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リマ地下鉄網補完調査は1998年5月に完了した。事業の初年度には、リマ首都圏の人口は7,369,445人と推定した。

この調査によると、今年度の動力付公共交通・自家用交通の需要は以下のように推定されている。

 

動力による移動の一日あたりの需要

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上記の補完調査では、1992年の出発地−目的地調査の分析から、リマで発生する移動の回数は住民一人あたり1.5回と推定している。

 

リマ首都圏の交通の現状

首都としてのリマ首都圏は国内最大の都市圏を持つ。車両の集中も顕著で、渋滞も深刻化しており、交通サービスの質を低下させている。リマ市内の平均移動時間は35分であるが、交通量がピークに達する時間帯では1時間半以上におよぶ運行もある。しかし何にも増して、運転マナーの悪さが最大の原因である。運べる限り大量の乗客を乗せようと運転手はたとえ信号が青になっても何度も停車するのである。リマ首都圏の交通の現状をまとめると次のようになる。

・1992年の発生地―目的地調査の結果、動力による移動の発生率は住民一人あたり1.5回である。経済の縮小の結果、この数字はすでに1.4回まで減っている。それでもリマでは毎日110万回の移動が発生している。

・最も混雑が激しい時間帯は朝7時から9時と、夕方5時から7時で、人々の習慣を反映している。風土が異なる駅でもこの時間帯には大差がなく、道路も非常に渋滞する。

・都市交通システムは、道路網により機能している。1980年代比較的安定していた車両台数も、近年は1990年に397,623台だったものが1996年には636,864台へと急激に増え、年に2.8%の増加率を示している。最近はほぼ沈静化したとはいえ、70万台近くが市内で運行されている計算である。そのほとんどがタクシーとして使われているのは失業の結果であって、実際に運転免許証と車だけで金が稼げるからである。

 

 

 

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