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もしも、34.92と35.02の間の値が観測された時は、野帳や原記等に戻って真偽を確かめることが望まれることになる。

 

5 データメタデータとそのデータ管理への応用

海洋データの集積が膨大なものとなり、また多様化するにつれ、海洋学の一般専門家のユーザーにとっても、データベースの生のデータを自分で直接整理し直すことは不可能になってきており、データ管理機関の用意した統計結果等を用いることが多くなってきている。そのため、正しくデータベースを利用するためには、データベースのデータ、すなわちメタデータ情報が不可欠なものになりつつある。また、生物・化学データについては、観測結果の数値だけでは不十分で、測器情報(例えばプランクトンネットの型。網のサイズ、牽引の仕方等々)や前処理や保存方法を含めた分析方法の詳細な情報が必要とされ、これも又、メタデータである。この他、航海報告や航海計画に関する情報や、データがどこにあるかの所在情報のような、インベントリー情報もメタデータと呼ばれることが多い。現在、国際的にも、国内的にもこれらのメタデータ情報の収集・管理が急務であることが指摘されてきている。

MIRCでもメタデータ情報(インベントリー情報は除く)の収集・扱い方について検討を加えてきているが、アンケート等の結果では、ユーザーがメタデータにこのような情報が入れるべきだという項目と、データ生産者がこの程度の情報なら提供に協力できるという項目の間に、非常に大きな較差が存在する。また、利用価値が十分に生じるほどのメタデータベースが準備されれば別であるが、限られたメタデータベースの場合にはそれを利用するであろうユーザーの具体的なイメージは用意につかめないことが認識された。そこで現在は、メタデータ情報の最大のユーザーは、データ管理機関、すなわち我々自身であるとして、各機関の各観測船のクルーズごとにメタデータを作成する作業をはじめている。このようにクルーズ別メタデータベースを備えれば、例えば観測船と観測期間を指定すれば、その時用いられた測器情報(機器の種類だけでなく製造会社名・型・測器番号・キャリブレーション情報)を容易に検索するシステムの構築が可能である。

しかし、現在我々が最も期待しているのは、データの重複のチェックに関してである。JODC等のデータ管理システムには、種々のルートを通して、同一機関からも速報的なデータと品質管理を施したデータが重複して送付されることが少なくない。

 

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Fig.7 The occurrence frequency of observations where salinities higher than selected value (taken in abscissa) for each sub-domains A through Z (see Fig.6 for their locations).

 

 

 

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