農産物の品質を上げることができれば、全体としての効果は相当に大きいものになる。
 栃木県茂木町では、すでに同様の事業の事業化に向けて取組が進んでいる。








日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION