第1章 調査の概要
1.1 調査の目的及び背景
アジア地区における船員教育、訓練機関の現状、特に、改正STCW条約に関連した改善策や将来計画について把握し、船員教育分野における我が国からの適切な形の援助のあり方を検討するための基礎資料を作成することを本調査の目的とする。
日本国等、海運先進国においては、産業構造の急激な変革から海運への従事者は年々減少しており、船員の供給はますます開発途上国に依存する状況にある。従って、安定的な他国からの船員の供給は、日本経済と密接な関係にある海運業界にとっては、必要不可欠なものである。因みに、日本海運業界においての船員数の推移を見てみると、20年前の昭和55年(1,980年)の船員数は、76,494人(予備船員を含む)、それが平成10年には、31,921人(予備船員を含む)となり、昭和55年に比べ約42%までに減少している。今後、更に減少の道を辿ると云われている。
又、船社は、海難事故を回避するためには、IMO(世界海事機構)で定められたSTCW条約(International Convention on Standards of Training, Certification and Watch-keeping for Seafarers:船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約)に従った資格を保有する船員の雇用が必要である。しかし今般、同条約が1995年に改正され、1997年2月に発行し、2002年2月1日から完全実施されることから、条約締結国は、本改正に対応するための早急な施設等の整備が、求められているところである。
1.2 調査の内容及び対象国
(1) 調査の内容
当該国について以下の調査を行った。
□訓練制度
□訓練施設
□訓練機材
□教育・訓練体制
□教育・訓練内容
□教育・訓練の現状における問題点
□将来計画
□その他の各国における訓練施設び訓練機材の現状(関連資料から)