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[1] 油圧クラッチの構造
 2・209図に油圧多板式のクラッチの断面図を、又2・211図に、その展開図を示す。
 前、後進用それぞれのクラッチハウジングの内周には溝(スプライン)が切ってあり、その溝がスチールプレートの外周に加工したスプラインの凸部と噛み合って常時回転している。又スチールプレートと交互に配置されている摩擦板の内周にも、スプラインが切ってありそれぞれ前、後進用小歯車の軸に加工されたスプラインと噛み合っている。
 前、後進切換弁から、クラッチ軸に設けられた油孔を通って作動油が、シリンダ内に送られてくると、油圧ピストンは摩擦板とスチールプレートを摩擦板受け板に圧着させ、クラッチハウジング、スチールプレート、摩擦板、小歯車の順に動力を伝達する。油圧が抜けると油圧ピストンは戻しバネにより戻され摩擦板とスチールプレートは離されて動力の伝達は解かれる。
2・208図 油圧湿式多板減速逆転機の構造
2・209図 油圧クラッチの断面図
2・210図 油圧クラッチ部分組立図
2・211図 クラッチ部分の展開図
 なお、スチールプレートには、クラッチの嵌脱を良くし、又連れ廻りをなくすためにそり加工が施してある。
[2] 動力の伝達経路
 油圧湿式多板減速逆転機の動力伝達経路の一例を2・212図に示す。
 エンジンが始動しクランク軸が回転すると、下記の順序で動力が伝達され推力軸が駆動される。
・ 前進時
 タワミ軸接手→入力軸(前進軸)→前進クラッチ→前進小歯車→大歯車→推力軸
・ 後進時
 タワミ軸接手→入力軸(前進軸)→前進クラッチハウジング(逆転駆動歯車)→逆転被駆動歯車(後進クラッチ)→後進小歯車→大歯車→推力軸
2・212図 油圧湿式多板減速逆転機の動力伝達経路
 








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