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N造船(新造および修繕)
 
1. 組織
・造船部と修繕部に分かれている。
 
2. 職種別技能者数
(1) 協力工比率に対する考え
・ 100%出資子会社(NEC):派遣業。修繕の機関仕上げ中心で60〜70人(発足時120人)。
定年退職者を再雇用。
→ 教育訓練は本工同様。本工とのローテーションもあり。
→ 主要派遣先は日立(舞鶴)、内海、ときどき三和。
→ 派遣窓口はNEC経由ではない。NECは原則、本工と同じ扱い。
(2) 修繕部技能職人員構成
・ 常駐協力工:40〜45人
・ 本工約90人+NEC50人(うち仕上げ約20人、他社工事は、この中からいく。特にHZは特定の人(班長)を名指しで依頼される(3ケ月とか6ケ月などの長期))
・ 修繕の鉄工、溶接の常駐業者は0、本工のみ。
 
3. 職種別作業内容
(1) 新造関係
・ 切断(NCオペレータ):20人(2交替制)。型鋼ベンダ、部材配材も含む。
2/3はガス切断可、残り1/3は切断不可。オペレータは切断機故障対応技術(電極チップ交換など)を重視。本工、協力工各10人(手切りは各2人)。
・ プレス:曲げ班所属(プレス+アングルベンダ+撓鉄、曲げ型)。
・ 組立:鉄工、溶接含む。
・ 小組立:原則、外注。
・ 現図(内業)呼称は「加工」:曲げ型作製のみ(元本工)、それ以外の作業(フェアリング、展開、一品図作成など)はすべて本社設計部所属。
・ 現図(外業):ドラフト文字マーキング。
・ ブロック組立:組立・溶接。板継ぎ溶接はほぼ固定(ユニオン)。
・ 塗装:ブロック塗装、船台塗装含む(全員業者。3業者)。本社は作業長以下5名。塗装工場内の場合は、業者は人工提供のみ。外板と上回りと分けて後者が一般塗装を行う。
・ 管艤内作:マーキングと切断は同一コード、区別なし。
・ 配管:機装係所掌。ブロック配管も同じ。
・ 玉掛、クレーン運転:同一職種、12人中3人はクレーン免許なし。
・ 足場:修繕所属の進行ショップ。
・ ブロック足場は鉄工、溶接工がやるか、専門工がやる。
・ 進水作業:船台木工(外業取り付けショップ所掌)。
・ 船台溶接:短期のスポット工採用(雇い入れ手続きは生産管理部)。
・ 甲板仕上げ:荷役装置のうちの滑車、ベアリング構造のグースネック関係。
・ 機関部:仕上げ(船体、機関に分け)、配管、製缶。新造の仕上げ班は修繕と別班。
・ 電気部:新造の機電課所属(作業長、班長は修繕専任)。造修一本化で一番うまくいっている。
・ 荷役装置:甲板仕上げ担当。エアレーションは配管。
(2) 新造・修繕共通職種と別職種
・ 配管、撓鉄、鋼材水切り:新造部門が修繕にもサービス。
・ 足場、運搬、給水、仕上げ、旋盤、船具:修繕部門がまとめて面倒を見る。
・ 塗装:新造、修繕で分離。
・ 高所作業車:新造と修繕別々に保有。
・ 現図:現尺現図、曲げ型作製(一応、マーキング、切断すべてできる現図屋もいる)。
・ 修繕の溶接は船体と配管それぞれに溶接職あり。
・ 船具:タグボート、ワイヤ加工含む。
・ 整理:掃除。
・ 給水:入出渠、バラスト、タンクテスト。
 
4. 標準作業書
・ 各職種別の作業標準書あり。
 
5. 雇い入れ基準
(1) 採用人数
・ 鉄工、仕上げとも名指しで手配依頼。工事内容が分かっている場合は事前に予約。
・ 機関は管理部で事前手配(仕様書<機器型番明示>で判断)。
・ 月間、250〜300人弱雇い入れ(5月は新造、修繕ともピークで多かった)。
(2) 造修の違い:新造技能者の技量不足は
・ バラシ(流し切断による溶接ビードの剥離)ができない。
・ 錆のある鋼板の切断。
・ 切り替えた新造部材と旧部材との取り合い溶接で、新造の技能者はブローホールを多く発生させる。
・ 塗装:古い鋼板の塗装は特殊技能。
(3) 技能職人名リスト:
・ 新規雇い入れの場合:安全教育後、現場に配属。技量判断は現場に任す。本来、入ってきた時点で判断するのが望ましいが、その面接時間がもったいない。
・ 一度雇った人の場合:個人名別(リストは現場が保有)に技量をメモ。ランク付けは現場に一任。
・ 歪取り:市場でも人数極少なので、個人名登録しておき、1本つり。
・ 人材登録、スケジュールがWebでわかれば有難い。
・ 定年後の技能者は、人事からみても登録制は有難い。
・ 特殊技能者のプール市場があれば有難い。
・ 単価を落とすと人が集まらない。単価と能率はtrade offか。
 
6. 技能レベル判定基準と考課基準
・ 経験年数と前職内容の面接確認が主。テストとかはしていない。
・ 技量確認などの技能レベルの判定:実際に作業させて、その技量を担当者が判断し、スポットの場合は不適なら親方、棒心立会いで最終判断。
・ 協力工の査定
→ ランクづけ:5段階(A〜E,Eは×なので削除。実態はA,B,Cの3段階)。
→ 常駐は技量レベル:3段階で評価。
→ 単価確定に使いたがったが、技量レベル向上策に使っているのが現実。
→ 協力工の査定には、規律性も大きなファクタ。規律性のある人は本工になっている。協力工の使い方を考えればいい。
 
7. スポット工採用有無と職種
(1) スポット工
・ 新顔は、まず安全教育。古顔は、安全教育パス。
・ 船体部分は出たとこ勝負(FRクラック、歪箇所数など)のため、仕事量にあわせてスポット市場から調達。
・ よくスポットで人を入れている:新造社内工の技量低下が大きいとはいえ、新造から人を借りざるをえないケースが増えている。
・ 単価はあまりかわらないが、経費(旅費、宿泊費)持ちのため高くつく。神戸、長崎から呼ぶこともあり。
・ 船台溶接:短期のスポット工採用(雇い入れ手続きは生産管理部)。
・ 5人雇い入れた場合、2人は腕がないのが現実。したがって、現場の使い方も考えないといけない。また、そういうミックスがあって始めて平均単価で話があうし、送り込む側もいい筈(腕のいい者ばかりが5人だと、かえって仕事がはかどらない)。
・ 腕がよくないのが普通。短期の場合、特に腕悪い。
・ スポット市場縮小:ガス流しは6、7人。ウイゼルの使えるガス屋は2〜3人。
・ 協力工はスポット工の勤怠も把握。日報と一致を確認している。
(2) 稀少職種
・ スポット市場での稀少職種:撓鉄=0、現図≒0。
・ 運搬・足場も少なくなりつつある(陸上の足場屋は、余りつかえない)。
・ 現図、撓鉄(他社とダブルブッキングになったときの対応が難)、仕上げ(工事量安定)
・ 外国では海難が多い。どうしてこなしているのか興味あり。
・ 位置決め:1人前になるまでは約3年
(3) 社内での流動化(新造、修繕)も難しくなった。
・ 社内流動化は新修でやりとりしているが、実際には特定の人だけが修繕、新造にまたがって応援(せいぜい10人くらいか)。
 
8. 技能維持・向上と教育訓練
・ 現図などの特殊技能は、縮尺になった時点で根がきれた。これらの技能伝承は困難なので、新しい方法を見出すしかない。
・ 技能伝承は結構難しい。
・ 新入社員の教育、配属方法(技能職)
→ 3ケ月集中教育。
→ 配属は職制からの補充依頼がべースにあって、本人の希望と指導者の目で、技能の向き不向きを判断して配属。
→ 修繕希望者が少ない時期があった。
→ ボーシンにつけてOJT。
→ 定期的に技量試験実施。
・ NIISと常時交流があり、技量向上の刺激にもなっている。
 
9. 外国人労働者に対する考え
・ 船台で溶接をしている中国人研修生がいる。寮で共同生活。
・ 現場は中国人が増えてくるだろう。とにかく真面目。
 
10. 請負条件、雇用流動化に対する考え
・ 内海地区で、結構流動化に関する情報(特定職種の必要時期、人数など)を開示しだしていて、そんなに秘密にすることはなくなりつつある。
・ 小規模協力業者の統合:難しい(かって、その方向で動いたことあるが、親方自身がのらず、成果があがっていない)。
・ 他社に人を貸した直後に、自社の修繕船がきまるケースあり。派遣の利害得失を考えさせられる。
・ 新卒の採用が思うようにいかないので何故かと問うと、「塀の中が見えないから何をやっているかわからない」と敬遠される話を聞いた。
以上








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