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「無計画都市」は人口密度が低いため、夜間は死んだようになっている。交通の要所である都市は、比較的人口が多い。

都市の中心部や発展が進んだ副都心に人が住むことは、公共交通を発展させる機会をもたらす。のべ輸送人キロは多くの副都心を持つ都市ではより低いからである。人口密度も高い場合には、実現可能な公共交通システムにとって素晴らしい基礎があると言える。

 

アセスメントで地下鉄の可能性を評価

モロッコ政府は、カサブランカメトロポリタン地区における中量軌道システムの検討を開始した。中量軌道システムが持つイメージは、最新技術・環境にやさしい・自動車の代替手段・都市の慢性的渋滞の救い主、といったものであるが、その事業の初期段階では計画当局が十分な検討を加えなければならない。

中量軌道システムの構成要素は何か?一番の特徴は?交通システム上のどんな目標を設定するのか?建設と運用に実際にどれほどのコストがかかるのか?収入その他のメリットはどのくらい生まれるのか?建設にはどんなリスクがあるのか?競合相手は何で、収入と乗車率を確保するには何が必要か?

こうした疑問が、政府が中量軌道に投資を始める前に検討すべき主な課題である。

最後に私は、通常の業務以外に時間を割いて積極的に情報や説明を与えてくれた全職員に対し、心から感謝したい。モロッコのJICA事務局職員の方々のご助力にも深くお礼を申し上げる。都市公共交通が抱える無数の問題と解決策に関して、国際的な意見交換を促進するという共通のゴールに向けて、大きなご支援をくださったことを感謝する。

 

 

 

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