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13. (社)日本舶用工業会
研究項目 研究期間 担当 平成13年度予算(千円) 研究開発内容
計画 年度
1. 超音波による油水分離(財団助成)     事業グループ
技術チーム
  船舶の油に関する海洋汚染防止が国際的にルール化 (1969年 IMO) されてから久しいが、近年、環境問題の観点から、海洋汚染に対する管理がさらに厳しくなった。
現在、IMOで従来対象外とされてきた乳化油も含めた油による海洋汚染防止の討議が進められている。
本調査では、船舶に使用される油を対象に、流動中の乳化油に特定周波数の超音波を照射し、水と油を効率よく分離する超音波油水分離装置を調査研究する。
2. 海水雰囲気中における表面被覆材(財団助成)     事業グループ
技術チーム
  海水ポンプ、プロペラ、舵等、海水環境中で部材が摺動する機器においては、腐食の他に摩耗対策を講ずる必要がある。
しかし、海水中の腐食摩耗に関する研究は殆どなく、このため従来から実機では使用実績をもとに材料選択を行っている。
予備的な研究を行った結果、材料の種類により摺動中の腐食と機械的摩耗の相乗作用が摩耗損傷を拡大すること等が分かってきた。
本調査研究では、これらの研究結果をもとに、表面被覆材を採用し、安価な材料の利用、無潤滑、無公害、長寿命化を実現するための新しい耐腐食摩耗技術の確立を目的に実施する。
3. 環境に配慮した次世代FRP搭載艇の製造方法
 (財団助成)
    事業グループ
技術チーム
  搭載艇用FRP製小型船の製造にはポリエステル樹脂が従来から多用されているが、このポリエステル樹脂から揮散されるスチレンは、PRTRの対象物質でもありその削減が求められている。また、作業環境の観点からも対処法が強く望まれている。そのため揮散スチレンを低減させることを目的に低スチレン樹脂の開発が材料メーカを中心に行われている。一方でVOC排出ゼロ、作業環境改善を目指す取り組みとして加工方法からのアプローチがアメリカを中心に研究されている。
本調査研究では、環境対策の面から、FRPを将来に渡って継続的に使用可能とするためにクローズモールド工法と呼ばれる工法から派生した工法のうち、船舶に最も適用できるFRPの製造法を調査し、製造技術の確立に寄与する。
研究項目 研究期間 担当 平成13年度予算(千円) 研究開発内容
計画 年度
4. ディーゼルエンジン運転時の黒煙排気対策
 (財団助成)
    事業グループ
技術チーム
  ディーゼル機関は、年々高出力化にともない高負荷域の機関性能に合わせてマッチングさせるため、どうしても低負荷域の性能が犠牲となってしまう。このため港湾の出入港時及び内海を巡航・運航した時には、ディーゼルエンジン排気から、未燃カーボンを含む粒子物質により黒煙を排出する。可視的には、大気汚染物質を飛散させているように見られることもある。 本調査研究は、陸上用として米国で開発されてセラミック系の特殊フィルターを、使用条件 (低質油等) のより厳しい舶用機関で長期間使用できるようにするための調査研究を行い、実用化を目指す。
5. 舶用エンジン取扱説明書・電子化
 (実運用化)
 (財団助成)
    事業グループ
技術チーム
  平成12年度では、舶用エンジンの取説の電子化により [1]保守点検要領、[2]異常時の原因対策、[3]パーツリスト、[4]問い合わせの各機能の実装を行った。これらは、機能試験として、日本舶用工業会のホームページに載せ、一部の船社、船舶管理会社側から良好な評価を頂くことができた。 本調査研究では、この成果をもとに、実際のユーザーとなる船社、船舶管理会社側のレビューを実施し、不足するコンテンツの内容及び拡張機能を明らかにするとともに必要な実装を行い、利用者側に考慮した取扱説のツール内容の充実化及び実運用化を目指す。
6. ディーゼル主機関における過渡時のスモーク・操船性改善
 (財団助成)
    事業グループ
技術チーム
  近年、ディーゼル機関は、高出力/高過給化してきており、大容量の過給機が搭載され、且つ高負荷域での機関性能の最適化が優先されているため、どうしても低負荷域の性能が犠牲となっている。特に、クラッチ嵌入、急激な加速の過渡時には過給追随遅れによる、スモーク及び操船性の問題が生じている。
本調査研究では、この問題を解決するため、機関と減速機の有効な組み合わせの研究開発及び電子ガバナーによる全電気制御システムにより主機システムの最適制御方法の確立を目的に行う。
研究項目 研究期間 担当 平成13年度予算(千円) 研究開発内容
計画 年度
7. 画像処理技術を利用したグランドパッキンのひずみ分布測定方法
 (財団助成)
    事業グループ
技術チーム
  グランドパッキンは、船舶の推進軸の軸材料として広く用いられている。この製品は、多本数の繊維束を編み組みする事により紐状体とし、これを所定の長さに切断した後にパッキンボックスと呼ばれる空間に加圧、装着して使用されている。グランドパッキンの加圧時の変形挙動を正確に把握すること及びこのひずみ分布をコントロールすることは、軸の磨耗を極力少なくし、理想的な軸封を達成する上で重要である。しかし、グランドパッキンは不均質で異方性を有する編み組み構造であるため、従来はその変形を性格に測定することは困難であった。本調査研究は、この課題を解決するため、最新の画像処理技術を利用したグランドパッキンのひずみ分布測定法により最適な締め付け量を割り出し、より優れたグランドパッキンの開発に役立てようとするものである。
8. 舶用燃料油中のN分含有率とNOx排出値
 (財団助成)
    事業グループ
技術チーム
  現行のIMO/NOxテクニカルコードでは、燃料油に含有されるN分に関する補正が考慮されていないため、N分の含有率の高い粗悪油を使用した場合は、他の条件は同じであってもNOxの規制値をオーバーしてしまう可能性がある。このため信頼できるテクニカルコードを作成するためには燃料油に含まれるN分がNOxの生成要因として与える影響度を正確に把握する必要がある。 本調査研究では、実船から採取した燃料油サンプルのN分含有率とそれによる発生NOxの因果関係を明らかにする。 また、得られた結果をもとにIMO/NOxテクニカルコード改正のための提案要素案を検討する。
9. 小型交流発電機の高効率・低コスト化
 (財団助成)
    事業グループ
技術チーム
  従来、船舶用の発電機は、円筒回転子が主に採用されているが、高効率、低コスト化の点から改良が求められている。
本調査研究では、発電機の小型化と発電効率の改善及び製作のコストの低減を図るため、小型発電機では採用されることが少なかった突極構造の回転子と負荷応答特性に優れたデジタル電圧制御装置等を採用した中小型船向けの発電機を開発するための調査研究を行う。








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