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しかし、体制といったところで六百五十人です。しかも、鉄砲も撃てないし、戦には全然備えていないただの船乗りですから、徳川幕府には何も対策はなかったんです。国防意識がまるでなく、二百数十年に亘って鎖国制度をつづけました。しぜん海への関心も無くなっていました。

 

先ほども少し話しましたけれど、海への無関心という意味では、私は今の日本も大して変わっていないと思っています。例えば、私は博多に住んでおりますが、博多のことを自分で港町だと感じている人はほとんどいないんです。博多の町というのは結構大きいですから、天神町の界隈を歩いていますと港が見えません。東京も一緒です。隅田川があって、それが海に注いで、江戸湾というのは日本一の豊穣の海と言われるぐらい魚が獲れました。ところが東京の人が日常、江戸湾を見るということは、まずないでしょう。そういう意味で、港があることをみんな忘れてしまっています。

そして、私が一つここで言いたいのは、どの島に行っても橋がかかっていることです。昔は新幹線で三原に行きまして、三原から十分から二十分ぐらい船に乗って伯方島に行ったり、今治に行くのが楽しみでした。船っていうのは楽しいです。ところが、これもなくなってみんな橋がかかったり、瀬戸大橋なんてでっかい橋もできました。

 

 

 

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