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4. 成果のまとめ
(1) 全体システム
 全体運用の例として、陸上での航海計画(パッセージプラン)の策定と実施、モニタリング、実績分析確認のスタイルを策定した。
 船上システムとしてWG2とWG3での開発システムの統合を図った。
 全体運用として必要な陸上システムを設計・開発した。
 WG2およびWG3の開発システムと陸上システムとで、パッセージプラン運用の流れを示しPDCAサイクルの例とした。
 その他、要素技術として、分散処理技術であるCORBAを調査し、船上システムにおいてパッセージプランの運用に適用した。
 また、情報記述・伝達様式としてXMLを調査し、パッセージプランの記述、海図オブジェクトの記述に適用した。
 共通機能として、センサデータサーバを開発し、また、水路情報DB、気象海象DBを整備し、サーバとしての機能の実現を図った。
 今回のパッセージプラン運用例の確認に際しては、実際のデータの蓄積に基づいたACTには至っていない。しかしながら、提案する運用スタイルに準拠した機能の実現について確認できたと考える。
(2) 航海関係システム
 開発した監視系のシステムは、それぞれ担当する監視対象と基準値と比較することによって、ワッチレベルの切替えを判断する。
 船上の各システムが参照するパッセージプランは整合している必要があるため、航海計画管理システムを中核にしたCORBAネットワークを構築し、実運用に近い形での連携を実現した。
 このような機能およびネットワークを実現できたことで、目的とした航海当直での情報処理負荷の低減、航海当直機能の均質化を図り、もって安全航行という品質の維持向上に寄与できる目途を得ることができた。
(3) 船体関係システム
 耐航性の捉え方として、1遭遇する風波、2船体動揺の発生、3船体影響の発生、との流れを整理した。
 船体強度の建造時からの経年変化に対応するPDCAサイクル例を策定した。参考として船体保全に関わるPDCAサイクルも併せて検討した。
 船体折損−縦揺れの相関を確認し、縦揺れ量を耐航性基準の運用例検討の題材とした。
 耐航性管理システムによる中長期的なパッセージプランの検証、実績データによる耐航性基準の検証の例を示すことができ、耐航性の判断に客観的な指標を与え、かつ、継続的に見直しを実施できることを確認した。
(4) 機関関係システム
 機関管理モデルは、SMS業務での「保全管理」「技術管理」に関連させ、船上ならびに陸上の機関運転・保全に関する役割分担を与え、運用フロー(PDCAサイクル)を策定した。
 運用フローに準じて船上での機関管理システムを開発した。
 筒内圧、ライナ壁温、データロガーにて実船データを計測した。
 機関故障を回避する燃料油管理指針を策定した。
(5) 船装関係システム
 熱監視カメラによる機関室防災システムを開発し、これを中心とする消火訓練、消火活動の運用スタイルを検討し、支援機能として有用であると確認した。
 船陸通信系を利用して、陸上での監視を実現した。
 緊急対応支援システムの設計を行い、緊急時の対処判断に関して管理方法を示した。








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