<寄稿>
イエメンの港と巷の事情など
堀川洋*
1. はじめに
2000年の9月から10月にかけてJTCAの補助事業である「情報収集事業」のため、アラビア半島の南端に位置するイエメンを訪れる機会を得た。港湾分野では今まで情報収集事業が行われていなかったこと、最近政情が安定したこと、1983年JICAによる開発調査、1986-88年円借款による港湾整備が行なわれておりその後の状況把握をする必要があることから、今後の港湾整備の方向と援助の可能性を見極めるため実施されたものである。
日本からイエメンに入るには北回りのフランクフルト経由か、南回りのドバイ経由が一般的であるが、インド経由のアデン・サナアと言う経路もあるようである。我々は一般的なフランクフルト経由で入った。どの経路でも2日掛かりである。時差の6時間と朝の6時からスピーカーを通じて大音響で流されるコーランの詠唱で、睡眠のリズムを取り戻すのに時間がかかった。
10日ほどの訪問であり「事情」などおこがましいが、知ったかぶりと思い込みを含めて紹介したい。