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2.4. パネルディスカッション

 

2.4.1. プレゼンテーション HCMC人民委員会TUPWS シィ次長

 

HCMC交通都市公共事業局(TUPWS)を代表して、セミナーの主催者、関係機関、HCMCの交通問題に関心がある参加者に感謝する。

HCMCは人口5百万以上、総面積2,094km2メコンデルタに挟まれた特殊地理的条件に恵まれた地域で、ヴィエトナム第一の米の生産量を誇り、市の北部、東部、そして南部には成長率が高く、また多様な国内では珍しい農産物の見られる産業ゾーンの集中が見られる。

HCMCはヴィエトナム南部のなくてはならない経済の中心であり、観光、文化、銀行、貿易、金融、科学と技術と産業の多様性で発展した。これらの諸条件は、杜会経済の多機能的センターとなり、近代化や工業化発展に拍車をかけた。

HCMCは国全体のトレンドに合わせて過去の数年に亘り包括的な開発を達成し、比較的高いGDPの成長を保った。都市の地勢は大きく変化し、GDPや交通への投資より更に人口は増加し、都市は急激に成長した。こうした連鎖反応は、交通セクターや都市環境の質に強い影響を及ぼした。

現在の交通状態は混沌とし、危機的である。都市の道路への負荷は許容量を超え、交通モード間の分担は物議をかもし、大きな挑戦に遭遇することが見込まれている。公共交通の利用が過去の数年にわたって急速に減少し、都市の交通需要の5%以下を担うだけとなってしまった。個人の交通手段が90%以上であり、特にオートバイの数は現在のところおよそ2百万台を数え増加が続いている。政府が抑制不可能な状況になる脅威に瀕している。前述の問題は重大であり、都市の文化、居住環境や交通安全の状況を悪化させている。経済発展に伴い、貨物輸送容量、特にコンテナのような重量輸送物が増大しているにも関わらず、橋と道路ネットワークが不十分で、弱く、狭く、統合されていない。信号は時代遅れで、不適切である。交通速度の著しい低下を招き、渋滞や大気汚染を引き起こしている。

1998年には、市全体で1,215路線、全長1,520kmを管理し、その道路密度は0.727/km2である。道路ネットワークは3つの主要なエリアによって分類される。人口は約7百万人で、道路ネットワークの総面積が約6百万平方メートルであるので、一人あたりの道路面積は1m2以下と見積もられる。

既存都市圏の道路延長は、1975年と比較すると1.05倍となったが、人口は1.5倍となっている。5つの発展した都市地区では郊外エリアの特徴が窺える。この地域と比較した道路密度は既成市街地エリアの1/6である。既成市街地への負荷軽減のための郊外エリアヘの人口再定住計画はインフラ整備が不十分なため著しい困難に直面している。

 

 

 

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