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2. 新千年紀にむけた都市交通計画

めまぐるしい変化と従来からの慢性的問題とは、行政と交通計画の専門家とに難しい問題を突きつけている。州政府の投資能力は短期間であり、市町村も同様である。限られてはいるが、民間の参入も代用となりうる。しかし万能薬ではありえない。

 

なにもしないでおくと、どうなるのか。

公共交通に対する「投資ゼロ」というシナリオで、今後20年にSPMRに何が起こるかを知るためのシミュレーションをしてみる。結果は、すでに悪くなっている状況をさらに悪化させるものである。

 

2020年までに…

●1997年に動力による移動全体の50%あった公共交通機関のシェアが、2020年には45%に減少する。

●自動車による移動が69%増え、渋滞は悪化、時間と燃料の浪費を招く。無駄に浪費される時間が20%増え、自動車による移動コストは51%も増える。

●中心部のビジネス地区におけるピーク時の交通速度は15%低下し、その結果、一酸化炭素濃度は32%増加する

●交通機関全体の平均速度が17%低下する

●低所得者層では、機動率が21%低下する

 

PITU2020「都市公共交通統合プログラム」

交通問題を緩和するための統合事業

これまで見てきたとおり、SPMRの公共交通システムには、抜本的な改革が必要である。サンパウロ州政府は、メトロポリタン交通局(STM)を通じて、PITU2020と呼ばれる投資プログラムを策定した。この目的は次の20年以内にメトロポリスに構造的・効率的交通システムを構築することであり、過密地区では自家用車の利用を制限してその分を集約的な利用で補うことにより、自家用車より公共交通機関が選択されることをめざす。

 

PITU2020は二つ実施策に基づいている。

●「交通インフラ投資政策」交通および鉄道システムの延長・改善についてのガイドラインを策定

●「管理および運賃政策」無制限な自家用車の利用を制限し、公共交通の利用を促進するための各種の方策を実行

 

 

 

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