日本財団 図書館


096-1.gif

図2 1986年2月における100m層の水温(上図:℃)、塩分(中図:単位なし)、密度(下図:σt)の平面分布図。北太平洋中風層水の代表的密度26.8を超える高密度水が見られる(永田ら、1993)。

 

096-2.gif

図3 三陸沿岸域でのTSダイアグラム上での水塊分類(Hanawa and Mitsudera、1987):Kは黒潮水、Tは津軽暖流水、Oは親潮水、Cは沿岸親潮水、Sは表層水が通常分布する領域。バツ印のデータは、1986年2月に観測された高密度水の中心の測点での各観測層の水系、黒丸印のデータは300m層での水温値の頻度分布上(図5)で、平均値よりも標準偏差の7倍以上離れた大きな値を示した水の水系を示す。

 

図4の水温・塩分値の分布形状は非常に歪んでおり、歪は水温値の分布に著しい。水温値の出現頻度分布では、低温側にシャープなカットオフが認められるとともに、高温側ではm+3σ(m:平均値、σ:標準偏差)の外側にまでデータ点が連続的につながっている。この水温の頻度分布の歪が最も著しい300m水深付近について水温値頻度分布を示したものが、図5である。この図で低温側にカットオフが生じる原因は、水温が結氷点より下がることがないためであるが、議論している三陸沿岸では結氷は起こらないので0℃が最低値になっていることによる。一方高温側にデータが延びているのは、稀ではあるが非常に高温の純粋な黒潮水の侵入があることを示していると考えられる。このことを確かめるため、図5で平均値よりm+7σ以上離れた高温水を図3のTSダイヤグラム上に黒丸で示した。いずれも高塩分の性質を併せ備えており、Hanawa and Mitsudera (1987)の分類でも典型的な黒潮水であることが分かる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION