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都市交通

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この数年間に、交通システムには改善が施されたが、依然として深刻な不足が続いており、再検討・修正が必要である。

 

2. 大都市が抱える主要問題

・都市公共交通では、ほとんどの場合大型バスよりも小型車両が使われている。

・主要都市では露天商が不法にはびこり、これが交通の流れに必要な空間の不足を招いている。

・車両の終点として利用されているバス停での停車時間が長い。

・家畜が引く荷馬車・人間が引く手押し車のような低速車両が、市の中心部を通行している。

・代替ルートとして使える並行して走る道路がない。

・識字率が40%未満と低いことから、交通教育が不足している。

・交通警察による交通規則遵守が実行されていない。

・様々な管制センターには、コンピュータに接続したカメラを利用した交通監視システムが存在しない。

・貨物輸送用トラックと旅客用バス、どちらの交通手段も荒廃した状態にあり、修理が必要である。

・高関税構造が新しいバスの輸入だけでなく、製造・組立をも制限しているため、政府が運賃を規制していることもあって、交通機関運営者は古いバスを使い続ける方が経済的と感じており、これが需要に対応する新規バスの深刻な不足を招いている。

・都市公共交通(民間部門の運営だけに頼っている)が抱える問題の中で、都市公共交通の健全な発達を妨げる最大のものは、民間部門が利用可能な財源が不足していることである。

・旅客・貨物双方の道路交通が直面する最も深刻な問題は、安全問題である。

・交通管理の失敗から、都市交通の規制がおろそかになり、その結果交通渋滞が発生している。

・環境問題が、道路交通の深刻な側面として浮上しつつある。

 

3. 将来計画

・鉄道、道路、道路交通、船舶、港湾、通信部門など、全ての交通手段への民間の参加を促すために、最大限の刺激策を講じる。

しかし政府は、安全面やサービスの水準に関する効果的な監督機能を維持し続ける必要がある。

・マルチモーダル交通手段を促進する。

・バスシステムを改善して、交通管理と連携の上、大量輸送手段として活用する。

・ライトレールによる大量輸送システムを、カラチ、ラホールその他の大都市に導入する。

・カラチ環状鉄道を再導入する。

・バスに大幅な優先権を与え、駐車を適切に管理し、障害を排除し、交通安全規則の遵守を厳密に強化しながら、適切な交通管理計画を採用することが急務である。

・腐敗を根絶し監督当局の機能を改善するために必要な政策や施策を実行する。

・プロジェクトの準備、進行、実施のための政府手続きを簡素化・合理化し、プロジェクトの認可過程の透明化を保証する仕組みを作り上げる。

・全ての交通プロジェクトにおいて、環境に及ぼす影響の調査を必須とする。

・自転車の利用を促進し、適切な自転車用通路を可能な限り都市部に設置する。

・道路の安全性

旅客・貨物双方の交通が直面する深刻な問題が、安全性である。道路上での交通事故の根本的な原因の一つとなっているのが、道路の質と車両の適合である。パキスタンでは適切な道路安全教育が全く行われておらず、法の遵守は事実上存在しないも同然である。この問題に対する施策としては、以下のものが挙げられる。

1] メディアを通じて、学校や交通安全キャンペーンを利用した定期的な道路安全教育を開始する。

 

 

 

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