日本財団 図書館


ただ、なぜこういうことをやることになったかというと、振り返ってみますと社会事情があります。2000年から始まる総合的な時間というのが何かと考えてみますと、僕はよくわからない。僕は文部科学省の役員をやっていまして、関係はしているんですが、発表された形で、まず総合的という言葉からして、何が総合的なのか。何をどうしたら総合的かということ自身が全然わからない。多分、総合というのは非常に幅が広いから、適当にやると総合になるというルーズな理解から、たくさんの現代的科学が分化した、枝葉末節と言うと語弊がありますが、大変たくさんの専門分野に分かれた、それを一本にまとめ上げたものがほんとうの総合であるという理解まで幅がある。これはまるでスペクトルのようになっていまして、どこをとっても総合なんです。これはなるほどという納得がいきます。文部科学省としては、皆さん方、先生方が扱われるのは、どれをとってもどういう仕事をしても、最後は総合という言いわけができるよという親心かもしれないなとは思いながら、やるほうとしては大変ですよね。

というわけで、私自身もそれを考えてみました。そしてそれが指導要領に示されなくて、指針もなく、それから地域性が教育の場合というのはありますから、先生方が置かれているその場で、どういう素材を使ってどういうアプローチをして、どういう手法で子供たちに、それを自然の、あるいは社会の事情を、ここで言うと水にからめて説明するかという、そういう形をとらざるを得ない。それも模索型。すべてが模索になります。というので、先生たちは大変お困りということを、実際に先生たちの何人かともお会いし、その悩みも伺いました。気の早い人は早速、気の早いと言ったら怒られちゃいますけれども、準備のいい方は、もう実験的に番組をつくっておられますが、プログラム化というのも、年間プログラムというのは非常に難しいことです。それから、自然相手、社会相手というのは、必ずしもきちっとしたタイムキーパーがいてやっていくような流れにはなりません。極めて臨機応変の場面が多いという応用力の寛容も、また必要になるかと思います。

そこで、と言って手をこまねいているわけにいきません。小学校3年以上は、現にその場になるわけですから、それに少しでもお手伝いというか、あるいは少し言い方を変えますと、サゼスチョンという、別に教えるということではなくて、ご参考になるかと思いまして、私どもの水惑星のプロジェクトを、先生方向けにほぐして、利用していただくほんのわずかな糸口ですが、きょう聞いていただきたいと思うんです。

先ほどご紹介がありましたように、第1回目のこのプロジェクトは、実はフィールド系と言うんでしょうか、野外に出て、どういうふうな総合の学習ができるかというシナリオでした。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION