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第4章 船員教育機関の現状

 

1995年のBIMCO/ISFの船員需要レポートでは、2005年には大幅な職員不足が生じると報じられた。

開発途上国の多くは、船員の供給を積極的に実施したいということから、STCW条約のホワイト・リストに載るために施設の改善や教官の資質の向上を図るなどいろいろと努力をしているところであるが、IMOによると条約締結国133カ国のうち82カ国が情報を提出し、査定を受けている状態にある。

なお、この条約実施状況の評価作業は、5年毎に行われることとなっている。

いずれにしても海難事故の多くは、人的原因で発生しているところから「安全な海運ときれいな海」というIMOの目的を達成するためには、質的、技術的に優秀な船員を養成することが不可欠である。

 

4.1 スリランカ国

 

4.1.1 訓練施設の概況

スリランカ国は、自国所有船は40数隻と少ないが、南西アジアの海上輸送におけるコンテナ積み替え港であるコロンボ港を抱えており、この港の96年の寄港船数は3,467隻、荷物取扱い量は20,885千トンと多い。

また、島国ということから、海運産業は重要視されている。IMO、ILOの国際基準を多く批准しており、95年のSTCW条約の改正に伴うIMOのホワイト・リストに含まれることを期待している。船員教育のための施設を5カ所持っており、これらの施設は国営・民営を問わずMinistry of Shippingが監理している。

 

(1) COLOMBO INTERNATIONAL NAUTICAL & ENGNIEERING COLLEGE (CINEC)

本校は、1989年に設立された民間の教育機関である。コロンボの北部に位置し、敷地40,000ft2の中に施設として教室、実習工作室、実験室、図書室及び60人の生徒が泊まれる宿舎を持っている。

 

(2) UNIVERSITY OF MORATUWA (UOM)

国立の工科系総合大学の中に海洋学部が設けられ、1978年から船員訓練の授業が始められた。コロンボの南15Kmのところに位置し、広大な敷地の西側に海洋学部の建物がある。図書室、実験室及び実習工作室は全ての学部が使用できるが、海洋学部としての施設としては、計測・制御装置実験室、レーダー・海洋機器実験室があり、特殊なものとしてはボートハウスや桟橋設備も持っている。国営のため授業料は無料である。

 

 

 

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