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ペーロンは進行方向へ前向きに座って櫂(短い櫂)で漕ぐ。方向は舵といわれる「長い櫂」でとる。長崎市ペーロン協会の規則によると、漕ぎ手26人、ほかに舵取り1人、ドラ1人、太鼓1人、あか取り1人の計30人乗りと決められている。船の長さも45尺(13.6m)、競漕距離は1,500m以内としている。子供ペーロンなどの場合、小型の船をこぐこともあるが、ペーロンは乗り手の数からいって規模の大きな競漕である。

西彼杵郡地方などで、節句祭りや川祭りの行事として行われるものも一部残っていて、古い時代が偲ばれる。

 

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競り舟(せりぶね)

熊本県津奈木や水俣そして一部長崎県の松浦郡にこの名称がある。津奈木や水俣を見る限り、漕法や船の形はペーロンと同一である。過去に地域独特の船競漕があったものが、ペーロンに変化したことも考えられるが、今後の研究を待つしかない。

 

ハーリー

ハーリーは沖縄における船競漕の名称である。旧暦5月4日には沖縄諸島でいっせいにハーリーがおこなわれる。中国の龍舟競渡も多くが旧暦の5月5日(端午の節句)に行われ、その点でも深い関係が推測される。長崎のペーロンとは、さまざまな点でよい対象である。

ハーリーは進行方向へ前向きに座って櫂(短い櫂)を漕ぐので、漕法はペーロンと同じ。最後部左舷に位置する漕ぎ手が方向を決めるのに重要な役割を果たす。漕ぎ手は10人、漕ぎ手であると同時に舵を取るカジトリが1人。ほかに船の舳先で調子をとる役1人が乗る。

 

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