交通システムが急速に増加する都市人口のニーズに応え切れていない現状に、政府は1989年から交通市場の規制解除を進めている。こうした政策にも関わらず、1990年の移動発生と世帯の交通費についての調査によると、交通需要は人口増加の割合よりもずっと急速に増加しており、世帯収入の10%が交通費につぎ込まれている。
公共交通のコストは運賃収入では完全にまかなえないので、政府は補助金を出している。政府の補助金で資金不足を補うという資金源の不足が、交通システムの改良の最大のネックになっている。公共交通システムの経費の30%が政府の補助金なのである。
交通システムはほとんどが公営で、利用者の一部を対象とした補助金をもとに運営されている。その目的は以下の通り。
・学生の移動需要に応えること
・公共交通システム網を車に代わる魅力あるものにすることにより、都市の生活水準の向上に貢献し、通勤客の移動を保証すること
しかし、財源が十分でないことから、サービスの質および需要に見合った供給の両面で、公共交通機関は期待されるほどの進展を遂げていない。実際、都会での需要は供給を常に少なくとも20%は上回っている。
チュニジア政府は、チュニジアの主要都市での交通の流れのパターン分布を理解し予想するために、効果的な計画ツールの開発に十分な配慮をしてきた。現在、交通マスタープランがチュニス・スース・スファックスの各都市で実施されつつあり、主に十分な道路網と魅力的な都市交通システムの計画を行っている。
チュニジアの都市交通システムの大部分は、以下の3つの都市に集中している。
・チュニス管区
・スファックス地区(チュニジア南部海岸)
・大スース地区(チュニジア中央海岸)
これらの都市には約280万の人口が集中しており、これはチュニジア全体の人口の約30%にあたる。