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まえがき
 この報告書は、モーターボート競走公益資金による平成13年度日本財団助成事業である「中小造船業における雇用流動化・高齢化対策及び人材の確保」の一環として実施した「人材の確保」事業の調査研究結果を取り纏めたものである。
 我が国においては、少子化・高齢化が進み、2010年には、人口の4人に1人が65歳以上の高齢者が占めることになるなど、企業にとって労働力の確保がますます厳しい状況になり、造船業が現在の平均年齢を維持することは勿論、労働力の確保さえ困難な事態なってきていることは、高齢化による労働力の低下と技術の喪失という問題と併せて、経営の基盤をも揺るがし兼ねない極めて深刻な問題である。
 このような雇用環境の時代あっては、従来のように労働力の確保や人材の育成問題の解決を個々の企業やグループのみの努力に依存することはもはや限界であり、全産業的規模で、業界に対する信頼感の醸成と人材確保のためのシステム作りに取り組んでいかなければならない。
 このような観点から、当会は、今年度事業において、ここ数年の内に多数の定年退職者が予想されることに鑑み、深い経験と優れた技術技能を有する人材の造船業からの流失又は埋没による大いなる損失を防止するために、元気な間に働くことを希望する人々に有利な雇用機会を提供するとともに中小造船所が必要とする技術技能者を適材適所に配置することができる環境づくりを目指して「人材情報提供システム」をインターネットのホームページ上に構築した。
 今後は、当該システムが広く認知されるために、よりタイムリーでしかも精度の高い人材情報の提供をしていかなければならない。このためには、「雇用流動化対策部会」において検討している標準作業要件書等に基づく技能・技能評価制度の確立と普遍化に努力を傾注していく必要がある。
 そして、このことが、当業界の適正な技術水準の確保とともに造船技能者の社会的評価を高めることによって、斯界の良好な雇用環境の形成の一助となることを期待する。
 終わりに、本事業は、日本財団のご理解ある助成及び国土交通省海事局造船課のご指導並びに人材確保対策部会の委員及び関係各位のご熱心な討議とご協力により完遂することができた。ここに心より感謝の意を表する。
 平成14年3月
社団法人 日本中小型造船工業会
人材確保対策部会
部会長 森本 晋








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