日本財団 図書館


年頭所感

 

年頭のご挨拶

 

001-1.gif

(社)海外運輸協力協会

会長 竹内良夫

 

明けましておめでとうございます。新年を迎えるに当たり日頃の所感をのべて、ご挨拶にしたいと思います。

20世紀の世界は波欄万丈の動きで、我が国も大きく変動を繰り返しました。後半、特に戦後は灰燼の中から立ち上がり経済的努力の結果、80年代にはジャパン・アズ・ナンバーワンと言われ、国民の価値観は多様化し、経済的にも得意の時代を作り上げましたが、バブル崩壊に伴い、90年代には各界に崩れがみられ、世紀末の昨年には政治的にも不信を募らせるような一幕もあり、日本はやや停滞気味、自信を失ったように見うけられます。

21世紀は性根を据えて、しっかりした日本にならなくてはなりません。21世紀には科学技術の進歩、情報化の進展によって新たな世界が築かれます。我々は新しい世紀に向けて、もう一度自らを反省するとともに、伝統文化を尊重し、世界の各国から憧れを持たれ、日本が好きになるような魅力のある日本文化を創ってゆきたいものです。

さて、21世紀を迎える今、協会をめぐる国内外の環境は著しく変化を見せており、新しい対応が求められております。近年アジアをおそった経済危機は各国の経済成長と運輸インフラの整備・開発に大きな影響を及ぼしました。政府は東アジアヘの支援は我が国自身の利益にも直接つながる極めて重要な意義を持つものとして、積極的支援を行うこととしております。目を国内に向けると、厳しい財政状況の中、ODA関係予算はほぼ横這いからやや下降気味ではありますが、「ODA中期政策」では「量から質への転換」として、質の高い、効果的・効率的な実施が求められています。私は国際支援のあり方は、その国の総合的な見地から重要性をつかみ、自助努力を中心にした支援が最も効率的だと思います。また最近は、我が国ODA事業を継続的に評価し、投資効果を高めるとともに、国民にも分かり易い事業内容とするよう努力するようになっています。

開発途上国の経済発展と住民のシビルミニマムを計る上で、運輸関係インフラストラクチャーが、基本的に重要であることは言うまでもないことです。然し、運輸関係インフラは教育・保険・衛生等の社会セクターの支援に比べると、費用が大きく、かつ効果発現までに年月がかかります。後回しにされるおそれもあります。然しながらその国の発展のためには何が必要か、何から実施すべきかと言うことを良く見極めながら支援に当たることが大切です。支援事業に携わるコンサルタント事業者、特にインフラ関係コンサルタントは当面の対象を総合的な眼から見てどのように位置づけるかを勉強理解し、コンサルすることが大切です。

本年は21世紀の始まりの年であり、また省庁再編が実施され、国土交通省が発足するという、まさに新しい時代の始まりです。当協会においてもこれまで活動してきた実績を踏まえつつ、新たな時代に対応した運輸交通分野における優良案件、地球環境問題の改善に寄与する案件の発掘など、時代の要請に応じた協会活動に今後とも積極的に取り組んでゆく所存であります。

最後になりますが、本年一年の皆様方のご多幸とご発展を祈念申しあげますとともに、関係方面におかれてもより一層のご支援とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

 

 

 

目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION