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(5) 地域間交流事業の成功のポイントと課題
 
 ●「相互理解」と「住民の協力・参加」が成功のポイント
 ●「マンネリ化防止」、「財源確保」、「意見調整」などに苦心
 
 成功のポイントとしては、「相手方との相互理解」(75.4%)が抜きんでて高く、次いで「住民の協力・参加」(38.9%)、「コミュニケーション確保の努力」(31.2%)など交流・連携・連携先や地域住民の主体的な取組が重要である(図表2-6)。
 また、苦労した点(下図)では、「マンネリ化の防止」(29.3%)、「財源確保」(26.2%)、「相互の意見調整」(24.7%)、「遠距離による往来困難」(23.0%)など多様な課題があるとしている(図表2−7)。
図表2−6 地域間交流事業成功のポイント
資料:図表2−3と同様
 
図表2−7 地域間交流事業を推進する上で苦労している点
資料:図表2−3と同様
(6) 事業推進上の留意点
 
項目 留意点
地域資源の発見  ・地域の変化や時代の変化に応じた把握が肝要
 ・外部の人など多様、異質な人々を交えて、その地域の人や活動、物質的資源の再考が必要
相手先の選定と呼びかけ 「エリア連携」
 ・既存の圏域によるものでは事務組合、各種協議会などの既存組組を活用することになるが、エリアの再検討も必要
「テーマ連携」
 ・都市、農村交流などでは、著名人の仲介により連携が生まれることもある。 往来しやすさや市場としての可能性なども検討
 ・事業コンセプトの明確化、相手地域の特性や連携テーマの発展性の検討が必要
組織化と運営 「立ち上げ時」
 ・全関係者の参加がえられなくても、ある程度のメンバー(コアメンバー)が揃えば立ち上げたほうがいい
「運営時」
 ・多様な人々の積極的な参加を受入れると共に、情報の開示、共有をオープンにし、お互いに対等かつ自由な立場で意見交換し、会議や交流会で顔を合わせることが大事
 ・遠隔地の場合インターネットなどを通じて日常的な情報交換を行える環境整備が必要
「運営組織」
 ・事務局のコーディネイト機能が十分に発揮できるように、事業の本格化に際しては法人の共同設置等を検討する
事業の展開  ・地域の力量にあった現実的なことから取り組み、事情の成功を積み重ねていきながら段階的に発展するという視点が必要
 ・各地域が地域の特性を活かしがなら相互に補完しあい、地域全体の魅力を高めるという視点が必要
情報の収集と広報  ・情報収集には文献などの他、交流会などを通じて生の情報を得ることも大切
 ・広報では、広報誌、パンフレットなどの紙媒体に加えて、インターネットなどの電子媒体が有益
 ・関係企業の参加による企業ルートのPRも期待される
財源  ・先進的な取組を創出すれば、補助金や国・県の関連事業の叫び込みが期待され、企業・住民からの資金も期待される
 ・事業にメリハリをつけ、不要不急なものは諦めるなど事業に優先順位をつける
人材の育成・確保 「リーダーの育成」
 ・具体的な活動を通じて、連携・交流の相手や地域住民に自らを示しながら、さまざまな情報と経験を吸収し能力を高めていく
「スタッフの養成・確保」
 ・地域住民や企業など多様な人々とのネットワークを築き、こうした人々の能力を事業に活かす
「外部の人材の導入・活用」
 ・採用の他、アドバイザーや講師、委員として活用する文化的・精神的な効果にも留意し、中長期的な観点で評価する
事業の評価  ・文化的・精神的な効果にも留意し、中長期的な観点で評価する
 ・関係者の実感や手応えを記録しておくことが評価につながる
資料:図表2−3と同様
 
(7) ふるさと会員制度などの経済交流及び外部の人材を活用した交流事業の全国事例
 
ア 個人向けの会員制度
 
名称 目的・内容 会費・会員
 要件
実施団体
氷見市ふるさと会員制度 県外居住者に自然や歴史・文化などを認識してもらい、会員との交流を通じて親睦や情報交換を行い、第2のふるさととして交流してもらう。
■特産品の配送(水産加工品、農産品等)
■ふるさと氷見の各種情報発信(広報、市勢要覧、情報紙、観光パンフレット
■参加者にはふるさと体験ツアー(イベントへの参加や農業・漁業体験等)を実施
年会費:
3千円
会員要件:
富山県外の居住者(定員200名)

氷見市市長公室内ふるさと会員事務局(富山県)
ふるさまるごと体験事業 群馬県下仁田町、新潟安塚、長野県望月町、長野県豊富村の広域4町村で首都圏住民との「親戚づきあい」を目的とする交流事業で、会員は4つの町村のイベント等に自由に参加できる。
■田舎体験イベント(山菜採り、野菜種まき・収穫、果実のもぎとり等)
■特典
[1]イベント参加や宿泊施設、スポーツ施設の利用料金は地元住民と同等
[2]4町村イベント観光、体験、特産品等の情報提供
3年間:
1万円





安塚町総務課内ふるさとまるごと体験4町村協議会(新潟県)
まるごと体験事務局(長野県豊富村)
丹波篠山電脳市民 丹波篠山に関するイベント情報やプレゼント等のホームページ情報をメールマガジン(電子メール)で配信。
■イベント、プレゼント、地域の特選情報等配信
会費・会員
要件:なし

 
とよおか「コウノトリ便」 ■特産品の配送(海産物、野菜、新米、そば等)
■特典
[1]津居山漁協フィッシャーマンビレッジで買物5%引
[2]港地区民宿10%引
[3]但馬空港利用便(但馬〜大阪)料金の割引
※名称は本市が野生コウノトリ最後の生息地に因む。
年4回コース:2万円(その他、年2回、1回コースあり)




豊岡市環境経済部農政課(兵庫県)




池田市特別市民 池田市以外に住居を有する本市を愛する人を「特別市民」として証明し、本市のファンを増やすとともに、本市の活性化に寄与することを目的とする。
■特典
[1]市民と同等の条件でテニスコート、体育館、市公共施設40館の利用をはじめ、友好・姉妹都市(豪・ローンセストン市、中国・蘇州市)の「市民の家」の利用ができる
[2]電子メールによる市ホームページ更新情報提供
[3]本市広報誌、まちづくり情報誌、特産品購入・イベント開催案内送付(任意)
会費:300円
(特別市民証交付実費)
会員要件:
池田市の区域外に住所を有し池田市に縁のある人、愛着のある人


池田市政策推進部企画調整課(大阪府)
名称 目的・内容 会費・会員
要件
実施団体
はまだ特別市民制度 全国各地の浜田市、浜田市周辺町村の出身者やはまだに縁、関心のある人に各種情報提供を行い、この地域に関心を寄せる「地域支持人口」の獲得を図る
■特典
[1]浜田市及び周辺市町村の地域情報の提供
[2]海・山・食・スポーツ・市民農園等の情報提供
[3]観光施設等の割引優待制度等の情報提供
*会費・賛助金は、寄付金控除の対象にはならない
会費:5千円(3年間)、2千円(1年間)
賛助金:5千円(1口)
浜田市総合調整室内はまだ特別市民制度運営委員会 事務局(島根県)
ふるさとちゅうるい会 自然とのふれあい、村民との親睦・交流を深めることで忠類村の良き理解者として、魅力ある村づくりに協力してもらう
■特典
[1]道内道の駅・ミニ要覧・観光パンフレット等の送付
[2]町内宿泊、観光施設、レンタカー等の宿泊割引
[3]情報誌、Eメール、FAXによる情報交換
[4]ちゅうるいまるごと体験ツアーへの参加
[5]特産品のプレゼント、産直案内
会費:
1.5千円(3年間)
忠類村企画課(北海道)
let'sサンサンあさひ 当初村出身者を対象とする「ふるさとあさひ会」を設立し、口コミによる宣伝効果を期待していたが、特定少数を対象にしていることや会員のメリットのなさなどから、見直しを図り、平成11年度に、都市圏住民を対象に大自然の魅力あふれる朝日村を身近なふるさととして楽しんでもらえるように、新会員制度を立ち上げた
■特典
[1]あさひ旅館組合加盟の宿泊料金 10%割引
[2]鈴蘭スキー場、鈴蘭高原カントリークラブ優待
[3]村内主要キャンプ場料金の 10%割引
[4]イベント(秋神川アマゴ釣り大会、ドスコイ祭、氷点下の森永祭り)優待
会費:
3千円(2003年3月迄)
朝日村飛騨あさひ観光協会(岐阜県)
西米良型ワーキングホリデー制度 定住人口の増加と活力導入のための交流人口増加対策の一環として、季節的に労働力の不足する時期に、花やゆず等の栽培支援作業に対し報酬が支払われる。参加者は報酬を元手に西米良村に滞在し、村民との交流や山里での交流を満喫してもらう制度 時給:610円
村営コテージ宿泊料:3千円(一泊)
西米良村内(株)「米良の庄」(宮城県)
 
イ 外部の人材を活用した交流事業
 
名称 目的・内容 主なプログラム 団体
日本上流文化圏研究所 早川町総合計画「日本・上流文化圏構想」を受けて平成8年に設立。厳しい自然と向き合い生きてきた先人の文化を見つめ直し、川の上流域の暮らしの哲学を構築するための研究を行う。 ・上流圏の哲学と文化の確立
・新総合計画シンボル施策構想立案
・早川上流文化資源の発掘
・早川のくに歳時記編集・刊行
・地域学習教材編集・刊行
・日本上流文化圏会議の開催
・早川上流文化塾の開催 等
早川町(山梨県)
瀬戸内しまなみ大学 平成11年瀬戸内しまなみ海道開通に伴い、瀬戸内海で育まれた歴史や文化、風土を体験しながら学ぶ生涯学習システム。各地域の豊かな個性を学部として設定している。
■特典
[1]各施設の入場料割引
[2]「しまなみ大学通信」「しまなみ大学プログラム集」等のしまなみ最新情報を提供
[3]1年間各学部の講座に10回以上参加者は終了証書、修了認定バッチ等の記念品贈呈
・クアハウス今治健康セミナー(今治校健康学科)
・本因坊秀策囲碁まつり・特別囲碁講座(因島校囲碁学科)
・うずしお体験(宮窪校自然学科)
・尾道演劇祭(尾道校演劇学科)
・平山郁夫美術館自主事業(瀬戸田校美術学科)
・「大山祇神社のなぜ」研究講座(大三島校歴史学科)
・無人島体験<津波島>(岩城校キャンプ学科)
・なみかた海の祭典・ミニトライアスロン大会(波方校トライアスロン学科)
・シーカヤック教室(上浦校シーカヤック学科)
尾道市企画室瀬戸内しまなみ大学事務局(広島県)
 
参考資料:ふるさと大使の全体像
 
斜字・下線は1999年9月9日時点以降に確認されたもの(制度化されていたものも含む) 2001年3月5日現在
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[注]予定・不詳・類似制度(△印)は情報提供が不十分或いはふるさと大使制度としての要件(目的・名刺等)が不十分なもの
廃止・見直し中(×印)は現時点で廃止又は見直し中のもの
「ふるさと大使」として認定107(2001年3月現在)、但し、広義のふるさと大使制度は146(不詳・類似を含む)
資料:「全国ふるさと大使連絡会議」ホームページより








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