日本財団 図書館


iv 2号艇建造仕様書
 
 
業務報告書 (3)
 
「身体障害者用ヨット第2号艇建造に関する設計管理等」委託業務のうち、第3項、「1号艇の改造図面、取付け図面」及び「第2号艇の完成図面、取付け図面」も内容を把握し、確認を行い、第2号艇の建造仕様書を作成しましたので、御報告致します。
 
1、建造仕様書
2、建造仕様書添付書類(1)
3、同上添付書類(2)
 
以上
 
2001年11月17日
林 賢之輔設計事務所
 
 
 
建造仕様書
(2001年10月30日 作成)
(2001年11月17日 改正)
 
1 目的
 本船は日本財団のご援助により、特定非営利活動法人ヨットエイドジャパンが提案する「わが国の海洋で車椅子等を利用している障害者がヨット上で安全に全ての操作及び行動ができる。」ヨットの開発事業の目的に従い、(有)ヴァンデシュタット大橋による設計図一式等(図面番号553)を遵守し、建造される。
 第2号艇の建造にあたっては、第1号艇における検証結果を反映し、必要な改造、修正等を加えた図面および図書等の指示(別途添付)に従うこと。
 
2 主要寸法 および 主要項目
  全長  7.99m     I  10.00m
  水線長  7.60m     J   2.90m
  幅  2.75m     P  11.00m
  喫水  1.80m     E   4.00m
  排水量(計画)  1.92ton  メインセール  24.88m2
  バラスト重量  0.82ton  ファーリングジブ  14.52m2
  補機  ヤンマージーゼル 2GM-20SD, フォールデイング・プロペラー
    燃料タンク(軽油)  30L  
  総トン数  約3トン  
  資格  第2種帆船  
  航行区域  沿海  
  定員  8名  
 
3 船体構造
3-1
 本船はフィンキールバラスト、フラクショナルリグとし、施工にあたっては、極力軽量化に努めること。
 
3-2 材料
 使用する樹脂は不飽和ポリエステルとし、樹脂の作業性改良等のために使用する充填材、添加材は必要最小限度にすること。目視検査の妨げになるような顔料、充填材は使用してはならない。
 ガラス繊維の種類、番手は図面の指示に従う。積層品の性能、強度等に影響をおよぼす汚れ、変形したものは使用してはならない。
 芯材の種類、規格は指示されたもの、または同等品とする。使用範囲は図面の指示によること。
 木材は十分に乾燥した良質のものとし、合板は耐水合板(1類)とする。
 金物、取付けボルト、ネジ等は特記のないかぎり、ステンレス鋼製とする。
 図面および指示書に明記されていない個所でも、選定された材料を使用し、変更、疑義が生じた場合には、監督員および設計者と協議のうえ、本船の目的遂行に支障がないよう工事を行うこと。
 
3-3 船穀
 FRP雌型(支給品)にハンドレイアップする。サンドイッチ構造とし、積層にあたっては、使用樹脂、脱泡に特に留意し施工すること。
 特に気温、湿度に注意し、局部的な硬化熱の発生を防ぐこと。
 芯材を接着するとき、完全に外皮と接着させ、硬化後確認すること。接着不良個所は、その部分を除去し新たに接着すること。
 
3-4 不沈構造
 本船は不沈構造とする。このため発泡体を図面指示に従い施工すること。
 第2号艇については別途添付図面等を参照し、差異があれば、これを優先すること。
 
3-5 船体関連図書
  下記の図面、指示書により建造する。
  553S-11-1  船体積層表   553-11-2  デッキ積層表
  553S-3-1  構造図   553S-9-10  デッキ補強図
  553S-3-11  構造断面図   553S-3-14  構造図面 3
  553S-3-14  構造図面 4   553S-3-21  構造詳細図 2
  553S-3-22  構造詳細図 2    
 図面に記載されていない詳細部分の工事については監督員と協議すること。
 第2号艇については別途添付図面等を参照し、差異があれば、これを優先すること。
 
4 機関ぎ装
 ヤンマー2GM-SDを搭載する。本体を船尾に向けてセッテイングするため、排気管、リモート・コントロール類の機能、操作に支障のないよう施工すること。
 プロペラーはメーカー推奨サイズのフォールデイング・プロペラーとする。
 排気管は逆流に注意し、ウオーターロック等にて対処する。
 燃料配管は小型船舶検査機構に指定された規格のものを使用すること。
 コントロール関係はコックピットにて円滑に操作できるようにする。
 燃料タンクはステンレス製、約30Lとし、供給管出口には閉鎖弁を設ける。給油はデッキ上に設ける給油口より行う。エア抜き管を船外に設ける。燃料戻り管をタンクに設ける。
 エンジン起動用バッテリー70Aを用意し、バッテリースイッチを経由してエンジンパネルに配線する。
 エンジン回転計をリモートコントロール取付け位置付近に設置する。
 
5 デッキぎ装
 図番 553S-9-1 による。変更、取付け方法、金物製作不具合の個所があれば監督員と協議のうえ決定する。
 舵装置は操舵輪方式とし、図番553S-6-26の指示に従う。
 第2号艇については別途添付図面等を参照し、差異があれば、これを優先すること。
 
6 スパー類(マスト・ブーム・スピンポール)およびリギング(静索、動索、滑車類)
  図番553S-10-1,553S-9-1の指示品または同等品とする。
 
7 バラストキール
 バラストは鋳型(支給品)により精度高く鋳込み、フェアリングした後、船体に取り付けること。
 取付け位置等は図番553‐5‐1 による。
 
8 船内居住区
 図553S-7-1,553S-7-10 により製作する。内装の仕上げ、色、クッション材質等については、別途協議のうえ決定する。
 第2号艇については別途添付図面等を参照し、差異があれば、これを優先すること。
 
9 ラダー
 FRP雌型(支給品)にハンドレイアップし製作する。積層構成、金物については図番553S-6-1,553-6-22,553S-6-11 による。
 
10 特殊ぎ装品
 コンパニオンウェイ用エレベーターおよびデッキ上のスライド式椅子の製作については、それらが十分に機能を発揮するように、打合せの上、製作すること。
 図番 553S-3-33,553S-3-41,553S-7-12,553S-7-13,553S-7-14による。
 第2号艇については、新規に開発されるであろう図面および仕様書等により製作し、指示に従って取付けること。
 
11 電装品 および 計器類
 電源は12V,DC とする。70AHバッテリーを2個用意し、各々独立に充電されること。
 (うち1個はエンジン始動用専用)
 バッテリーからバッテリー・スウィッチを経由して配電盤(スィッチ盤)に入力し、配電盤から各器機へ出力すること。
 船内灯火は メインキャビン1個、クォーターバース2個(P&S)チャートテーブル1個を設ける。
 航海計器は スピード・ログ計、風向風速計、およびGPSを指定の場所に取付ける。
 コンパス1個を指定の場所に取付ける。
 航海灯(両色灯、船尾灯、停泊灯)は各々独立配線とする。
 傾斜計をキャビン後端に取付ける。
 
12 塗装 および 表示
 船体はゲルコート仕上げ、色は指定色とする。ライン等はウレタン塗装。
 指定されたマーク、文字等はウレタン塗装またはカラーフィルム貼付とする。
 甲板はノンスリップ仕上げとする。
 船底塗装は指定された塗料による。
 船内塗装はウレタン塗装とする。
 
13 法定備品
 小型船舶検査機構が定める物品、数量を装備すること。(別表参照)
 
 
以上
 
 
 
第2号艇の改造・修正個所
 
スライドハッチのひび割れ対策 : 図面のとおり。*
コンパニオンウェイ寸法 : 図面のとおり。*
    現状の敷居高さは、シアーラインと同等の高さを保持しており、大傾斜時およびコックピットが満水になった時に、船内への海水流入を防ぐ為に有効である。
    スライドハッチの開口部前後長さを増すことのみで、必要な寸法がとれるなら敷居高さ(コックピット底からの立上がり)は変更しない方が良いと思われる。
    必要な寸法が取れない場合には、敷居高さを減じ、かつ、差し板を二分割し、下部差し板の上面は現状の高さに合わせ、常時挿入しておく。
    スライドハッチが不可能な場合は、リフト(兆番)ハッチ式でもよいが、必要な寸法を確保すること。
前部車椅子取付け位置 : 図面のとおり。*
    椅子の背当て部分が、その後のスペース(同乗する健常者が作業するスペース)にはみ出してくる。許容範囲をとること。
後部座席レール位置 : 図面のとおり。*
クッション落下防止板 : 図面のとおり。*
ステアリング・ペデスタルの台座を撤去 : 図面のとおり。*
    コックピット床が排水のため後傾斜しており、台座を撤去するとペデスタルも後傾斜するので、コックピット床に水平リセスを設けて取付けること。
    (型修正が必要)
フットレスト : 図面のとおり。*
コックピット・セルフドレイン・ロッカー : 図面のとおり。*
マスト・パルピット寸法、取付け位置 : 図面のとおり。*
ゲイトスタンション (ギャング・ウェイ) 位置変更 : 図面のとおり。*
    支柱間距離が2mを超えるため、支柱を片舷一本づつ追加する必要がある。
右舷前方ウィンチ取付け図 : 図面のとおり。(椅子取付け位置と関連)*
左舷前方ウィンチ取付け図 : 図面のとおり。(椅子取付け位置と関連)*
             ウィンチは#40、ウィンチハンドルは長さ8インチ
メインシート・システム : 図面のとおり。*
バックステイ・コントロール : 図面のとおり。*
ギャレー側壁 : 図面のとおり。身体保持金具取り付けのための補強を入れること。
船内天井ハンドレール : 図面のとおり。*
船内アイプレート取付け用木座 : 図面のとおり。*
エンジン・リモコン・カバー : 指示のとおり。取付け位置は現状とおり。*
エンジン回転計取付け位置 : 指示のとおり。*
トイレット・バルブ : バルブに手が届きやすいこと*
シンク排水をスルーハルに変更 : 指示のとおり。タンクは清水用のこと。*
ビルジポンプと配管 : 指示のとおり。*
コンパス : 取付け場所ペデスタル上面、
        Ritchie Voyager F83(W.M.210203)寸法確認のこと。
エンジン排気口位置 : 指示のとおり。さらにパイプを延長する。*
メインハリヤード : 右舷に変更(スピンハリヤードと入れ替え)。*
ヒール計取付け : キャビン後端部。*
ムアリング・クリート : サイズ200mmに変更。*
ライフライン・クッション : ギャングウェイ後部に追加(両舷)。*
メインセール・リーフフック : セールにリーフペナントを取付ける。
操舵系統油圧配管 : カバーを設ける。*
バッテリーと配線 : メンテナンス用のスペースを設ける。*
 
以上
 
 
 
日本小型船舶検査機構が定める法定備品(抜粋)    (2001.10.30.作成)
   (2001.11.17.改正)
品名 規格 数量
係留索 12mm×10m 2式
アンカー ダンフォース型 12kg 1式
チェーン 6mm×2.5m 1式
アンカーロープ 16mm×30m 1式
救命胴衣 検定品 8式
救命浮器 * 検定品 1式
救命浮環 検定品 2式
信号炎(沿海セット) 検定品 1式
自己点火灯 検定品 1式
消火器 検定品 2式
布バケツ 検定品 1式
フォグホーン 検定品 1式
黒色形象物 検定品 1式
円錐形象物 検定品 1式
レーダー反射器   1式
工具   1式
*印 : 不沈構造のため不要であるが一式分を用意する








日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION