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そのとき、同僚が「私たちだって、障害のある人たちを支えなければいけないと思っているけれど、何をしたらいいのかわからずにいる。私たちは、あなたの仕事をフォローするというかたちで協力できる」と言ってくれました。

それは、社会としては本来あるべき姿ですが、企業などの組織では普通はできないことです。それを「それが当たり前だ」という顔でするのでなく、やはりそこは、こちらが「すまないけれど」ということを表現していくことも必要です。

これからは、実力主義で、終身雇用ではなくなります。そうなれば、我々のような障害のある子どもの親はどうなるのかとても心配です。

もうすぐ、下の子が結婚します。それを見て、障害のある息子がいい顔をしないのです。「僕は?」と聞いてくるのは当然のことです。それをどう彼に説明するかが今の課題です。

 

IV. 弱さを抱えることは、強い結びつきができること

障害のある娘をもつ女性

 

じろじろ見られるのは、私たちが素敵だから

私は、子どもには「自分が存在してもいいんだ」ということを、小さい頃に深く学んでほしいと思っていました。拒絶されるのは、もっと大きくなってからでいいと思っていました。子どもの車イスを押して外に出ると、よその人にじろじろ見られます。それを「私たちってそんなに素敵なのかしら」と話しながら歩いていました。私は本気でそう思っているようなところもありましたが(笑)。

他人がどう見るかに関係なく、私にとっては他には代えられない宝物だということを、外に向かって表現しつづけてきました。私の娘をはじめ、障害のある人たちが、命をつなぎつづけることの大切さは必ずあると思います。

 

 

 

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