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(4) 産業の動向
 
 産業大分類別に事業所数の推移をみると、全体の事業所数は減少傾向にあることがわかる。産業別では、第1次産業は昭和47年に比べ若干微減しているものの、近年は、ほぼ横ばい状態にある。第2次産業は、全体の傾向とは反対に増加傾向にあり、平成8(1996)年には379所となっている。第3次産業は、全体の傾向と同様、減少傾向が続いており、昭和61(1986)年から平成8年にかけては158所(7.8ポイント)減少している(図表1−10)。
 これを分類ごとの割合の推移でみてみると、第1次産業の割合は、昭和47年から昭和61(1986)年にかけて0.2ポイント減少したが、平成3年には昭和47年と同水準まで増加し、それ以降は減少傾向にある。平成8年の第1次産業の割合は、全体の1.7%となっている。次に、第2次産業の割合は、昭和47年から昭和61年にかけて0.4ポイント減少したものの、その後は緩やかな増加傾向にあり、平成8年の第2次産業の割合は、全体の16.7%となっている。また、第3次産業の割合は、昭和47年から昭和61年にかけて0.6ポイント増加したものの、その後徐々に減少し、平成8年の第3次産業の割合は、全体の81.6%となっている。しかしながら、依然としてその割合は非常に高い水準にある(図表1−11)。
図表1−10 産業大分類別事業所数の推移
単位:所、%
区分 実数 対前回増減率(%)
昭和47年 61年 平成3年 8年 11年 3/61 8/3
総数 2,351 2,393 2,274 2,272 2,016 △ 5.0 △ 0.1
第1次産業 43 38 41 38 25 7.9 △ 7.3
農業・林業・漁業 43 38 41 38 25 7.9 △ 7.3
第2次産業 345 342 362 379 360 5.8 4.7
鉱業 10 8 8 6 5 0.0 △ 25.0
建設業 216 215 205 225 216 △ 4.7 9.8
製造業 119 119 149 148 139 25.2 △ 0.7
第3次産業 1,963 2,013 1,871 1,855 1,631 △ 7.1 △ 0.9
電気・ガス・水道業 19 8 7 11 7 △ 12.5 57.1
運輸・通信業 66 52 50 55 45 △ 3.8 10.0
卸・小売業、飲食業 1,074 1,113 994 925 847 △ 10.7 △ 6.9
金融・保険業 31 36 35 38 37 △ 2.8 8.6
不動産業 71 112 87 100 96 △ 22.3 14.9
サービス業 665 660 666 694 599 0.9 4.2
公務 37 32 32 32 - 0.0 0.0
資料:総務庁統計局「事業所統計調査」
注1) 昭和47年〜平成3年・平成11年(各年7月1日現在)、平成8年(10月1日現在)
注2) 平成11年の数値は、簡易調査のため民営事業所のみ
 
図表1−11 産業大分類別事業所数の割合の推移
単位:%
注及び資料:図表1−10と同様
 
 一方、産業大分類別に従業者数の推移をみてみると、全体の従業者数は増加傾向にある。産業別では、第1次産業の従業者数は減少傾向が続いており、昭和47年から平成8年にかけては、47.3ポイントも減少している。また、第2次産業の従事者数は、昭和61年から平成3年かけて27.0ポイント増加しているものの、平成3年から平成8年にかけては、9.5ポイントの減少を示している。第3次産業の従事者数は、これまでのところ継続して増加している(平成11年のデータは除く)(図表1−12)。
 これを分類ごとの割合からその推移をみてみると、第1次産業の割合は、昭和47年には4.2%あったものの、その後減少傾向が続き、平成8年には全体の1.8%にまで減少している。次に、第2次産業の割合は、昭和47年から昭和61年にかけて2.0ポイント減少したものの、平成3年には5.5ポイント増加し、全体の38.0%を占めている。しかし、平成8年には再び減少し、全体の34.1%となっている。また、第3次産業の割合は、昭和47年から昭和61年にかけて3.3ポイント増加したものの、平成3年には5ポイント減少し、全体の59.6%となっている。しかし、平成8年には再び増加し、全体に占める割合は64.1%となっている(図表1−13)。
図表1−12 産業大分類別従業数の推移
単位:人、%
区分 実数 対前回増減率(%)
昭和47年 61年 平成3年 8年 11年 3/61 8/3
総数 16,062 16,192 17,570 17,706 15,231 8.5 0.8
第1次産業 678 481 426 321 164 △ 11.4 △ 24.6
農業・林業・漁業 678 481 426 321 164 △ 11.4 △ 24.6
第2次産業 5,542 5,257 6,677 6,041 5,436 27.0 △ 9.5
鉱業 750 143 106 41 32 △ 25.9 △ 61.3
建設業 2,870 2,703 2,705 2,920 2,598 0.1 7.9
製造業 1,922 2,411 3,866 3,080 2,806 60.3 △ 20.3
第3次産業 9,842 10,454 10,467 11,344 9,631 0.1 8.4
電気・ガス・水道業 140 87 81 161 108 △ 6.9 98.8
運輸・通信業 1,067 808 907 716 610 12.3 △ 21.1
卸・小売業、飲食業 3,922 4,487 4,061 4,030 3,856 △ 9.5 △ 0.8
金融・保険業 337 420 371 353 323 △ 11.7 △ 4.9
不動産業 81 129 122 165 153 △ 5.4 35.2
サービス業 3,674 3,874 4,317 5,305 4,581 11.4 22.9
公務 621 649 608 614 - △ 6.3 1.0
注及び資料:図表1−10と同様
 
図表1−13 産業大分類別従業数の割合の推移
単位:%
注及び資料:図表1−10と同様
 
 また、産業別市内純生産額の推移をみると、市内の純生産額は、全体的に減少傾向にあることがわかる。産業別では、第1次産業は平成8年度から平成10年度にかけて18.3ポイントも減少しており、その低迷状況を現している。特に、林業は43.2ポイントも減少しており、その衰退状態が伺える。また、第2次産業も、平成8年度から平成10年度にかけて9.5ポイント減少しており、中でも鉱業、建設業が落ち込みをみせている。第3次産業は、他の産業に比べ比較的緩やかではあるが減少傾向を示しており、平成8年度から平成10年度にかけて3.9ポイント減少している。業種別では、運輸・通信業、卸売・小売業の落ち込みが目立っている(図表1−14)。
 次に、分類ごとの割合からその推移をみてみると、第1次産業の割合は、平成8年には7.5%を占めていたものの、その後減少傾向が続き、平成9年には全体の6.8%に、平成10年には全体の6.5%に減少している。次に、第2次産業の割合は、平成8年には31.0%を占めていたが、平成9年には1.0ポイント減少し、平成10年には全体の30.1%となっている。第3次産業の割合は平成8年には61.5%であったが、平成9年には63.1%、平成10年には63.3%と微増傾向にある(図表1−15)。
図表1−14 産業別市内純生産額
単位:千円、%
区分 平成8年度 平成9年度 平成年10度 対前年度比
9年/8年 10年/9年
総数 95,173,473 90,345,244 88,866,967 △ 5.1 △ 1.6
第1次産業 7,093,311 6,174,620 5,796,929 △ 13.0 △ 6.1
農業 6,046,697 5,410,524 5,152,713 △ 10.5 △ 4.8
林業 1,042,654 757,840 637,683 △ 27.3 △ 15.9
水産業 3,960 6,256 6,533 58.0 4.4
第2次産業 29,522,391 27,142,531 26,774,289 △ 8.1 △ 1.4
鉱業 233,495 197,761 190,904 △ 15.3 △ 3.5
製造業 11,281,800 11,770,018 11,264,848 4.3 △ 4.3
建設業 18,007,096 15,174,752 15,318,537 △ 15.7 0.9
第3次産業 58,557,771 57,028,093 56,295,749 △ 2.6 △ 1.3
電気・ガス・水道業 3,247,124 3,498,182 3,229,412 7.7 △ 7.7
卸売・小売業 9,636,806 9,211,252 8,878,878 △ 4.4 △ 3.6
金融・保険、不動産業 12,164,628 12,215,641 11,733,795 0.4 △ 3.9
運輸・通信業 5,764,149 5,332,764 5,011,929 △ 7.5 △ 6.0
サービス業 21,116,076 20,435,176 20,989,957 △ 3.2 2.7
公務 6,628,988 6,335,078 6,451,778 △ 4.4 1.8
資料:平成10年度 秋田県県民経済年報
 
図表1−15 市内純生産の産業別割合の推移
単位:%
資料:図表1−14と同様
(5) 観光客の動向
 
 観光客数の推移をみると、平成4年には3,026千人の来訪があったものの、それ以降は微減傾向にあり、平成11年には2,833千人となっている。これを日帰り客数と宿泊客数別にみてみると、目帰り客数は、各年とも総観光客数と同様の傾向を示しているものの、これまでのところ横ばいの状態にあると思われる。
 一方、宿泊客数は、平成9年5月に澄川、赤川土石流災害(八幡平地区)が発生し、これに伴う風評被害などから、平成9年に大幅な減少を示しており、それ以降減少傾向が続いている。このため、宿泊客数の減少が総観光客数の減少に影響しているものと思われる。なお、平成11年における総観光客数に占める日帰り客の割合は85.3%、宿泊客の割合は14.7%となっている(図表1−16)。
図表1−16 観光客数の推移
単位:千人
資料:秋田県観光統計(秋田県産業振興部観光課)
 
 また、地区別に入り込み観光客数の推移をみてみると、花輪地区及び湯瀬地区については、微増・微減はあるものの、全体的な傾向として横ばいの状態にあるといえるであろう。一方、大湯地区は平成8年4月、第3セクター「大湯温泉リゾート開発(株)」による大規模ホテルの開業もあり、平成9年に大幅に増加した影響のため、全体としては増加している。しかし、この地域の観光拠点でもある八幡平地区については、平成9年に前年比マイナス38.4%という大幅な減少をみて以来、その後は大幅な増加がみられず、全体として減少している(図表1−17)。
図表1−17 地区別入り込み観光客数の推移
単位:千人
資料:図表1−16と同様
 
 次に、施設別に観光客数の推移をみてみると、鹿角市では「マイランド尾去沢」、「鹿角観光ふるさと館・あんとらあ」への観光客数の減少が、平成6年から平成10年まで続いており、平成10年における観光客数は、平成6年に比べ「マイランド尾去沢」が約50%、「鹿角観光ふるさと館・あんとらあ」が約60%と大きく落ち込んでいる。その他の施設も各年によっては増減があるものの、平成6年に比べ軒並み減少しており、平成10年における主要施設への総観光客数は、平成6年に比べると56%程度の状態となっている。
 このような状況の中、小坂町の「十和田湖ふるさとセンター」では、平成8年に観光客数が一度減少したものの、その後は順調に増加しており、平成10年には7,719人(対平成6年比187%)の観光客が訪れている(図表1−18)。
図表1−18 施設別観光客数の推移
単位:人
  施設名 平成6年 平成7年 平成8年 平成9年 平成10年 前年比
鹿角市 マインランド尾去沢 273,036 215,177 186,770 171,193 137,429 80.3
八幡平ビジターセンター 82,346 92,371 94,898 72,071 57,321 79.5
鹿角観光ふるさと館・あんとらあ 51,204 48,121 41,788 38,855 30,363 78.1
大湯環状列石 36,948 36,556 20,807 27,447 24,106 87.8
八幡平熊牧場 20,261 13,765 16,080 12,105 9,730 80.4
小板町 康楽館 103,920 109,335 108,698 113,099 105,114 92.9
十和田湖ふるさとセンター 4,124 4,911 4,672 5,277 7,719 146.3
資料:平成10年度 全国観光動向(平成12年8月(社)日本観光協会)








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